雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

本物のマッサージ師はいずこに

2006-05-31 22:53:48 | Weblog
洗頭マッサージの店前にて
【施術者の多くは健康な出稼ぎ者】
 昆明のマッサージ店に行ってみての感想は、マッサージを積極的に受ける男性の割合が多いこと。また、若者の姿はあまり見かけないということだ。後者については地元で知り合った二〇歳代の雲南の女性が「私も好きで時々行きます」といっていたので、単に、頻度と財布の問題だろう。

 施術者に出身地を訪ねると、雲南省南部のシーサンパンナや北西部の大理、昆明周辺の農村からの出稼ぎ者が多かった。話してみると、本当に純朴で素直な人ばかりで、昆明にきて遊んだところは? と聞いても、1,2軒の食べ物屋と噂で聞いた名所をいうくらい。それでも都会に出て稼いでいるという自覚はあるようだ。

 きっかけを聞くと「学校を出たときに、先に出稼ぎに出ていた近所の人に誘われてこの職についた」というじつに中国的な就職法。当然、彼女たちはマッサージのプロであるはずはなく、マニュアル程度に覚えた揉む手順や強弱の付け方以外には、あまり教育は受けていないようだった。しかも丈夫そうで、肩凝りなどに悩んだ経験があまりなさそう。つまり体験的にも効くツボの場所や力の入れ方、角度などは分かりようのない人たちなのだった。

 昆明に限らず、雲南各地でまれに高級ホテルに泊まると、必ずマッサージを試しに行ったが、結局、すべてレベルは今ひとつだった。各地の情報を仕入れるのに役立った程度と言うのが正直な感想だ。
【本物の中国マッサージ師のいるところ】 
 ではどこにいけば本場中国の伝統を受け継いだ優秀なマッサージ師はいるのかというと、たとえば北京中医大学で5年間、医術や漢方の知識を身につけ、その後、病院に治療部門で働いている。仕事は治療のためだが、この人たちの腕は確かである。

 日本で「整体院」を開業している中国人に聞くと、「北京では5つ星以上のホテルでは、今、そのレベルの人しか受け入れないという厳格な基準を設けています。高いですけど確かですよ」とのこと。彼らは日中、病院に勤務し、夜はアルバイトとしてホテルでマッサージをしているのだそうだ。もしくは高級大型マッサージ施設を設け、そのレベルの人たちだけで構成された店も北京では登場しているという。本当かどうかは、今度、試してみようと思う。
 また施術師として指名するなら30~40歳代のベテランで力の調節もできる男性がお勧めだとのことだった。
 雲南では、安い分、牧歌的なのだと腹をくくろう。
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日本風が高級店のあかし

2006-05-19 11:56:16 | Weblog
【高級店は日本風をアピール】
2004年末、日式サウナ&マッサージ「雲海の藍天」が開業した(サウナ26元、足もみ80分48元)。名称に日本語のひらがなの「の」をつけているところがミソで、日本式風格を重視していることをアピールしている。タクシーのカーステレオから「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」との日本語が、たどたどしくも、優しい女性の声で流れてきたときには驚いたが、よく聞くと、この店の宣伝だった。

その宣伝で経営者が「日本らしい細やかなもてなしをしたい」と語っていた。他に円通山近くの繁華街で「伊豆休閑浴場」という看板を、市北郊の高級マンション街の北辰地区では「「良子足裏」(YOSHIKO)という看板を見たこともある。日本風はもてなしのブランドらしいことがここでもわかる。

 美容院でも中国独特の簡体字で「資生堂」と書かれたシャンプーの容器が、目立つところに置かれていたり、聞いたこともない「丸子(maruko)」といった芸者の絵のついた乳液が売られていることがあった。

 そのために帰国後は「あこがれの日本の化粧水なのだ」と、ちふれを使うたびにうれしくなるという気持ちの逆輸入現象がおきて、ちょっぴりうれしい日々となっている。
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気持ちよかった、マッサージ

2006-05-18 11:06:12 | Weblog
写真は「団団御足浴」の店の入り口。たくさんの自家用車が泊まっている。(今年のゴールデンウィークに撮影)ますます繁盛。

【チアリーダーの格好をした施術師も】
 わりあいに気持ちがよかった足裏マッサージの店は、アポロサウナの隣にある「団団御足浴」と環状南路沿いの「昆明印象」だった。これらは団体客の比率が高い。前者の場合は店員の話だと開店は2000年春。100分で98元。後者は2004年開店で、値段は同じ。モチロン日本語は通じない。やはりお茶とフルーツは食べ放題飲み放題、テレビも独占できる。どうやら、これは高級店の基本サービスらしい。

「団団御足浴」の施術はまず、ひざより高い木の桶に足をつっこみ、中の専用ポットから各種漢方薬入りの湯気にいぶされる。次にやはり漢方薬入りの洗面器のような木桶で足浴後、念入りに足を中心に肩や腰までもみほぐされる。左足を揉み終えるとタオルで靴下状に巻く。それから熱々の小石の入った細長い袋を渡され、腰または首下に当てられる。温かくてむちゃくちゃ気持ちがいい。ひざには漢方薬の入った冷たい袋をのせ、その上方に熱湯でしぼったタオルを置いて、ビニールの帯できつく巻く。一〇分ほどすると、ポカポカしてくる。最後に右足裏からふくらはぎまで揉むと終了となる。

 これで胸がチラチラ見えるようなチアリーダーの格好でなければ落ち着けたことだろう。

 「昆明印象」では、つめ切りサービス(有料)があり、よくといだナイフで鮮やかに切ってくれた。少し怖かった。一〇〇分の予定が一四〇分たってもまだ終わらないこともあった。お茶うけも白木耳(白きくらげ)の砂糖煮や月餅、スイカ、棗とおいしく、何回もおかわりをしてしまった。

【有閑マダムの御用達】
 「美容マッサージ店」は住宅街に隣接した商店街に必ず数軒、ある。街角にある小さな店でも、シーツが新品で、内装もカーテンが付くなど高級感がある。とはいえ、それらが開け放されていることが多いので、なかが、丸見えなのが難点だ。

 施術方法は妖しい光線やスチームを使ったお肌のケアやパックなど、主に顔を中心にしたもの。最後は全身マッサージで締めくくられる。この美容マッサージの一回あたりの費用は30元~150元ほど。一般の按摩店と一回あたりの費用は変わらないが、10回とか30回という回数券を購入させるケースが多いので初期費用がかさむ点が顧客層を選別している。

 力まかせの施術が多いなかで、美容店のマッサージはソフトな様子に見えた。施術者も白衣だけでなく、手術用の帽子やマスクまでかぶっている。お客も人の視線など気にする様子もなく、気持ちよさそうだ。私も行きたい衝動に何度かかられたが、回数券がネックとなり、実際に施術してもらうことはなかった。
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湯桶づくりの職人町

2006-05-16 12:17:56 | Weblog
写真は気象路の風呂桶屋さん。

足湯に使う木製の湯桶は、昆明の職人町・気象路で沢山、作られている。同じ通りには、セイロやザル、ほうきなどの竹製品や練炭、綿布団、ブリキを加工したゴミ箱まで製造、直販される店が並んでいて、いつでも木や炭、竹の香りがした。
この町の職人は昼食時以外、手を休めない。全力で木を削る職人のシャツは、冬でも汗がにじんでいた。
 車がびゅんびゅんと行き交う4車線道路を、ぽっかぽっかとのどかな音を立てて馬車がくるなあと思ったら、気象路前で止まることもよくあった。荷台には山のように丸太が積まれていて、それを、がっしりとした白毛の馬が引いているのだった。
【日本式浴槽が大人気】
 湯桶を作る店のもう一つの看板商品に「日式風呂」という名の木製の浴槽があった。昆明の人はシャワーが一般的なので日本式に湯を張るタイプに憧れがあるそうだ。高級マンションのステイタスとして人気の商品なのである。そのため店先では作り終えたら買おうと待ち構えている人もいた。こざっぱりとした服と髪型から、おそらく高級マンションの住民なのだろう。ともかく、この浴槽は飛ぶように売れていた。
 足湯用の木桶は一見したところ、丁寧に作られていたが、そのままでは水が漏れるのか、どの店でも桶の上に薄いビニール袋を覆ってから薬湯を入れる。そのためか、じつは私にはプラスチック洗面器にビー玉を沢山入れて、湯を注いだだけのものが一番気持ちよかった。
 日式風呂もシャワーの横に「飾られている」だけのようで、いつ見ても乾いているのだった。
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マッサージ店、花盛り(3)

2006-05-08 14:42:15 | Weblog
写真は、村の娘さん総出演で披露するタイ族の踊り(シーサンパンナ州ガンランパ・タイ家園にて)
【洗頭マッサージ】
 足裏以外で若者に人気なのが「洗頭」と呼ばれるマッサージだ。もともとタイ族の人々がよく頭を洗うことから、「タイ風」などという名が付けられているところもある。文字通り頭を洗ってくれるのだが、たっぷりのシャンプーで頭皮をマッサージするのが特徴である。ただ、その濡れた頭のまま、1時間近く、頭のあらゆる部分及び、店によっては、全身をマッサージされるので、つらい。とにかく髪が濡れたままなので落ちつかないのだ。真冬に暖房のない屋根裏部屋のようなところでやられたときは、寒くて逃げ帰りたくなった。でも濡れているので逃げることもできない。
私が洗頭をしてもらっている隣の台に、ホンダのオートバイでのりつけた若者がいた。文字通り、頭を洗おうとふらりと訪れたようだが、意外な事の展開に驚いていた。彼は北京出身で大学の試験休みを利用してツーリングしているとのことだった。腰をもまれて「オッオッ」とだんだんノリノリになって、口も饒舌になり、店員をくどき始める姿がおもしろかった。
たいてい料金は30元ほどだが、最後に髪をドライヤーしてもらうのに、さらに5元取られた店もあった。
【チンポー族の洗頭マッサージ】
白馬地区のチンポー族の経営する店(1時間30元)では、頭だけではなく耳まできれいにしてくれた。なんと、耳に直接、すーっと冷たい水を入れられ、それを綿棒で丁寧に拭き取るのだ。驚きあわてて片方の耳は不要だと断ったが、大丈夫、と、もう片方も強引にされてしまった。中耳炎にはならなかったので、水はちゃんと取れたのだろう。
ちなみにチンポー族とは、そのほとんどが隣国ミャンマーにつきだした雲南省の西側にある徳宏タイ族チンポー族自治州とミャンマー北部に暮らす人口約12万人の山岳民族である。民俗衣装は黒と白を基調とし、襟や袖口は赤、男性は頭に白のターバンを巻き、腰に剣を下げている。女性は細やかな銀の装飾を身につけている。店内にはチンポー族の装飾の施された刀と、銀の豪華な首飾り、黒のスカートが飾られていた。店の人に、それらの衣装をほめると、とても誇らしげだった。ただし、彼女自身はさっぱりとしたジーンズ姿だった。
【オプション、さまざま】
他に洗頭のメニューにドイツ式と称する泥パック(20元)でコンディショニングするところもあった。私は、不思議な液体を塗りたくられそうになったので断ったけど、勇気のある人はぜひ試して。体験をお聞かせください。

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大衆的な足裏マッサージ

2006-05-02 11:06:38 | Weblog
写真は白馬地区の中心。ロータリーを左に進むと、大衆的なマッサージ店が並ぶ。
【足裏マッサージ】
 高級店以外で見ると、店舗数がずば抜けて多いのが、足裏マッサージだ。それだけ玉石混交の感はあるが、全身按摩に比べ、足裏の場合は血行を促進する効果はあっても逆はないので技術が未熟でも健康障害の心配はない。これは日本も同じである。
 白馬地区には先に紹介した「盲人按摩」の5軒先にタイ族の女性たちが経営する小さなマッサージ店がある。1998年開店で、全身按摩からタイ式洗頭まで各種そろっていた。
 そこで一般的な足裏マッサージを一時間30元でお願いする。
 間口一間ほどの小さな店舗の入口正面には旧字体の「仏」と描かれた額や「草木香足部按摩図」というポスターが貼られている。それらを横目に入口を左に折れた薄暗い小部屋に入ると、テレビと、白いバスタオルをかけた一人掛け用のソファが三台置かれていた。さらに奥にはゴザが敷かれた全身マッサージを施す部屋が見える。見た目より奥深い構造は、京都の町家のようだ。店員は4名。二〇歳代と思われるリーダー格の女性はタイ族独特の巻きスカートに長い髪を束ねた恰好をしている。その人以外は全員一〇代後半ぐらいで、丸っこい顔に長い髪を垂らし、すっぴん、ジーパンの気楽な恰好をしていた。
 ちなみにタイ族とは中国では主に雲南省南部のシーサンパンナと西部の徳宏に多く居住する農耕民族だ。東南アジアのタイの国民とは同族だが、タイ王国を築くより、遙か昔に離れてしまったためか、話す言語は私が聞くと同じようだが、本人同士は意思疎通できないほどに隔たっている。このシーサンパンナのタイ族の話はまた章を改めてお話します。

【漢方入り薬湯で足浴】
 さて、テレビのコントローラーを渡され、ガラスのコップに熱湯を注いだ緑茶を飲みながら待っていると、ジーパン姿の女性が各種漢方の粉を溶いた赤茶色の湯を入れた木桶を持ってきた。そこに10分間足を浸す。
 次に店員が立て膝の姿勢をして、その上に白いタオルを置き、まず左足を桶から出して湯分を拭き取る。そのタオルで足先を器用に巻き付けて靴下状にし、ソファと同じ高さの台の上に置く。右足も同様に水分を拭き取ると、土踏まずから指先、さらにその間の指の付け根部分を揉む。最後に指先にたまった老廃物を押し出すように一本ずつ指先の先端まで揉み上げて、一本ずつ指ではじいて、指部は終了。次に土踏まずの下方部から踵、足首、ふくらはぎの内側と外側、ひざ、ひざ下ももみ上げて完了となる。
 女性の細い指先がツボにふれるようで、なかなか気持ちいいが、壁には腰付近に花束を持った裸体の女性の写真がかかっており、緊張をほぐす心の余裕は持てなかった。
【せっかちなおじさん】
 途中、昆明でのビジネススーツにあたる半袖白シャツに、アイロンのきいたズボンを履いたおじさんが入ってきた(昆明周辺の畑では、同様のスタイルで農作業もしている。成人男性の一張羅として定着しているようだ)。ソファに座るなり足を投げ出し「仕事があるので30分で」と一言。店員は「30分ではちょっと」と、とまどい気味。日本では信じがたいことだが、コースは60分からしかないのである。やがて女性は意を決して「泡脚マ(足湯をなさいますか)?」と聞いて薬湯の入った木桶を持ってきた。が、木桶を持ってくる時間すら待てなかったらしく「時間がないので、また来る」といって、おじさんは去っていった。おじさんがせっかちなのか、昆明の按摩店がのんびりしているのか、考えさせられた。
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