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最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

はせがわくんきらいや

2016年11月02日 20時51分24秒 | 新聞コラム
北海道新聞みなみ風の「立待岬」。
10月24日掲載のタイトルは「はせがわくんきらいや」。



 国内で販売が認められていない乳児用液体ミルクが解禁する方向に進みそうだ。欧米で広く普及している液体ミルクは、お湯で溶かす必要がなく、粉ミルクに比べて乳児に飲ませる手間が少ない。販売解禁により、育児の負担軽減や水・ガスが使えない災害時備蓄品としての期待が大きい。
 粉ミルクからは、絵本の「はせがわくんきらいや」(長谷川集平著)を思い出す人も多いはずだ。1955年の森永ヒ素ミルク中毒事件では急性ヒ素中毒で乳児130人が死亡し、西日本を中心に1万3千人に健康被害が出た。この絵本は実際にヒ素ミルクを飲んだ著者の長谷川さんが、幼少のときのことを思い出しながら描いたものだ。
 「てえとあしひよろひよろやし、なにしてもへたやし、かっこわるい」。長谷川くんのことを、同級生の「ぼく」は嫌っている。山登りでは交代で長谷川くんをおんぶして登った。
 事件の被害者は、就職差別や結婚差別を受けたり、ミルクを飲ませた自責の念から精神的に苦しんできた被害者の親も多い。
 「長谷川くんといっしょにおったら、しんどうてかなわんわ。長谷川くんなんかきらいや。大だいだいだいだあいきらい」。だが、幼稚園から一緒の長谷川くんのことを「もっと太りいな」などといつも気にかける。長谷川くんに寄り添う気持ちが伝わってくる大人が読む絵本の秀作だ。
                                         (メディカルはこだて発行・編集人)


「はせがわくんきらいや」


「はせがわくんきらいや」




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