読書。
『ジャイロスコープ』 伊坂幸太郎
を読んだ。
2015年出版の、人気作家・伊坂幸太郎さんの作家生活15周年記念短篇集。書き下ろし作品が本書のまとめやくとしてトリを飾るかたちで、それぞれに書かれた時代の違う全7作品を楽しめます。
どの作品も、作家自身が自分の型を破るためにトライしているかのように感じました。作品への踏み込み方が深いですね。アイデアも洒脱な会話も、短篇だからだとかトライしているからだとかで力を抜くところもなく、エネルギーをしっかり傾注しているところがやっぱりプロです。そして、傾注できるだけのたくましい筋力というか、鍛えられた実力があるなあという感じ。本書を手に取ってみることで、伊坂幸太郎という売れっ子作家を卓越したひとりのクリエイターと見て、その内燃機関の秘密、つまりはエネルギーを注ぐことと実力をつけていくことで生じている好連鎖の秘密を感じとることができると思います。
本書に収録されている作品は、力技というか、尾崎世界観さんがご自身の創作についてのなかで語った表現を借りていえば、けっこう「大きく振りかぶったパンチ」を見舞ってくるようなところがあります。そのぶんスキがあるのだけど、そのスキを埋める技術を用いてもいるわけで、読者が白けることもほぼないと思います。「一人では無理がある」のオチしかり、「彗星さんたち」の伏線回収及び大ネタとなっている最後部付近のところしかり。でも僕は、そういった大きな転換をする小説操作が好きらしく、ブフッと笑いながら楽しめました。おもしろかったです。
それに、こういうバタバタしたことを文章世界でできるようになってこそ筆力があがるんだろうな、ともわかるわけで。頭の使い方はほんとうに参考になります。
『ジャイロスコープ』 伊坂幸太郎
を読んだ。
2015年出版の、人気作家・伊坂幸太郎さんの作家生活15周年記念短篇集。書き下ろし作品が本書のまとめやくとしてトリを飾るかたちで、それぞれに書かれた時代の違う全7作品を楽しめます。
どの作品も、作家自身が自分の型を破るためにトライしているかのように感じました。作品への踏み込み方が深いですね。アイデアも洒脱な会話も、短篇だからだとかトライしているからだとかで力を抜くところもなく、エネルギーをしっかり傾注しているところがやっぱりプロです。そして、傾注できるだけのたくましい筋力というか、鍛えられた実力があるなあという感じ。本書を手に取ってみることで、伊坂幸太郎という売れっ子作家を卓越したひとりのクリエイターと見て、その内燃機関の秘密、つまりはエネルギーを注ぐことと実力をつけていくことで生じている好連鎖の秘密を感じとることができると思います。
本書に収録されている作品は、力技というか、尾崎世界観さんがご自身の創作についてのなかで語った表現を借りていえば、けっこう「大きく振りかぶったパンチ」を見舞ってくるようなところがあります。そのぶんスキがあるのだけど、そのスキを埋める技術を用いてもいるわけで、読者が白けることもほぼないと思います。「一人では無理がある」のオチしかり、「彗星さんたち」の伏線回収及び大ネタとなっている最後部付近のところしかり。でも僕は、そういった大きな転換をする小説操作が好きらしく、ブフッと笑いながら楽しめました。おもしろかったです。
それに、こういうバタバタしたことを文章世界でできるようになってこそ筆力があがるんだろうな、ともわかるわけで。頭の使い方はほんとうに参考になります。