写真は昆明の高級マンション。建てられたばかりのもので、この前を通る幹線道路は敷設工事中のため、常に渋滞していた。マンションは棟ごとに「南アメリカの庭」などとテーマパークのような庭が設置されている。
【深刻な高齢化】
あるとき、高級マンションの一角で、例によって麻雀に興じるご老人グループに出会った。その時、連れの貴州省(雲南省の東北部に隣接する)の山村出身者が
「ここは裕福だからできるのです。でも農村では、そんな余裕はないですよ」と複雑な顔をしていた。
日本に負けずおとらず、中国の年金制度はかなり複雑だ。まず、年金の管理は国ではなく、地方が行う。そして地方ごとに保険料率が異なる。たとえば国有企業が多く、退職者数が全国有数の遼寧省のように企業負担率が給与の30%を超え、そのために倒産し、不払いが社会問題化するところもあれば、中国の改革開放の象徴的存在でもある香港の近くにある深セン市では、企業負担率が8%と低い地域もある。昆明では市の下部組織である行政区が徴収を行っていた。
現在は1997年に制定された法律によって、企業負担率は給与の20%、個人は8%を超えないようにと一応、法律で決められてはいる。だが、運用は地方に任されているのだから、その限りではなく、腐敗も横行している。すべての資金が年金のために運用されていたとしても、将来のための積み立て資金を食いつぶして、現在の老人に当てている状況だ。支給年齢は男性が60歳、女性50歳(管理職が55歳)からとなっており、平均月収の20%程度となっている。2003年の都市企業年金の平均支払額は月平均621元だそうだ。(新華社北京、2004年9月7日)。
しかも年金制度が機能しているのはほぼ都市部の労働者と公務員、それに軍関係者ぐらいのもので、農村では、実質的に家族扶養に頼るほかない。それで冒頭の連れの人の言葉が出てきたのである。(この章、つづく)
【深刻な高齢化】
あるとき、高級マンションの一角で、例によって麻雀に興じるご老人グループに出会った。その時、連れの貴州省(雲南省の東北部に隣接する)の山村出身者が
「ここは裕福だからできるのです。でも農村では、そんな余裕はないですよ」と複雑な顔をしていた。
日本に負けずおとらず、中国の年金制度はかなり複雑だ。まず、年金の管理は国ではなく、地方が行う。そして地方ごとに保険料率が異なる。たとえば国有企業が多く、退職者数が全国有数の遼寧省のように企業負担率が給与の30%を超え、そのために倒産し、不払いが社会問題化するところもあれば、中国の改革開放の象徴的存在でもある香港の近くにある深セン市では、企業負担率が8%と低い地域もある。昆明では市の下部組織である行政区が徴収を行っていた。
現在は1997年に制定された法律によって、企業負担率は給与の20%、個人は8%を超えないようにと一応、法律で決められてはいる。だが、運用は地方に任されているのだから、その限りではなく、腐敗も横行している。すべての資金が年金のために運用されていたとしても、将来のための積み立て資金を食いつぶして、現在の老人に当てている状況だ。支給年齢は男性が60歳、女性50歳(管理職が55歳)からとなっており、平均月収の20%程度となっている。2003年の都市企業年金の平均支払額は月平均621元だそうだ。(新華社北京、2004年9月7日)。
しかも年金制度が機能しているのはほぼ都市部の労働者と公務員、それに軍関係者ぐらいのもので、農村では、実質的に家族扶養に頼るほかない。それで冒頭の連れの人の言葉が出てきたのである。(この章、つづく)