雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

閑話休題・日本料理? ②

2011-02-26 08:15:59 | Weblog
写真は昆明市郊外の中央金座四季鮮農貿市場にて。左下にはピンと立ったおいしそうなさんま、右下はイカ、と海魚が並んでいた。(2010年夏撮影)
【さんま】
 昆明はデン池もあり、昔から川魚を食べるせいか、魚売り場が充実している。

 生きた魚(生け簀)ならなんといっても丸々と太った黒い鯉、漁民が直接、売りに来る長さ10センチほどの正方形をしたとれたての小魚(江川小白魚などを洗面器に入れて売る)、死んだ魚なら銀色に光る刀のような太刀魚が代表で、半解凍の状態で冷蔵設備のない中で売られていた。

 ところが昨夏、昔ながらのスタイルの市場をどんどん壊して、郊外にできたばかりの自称先進的な市場・中央金座四季鮮農貿市場に行くと、今まで雲南では見たこともない種類の魚がずいぶんと売られていた。サンマもある。

 売り場のおじさんに「秋刀魚?」と聞くと、
 「よく知っているね。これはうまいよ。ただシンプルに焼くだけで本当においしい。お客さん、お目が高いね」と大喜び。日本でよく食べる大衆魚だ、と話しても、日本と目の前の魚が一向に結びつかない様子だった。

 また、生のイカもあった。スルメなら、今までにも雲南にあったが、これは珍しい。いずれも東北の漁港から運ぶそうだ。大連あたりだろうか。太刀魚はそれよりも北の海、他の海産魚はアモイあたりからくる、と話していた。

 海の魚は冷凍技術の問題や輸送距離の問題からどうしても高くなる。そのため、今までは海魚料理といえば、雲南ではアモイ料理の店で食べるものだった。
(環状南路と西路の交差点には、アモイ海産料理の店・南庄酒家がある。市場とともに壊されて心配していたが昨夏、リニューアルして繁盛していた。)
これが、ほんの数年の間に冷蔵庫の浸透とも相まって一般家庭でも食べるものへと劇的に変化しているのだ。

 日本ではまぐろが中国に持って行かれている、と大騒ぎしているが、さんまも、やがては高級魚の道を歩んでいくのかもしれない。
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閑話休題・日本料理? ①

2011-02-20 13:53:35 | Weblog
写真は、昆明に新しくできた市場にて。(2010年撮影)
【日本豆腐】
 雲南では相変わらず、日本製の受けがいい。街の看板で見かける「龍の目」など、漢字の間にはさみこまれたひらがなの「の」や、100円ショップ用に作られた製品っぽいものに、日本語の説明書(意味不明なひらがな交じり漢字の羅列)をラッピングして「高級感」を演出したもの。
 日本の八百屋でよく使われる「新鮮やさい Fresh Vegetables」と白抜き文字で表示された紫色のビニールテープが帯に巻かれた葉物野菜などは、中国の人は、これが日本の八百屋のスタンダードだとご存じなのだろうか。じつはビニールテープそのものが中国で作られているので、そのまま日本に輸出されずに中国で流通しているだけかもしれない。

 そんななか、静かな定番人気となっているのが「日本豆腐」だ。日本の豆腐って何? 冷や奴? などと疑問に思ってしまうのだが、見ての通りの玉子豆腐。形はなぜがソーセージのような形の円柱型。なぜ、それが「日本豆腐」と呼ばれているのかは、わからない。ただ中国のインターネット百科辞書「百度百科」に「ある高級レストランが(「日本豆腐」の名で?)特色料理として出して、評判となったことから」と書き込みされていた。だとすると最近のことなのか、それとももっと前なのか。

 知人は最近じゃないか、という。たいていチューブ入りなので、この形は耐熱性のビニール袋が発明されないと、無理なんじゃない? と。私は、なにもチューブ入りじゃなくても「日本豆腐」は作れると思うので、もっと前もアリだと思う。

 もともと中国料理には具材の一切入らない茶碗蒸し、すなわち「玉子豆腐」がある。その名も「蒸鶏蛋羹」(玉子を蒸して固めたもの、の意味)。子供連れだと、中国の人が気を利かせて注文してくれるので、いろいろな場所でお見かけした。これらはアツアツで、洗面器のような大きな碗に並々と張られている。

 一方、市場の「玉子豆腐」はほんの一人分。中国にしては珍しい。使い方は日本のようにそのまま食べるのではなく、円柱形のものを好みの大きさに輪切りにして、スープに入れたり、炒め物に入れたり、というように食材として使う。

 ただ、この玉子豆腐は、どうも純粋に玉子と出汁スープを火で固めたわけではなく、とき玉子と出汁、水をよく混ぜ合わせたものにゼラチンや片栗粉などを入れ、例のビニール袋に充填してから、温めて固めて出来上がる。

 玉子製品が常温で市場に置かれていることに敬遠して、自炊には使わなかったが、レストランでは食べたことがある。味が薄く、ゼラチンのムチムチ感が強い固めの玉子豆腐だった。 (日本豆腐・おわり)

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冬の風邪と「四時如春」?②

2011-02-12 18:12:29 | Weblog
    
8月前半の同じ日の昆明にて。軽い雨上がりの日とあって、一気に気温は10度台に。これでも8月の平均気温が昆明ではもっとも高い。
左の写真は市中心部に近い市場の朝、右の写真は出勤途中の女性達。子供は薄でのチョッキのセーターの上にジャンバーを、女性達はそれぞれの体感温度にあわせた服装をしている。長袖長ズボンがぴったりの気候と思う人もいれば、半袖のワンピースがぴったり、と思う女性もいるのだ。私はといえば厚手のジャンバーを着ていたものの寒さに耐えられず、あわててウオルマートに厚手のズボンと長袖の下着などを買いに走った。(2008年撮影)

【冬服と夏服が混在する】
 雲南に伝わる雲南18怪の一つに「(雲南の人は)服装は、四季、同じ」というのがあります。「雲南は一年中春で、四季の寒暑が多少しかないので、人々の感じる寒暖に違いがあり、町には冬服と夏服が同時に混在する」という意味だそうです。

 もう一つの説があって、それは一年の気温差はそれほどではなくても、一日の気温差が大きいので、春でも雨が降れば冬服を着て、陽がさせば夏着になる、という意味なのだとか。つまり一日の中で四季がめぐる、というわけです。

【かぜ薬が中国一売れる町】
 このように四季がないはずの昆明で雲南大学構内の銀杏の木が見事な黄色に燃え上がり、裏切られた気分になった10月。私も風邪をひんぱんに引くようになりました。胃まで重くなり、食事を作る気もしないので外食した日、昆明生活の長い、日本料理店「貴太郎」の若女将(日本人)が教えてくれました。

 「これからの季節は風邪に気をつけてください。昆明は気候がいいと言われていますが、感冒薬が中国一売れるそうです。とくに胃腸型。下痢をしたり、戻したりするんです。ここではちょっと暑いな、と思っても、すぐに脱がないほうがいいそうですよ。日本とは違うんです。家の中でも靴下は履かないと。私も最初、わからなくて入院しちゃったんです。」

 いろいろと思い当たってゾーッ。その後、日本からの留学生からも同様の話をよく聞きました。
また、中国一、売れているという昆明の感冒薬は種類が多すぎて、すすめられた薬を試しても、私にはちっとも合いません。日本で常用していた葛根湯は、中国の漢方医からすると明代の古い薬方のため、今ではまったく伝わっていない、とのこと。
 それでもほしいといい張ると「調合を正確に教えてくれ」といわれる始末。とうとう、日本の親に頼んで、ツムラの葛根湯を取り寄せ、冬場をしのいだのでした。

 また、雲南の人の暮らすマンションに行くと、暖房器具を使う習慣のないお年寄りのおうちでは、家の中でもジャンパーやコートを羽織っていました。日中なら日差しのある外の方がよっぽど温かいのです。そのため沿道では甲羅干しのように背を日光に当てるお年寄りがよく見られました。

 一方で四川から来た出稼ぎの人々のアパートでは練炭で暖をとるため、一酸化炭素中毒でなくなる人が後をたたず、このような事故を起こすと「四川の人は窓を閉めるから」という人もいました。

 聞くところによると、今や、昆明でも電気製品の暖房器具を持つ人は多くなっていますが、実際にはあまり暖房はせず、相変わらず厚着でしのいでいるそうです。  (おわり)


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冬の風邪と「四時如春」①

2011-02-05 16:26:08 | Weblog
写真は、雲南大学構内の雪景色(2005年3月4日撮影)。雲南の桜が開花したころにドカ雪に見舞われた。とくに珍しいことではないそうである。
 ちなみに当時、雲南大学は、清朝時代の雲南での科挙の試験場であった「雲南貢院」や「雲南第一天文台」などの旧跡が残る雲南の学問の中心地という風情で、場所も市中心部にある翠湖沿いにある風光明媚な場所のみだった。現在は、市の拡充計画のため、デン池近くのなんにもなかった、昆明国家経済開発区の中心部、という遠くて不便な場所へと主に学生宿舎や図書館、コンピュータ関連が移動となって先生方もたいへんそうである。

【セーターとちゃんちゃんこ】
 日本の冬は、寒い。太平洋側は乾燥が続き、インフルエンザも風邪も大流行中です。一方、雲南省の昆明など中部地域の別名は「四季、春の如し」、つまり一年中、春。ガイドブックにも「昆明の平均気温は冬15度から夏25度で一年中、花が咲き「春城」とも呼ばれている」などと書いてあります。ガイドブックを見る限りでは、昆明はいつだって春だというわけです。

 ところが昆明に家族で着いた四月の初めにその期待は大きく裏切られました。ちょうどその年(二〇〇三年)は、いつもなら乾期の終わりの季節のはずで、乾燥しつつも太陽が降り注いでいるはずが、早くも雨期に突入。そのため、温かさのかけらもないのです。うっかり、昆明ぐらしに防寒着は不要だと、まったく用意していかなかったので、「やられた」という気分でした。

 地元の人はというと、普通にセーターやちゃんちゃんこなどを重ね着しているではありませんか。あわててスーパーなどに駆け込むも、シーズンオフのため、防寒着は一切、なし。このため、一月後に私一人、帰国したときに、防寒対策グッズを最優先して荷物に詰め込んで雲南に戻ることとなったのでした。

 その後、地元の方に
 「昆明は年中春と聞いていたので、セーターを持たずにきました」
 と話すと、鼻で笑われてしまいました。昆明在住の日本人家族はヒーターから離れることができず、昆明に防寒の備えが少ないので
 「日本より寒いみたい」
 と寒さで顔をこわばらせていました。

 このように昆明の人の言う「春」は、雪すら降る日もあるというのに、平均気温だけで平然と語られる「春」だったのでした。

 8月。夏です。それなのに相変わらず道行く老人と子供はセーターの重ね着をかかすことはありませんでした。日中は日差しがあると30度近くになるのですが、高原の風が吹いて湿気がないので、素肌に風が当たると、寒く感じられるのです。

 雨期のため、雨もよく降ります。降れば、空気はひんやり。さらに夜には気温は降下。このように一日の気温の変動がとにかく激しいのです。        (つづく)


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