雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

閑話休題・家族の背中

2009-11-29 18:27:00 | Weblog
                  
写真は家族一同を乗せ、昆明北市街をリヤカー自転車で行く人。リヤカーのペダルをこぐお父さんの背中が頼もしい。田舎へ行くと、牛にリヤカーを引かせた同様の様子がよく見られた。小さな荷台にうれしそうに乗る家族の姿を見ると、なんとも心和んだ。
車や電動機付き自転車、バイクなどを乗りこなす人々も、よく見ると、車は子供の学校の送迎用だったり、後ろにはお母さんを乗せ、前の隙間に子供を乗せ、お父さんが運転する、いかにも危なっかしいバイクだったりと、乗り物の構成が家族であることに変わりはないようだ。

【赤ちゃんに冷気は禁物!】
 街を歩くと、写真のように赤ちゃんを大きなバスタオルでくるむ人、手作りのセーター類で夏場でもぐるぐると赤ちゃんをくるむ人など、赤ちゃんを過剰なまでに寒さに当てない工夫が随所に見られます。あれではアセモが出来るのではという心配は杞憂で、高原ならではの、湿度と気温の低さから身を守るにはちょうどいい格好のようなのです。雲南18怪で「四季の服装、皆同じ」といわれるほど、年間の気温よりも、一日のうちで寒冷の差が激しい昆明ではかかせないファッションとなっています。

 ちなみに、以前、1歳台の赤ちゃんを連れて黄土高原を旅した時、村のおばあさん達が赤ちゃんの回りをわさわさと取り囲み、スキー用の服の隙間から覗くプクプクした足首を見つけるなり「これじゃあかわいそうだ。寒かろうに。よしよし」と足首をさすり、いつの間にか、私の手から赤ちゃんが離れて次々と現れるおばあちゃん達の手から手へとリレー渡しになって、肝を冷やしたことがあります。

 このまま赤ちゃんと永遠に分かれてしまうのでは、という考えすら脳裏をかすめました。中国のごく普通の人の赤ちゃん好きパワーは日本の女性よりはるかに上で、しかも赤ちゃんを寒気に当てないための努力は空恐ろしいものがありました。

【おぶいひも】
 赤ちゃんのおぶいヒモの雲南の伝統的スタイルは、正方形の黒い四角い布に刺繍やアップリケを施した四隅にヒモを付け、赤ちゃんのおしりからぐいと持ち上げるタイプのものです。(今までも何度か写真に出てきております)
 今では、機械生産のモールのプリントが付いたモノが一般的です。衣料関係の専門市場に行くと黒字に華やかな模様のついたおぶいひもが山のように積まれています。他にも、竹で編んだ駕籠型、など、赤ちゃんを背に負う道具はバラエティ豊かです。ベビーカーは舗道が整備された後の話のようです。
  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

亀ゼリー②

2009-11-23 17:33:30 | Weblog
 写真は亀ゼリーやタピオカ入り、エバミルク飲み物で、中国で次々とチェーン展開する「楽立杯」。台湾資本の会社だが、雲南でも各所に増え、亀ゼリーと合体した飲み物を気軽に飲むことが出来る。


【コラーゲンたっぷり】
 亀苓膏、とは一体、何なのだろう。
 ほろ苦いコーヒーゼリーのようなものと亀とが結びつくとも思えないし、とにかくプルリンとしたゼリーに漫然と「美容によい」と、あらゆるところで説明を受けるというだけなのも悔しい。

 そう思っていたところ、最近、出版された本をめくると、原料は亀の甲羅とあった。驚いた。

 作り方は、意外と難しい。

 まず、材料は亀の甲羅と「土茯苓」(サルトリイバラの根茎。解毒、利尿作用がある)をベースにたんぽぽの葉の乾燥させたものなど数種の漢方を独自にブレンドして作られる。

 亀の甲羅には腹側と背側の2種類があるが、その腹側だけ使うところもあれば、砕いて丸ごと使うところもある。ゼリー状になっているのは、ゼラチンを使ったわけではなく、甲羅の内側についているコラーゲンが、じっくり蒸されることで、固めている、というわけだ。亀は本来は「金銭亀(三筋ハコガメ)」という種類が使われていたのだが、現在では絶滅危惧種でたいへん高価なため、スッポン系の亀ツチガメなどが使われているそう。

 これだけの手間は相当の技術が必要。本来の亀ゼリーは出来たてはホカホカ。香港や広東ならば、温かいうちに食べるのもオツな食べ方だ。だが、中国の大部分、もちろん雲南でも、それはなかなか難しい。まがいもの(たとえば亀をまったく使わないなど)もだいぶあるらしい。最近では粉を水で溶いて作るのが一般的で、どういうわけか、「おいしい自家製『亀苓膏』の作り方」と、中国中央電視台の人気料理番組「天天飲食」で紹介されていたのが、黒い粉を冷たい水で溶いて作る方法だった。

 さらによくよくインターネットで調べてみると、合わせる漢方に工夫が凝らされていて、近年では亀の甲羅、土茯苓の基本に加えて「雲南田七」つまり三七を合わせたものも広東省の南にある湛江市霞山区のとある有名店では作られていた。

 日本でも缶詰やお粉が売られているので(中華街など)、一度、試してみてはいかがだろう。

 ちなみにあまりおいしいとは感じなかったくだんの昆明製の亀苓膏は、その後、重慶で失敗し、さらに追い打ちをかけるように、雲南の一部、有名スーパーが次々と倒産していったため、資金の回収ができずに苦境に立たされているということだ。

参考文献
「生活新報」(2008年7月28日)―昆明発の新聞
陳虎彪・郭岳峰編著『香港涼茶与亀苓膏』〔2009年7月、得利書局(香港)〕

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

亀ゼリー①

2009-11-17 21:48:30 | Weblog
写真は、昆明の繁華街・小西門周辺のショッピングセンター大観商業城。いろいろな土産物から、ジーンズ、電化製品まで一通り揃っている。目玉はアメリカ系のウオルマート。中国産の食品(缶詰類)は結構、いいものがそろっている。亀ゼリーの種類もある。
 写真は早朝のため、人通りは少ない。日中は押しくらまんじゅうのような混み合いで、スリ、置き引き、出会い系伝言板を利用して純真な中学生をだますグループなど犯罪の多発地帯ともなっている。交番もがんばってはいるのだが・・。

 寒い時期ですが、香港では出来たてアツアツ、雲南では、できあい品を冷やしていただく冷たいゼリーの話題です。
【亀苓膏】
 2004年ごろから、雲南に現れた食べ物がある。「亀苓膏」だ。黒いコーヒーゼリーのような物体で、食べ方もコーヒーゼリーのようにエバミルクや蜂蜜などをかけて食べるデザートである。

 もともと広東省や香港の小吃で、広西チワン族自治区の悟州市が起源といわれている。雲南では夏になると、タピオカ(「西米」と書く。)にフルーツなどをブレンドした砂糖汁やミルクとともに、この「亀苓膏」が珍珠 茶店と書かれた街のスタンドに出現した。

 まるで「絆創膏」と書いても私には見分けがつかないような仰々しい奇妙な名前に惹かれて頼むと、エバミルクをかけたコーヒーゼリーのようなものがでてきた。ほろ苦さと、エバミルクの甘さが相まった、漢方薬のようなゼリーのような不思議な味だ。

 娘は「この味、だーいすき。苦いんだけど、甘さが混ざると、絶妙なんだよね。」とご満悦だ。

 食べると涼しくなるというふれこみで、昆明では日本のかつての有名百貨店のような地位にある米国系の「ウオルマート」やフランス系の「カルフール」などで缶詰やプリン容器に入って「亀苓膏」が大量に出回っていた。産地を見ると、本社は広西省だが、製造は昆明製、とある。

 なんでも雲南省昭通市永善県出身の王雲祥という技術者が、2004年5月に開業して、猛烈な勢いで市場に浸透したものらしい。

 私には、苦いばかりで、それほどおいしいとは感じなかった不思議な食品も、雲南を南下するにつれて、奇妙なことにおいしくなってくる。雲南中部の建水、さらに南部のシーサンパンナまでも下がると、香港や台湾などで古くからある「涼茶店」という体を冷やす漢方を入れた喫茶店に出てくる店で食べる「亀苓膏」に、意外なほどおいしいものもあった。           (つづく)

*前回、予告しました「花鳥市場」はまた、日を改めて、紹介させていただきます。お楽しみに。

*「新型インフルエンザ」、私は(今のところ)かかりませんでした。ご心配をおかけしました。ただ、看病やらなにやら、ありまして、気が抜けない日々となりました。皆様も無理はなさらぬよう、できればゆったりとお過ごしください。

 しかし「新型インフルエンザ」。日本では味もそっけもない名称ですが、中国では通称「豚インフルエンザ」と呼ばれています。医学書の題名も「甲型H1N1流感」より「猪流感(猪は豚のこと)」と書かれていることが多く、その方がお医者さまにも売れるようです。
 もっと驚異の鳥インフルエンザと区別するためでしょうが、個人的にはわかりやすくて、とてもいい名だ、と思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

一押しスープ・汽鍋鶏③

2009-11-08 15:51:48 | Weblog
写真は昆明市内の人気食堂にて。このように汽鍋を積み上げて、中心から出る蒸気でじっくりと全体を温めている。こうして数時間かけた汽鍋鶏は、本当に見た目も香りも澄んでいて、絶品!

【汽鍋は建水製】
汽鍋鶏にかかせない中心に煙突を持つ「汽鍋」。この形は北京などの北方で羊のしゃぶしゃぶなどを食べに行かれた方にはおなじみの形かもしれません。「火鍋」と呼ばれ、中心から湯気どころか火が出そうな勢いで燃えさかり、たいていは持ち運びしやすい金属製です。ところが、汽鍋は重たい陶器製。赤っぽい土色で、大きさもせいぜい大人の手のひらを広げた程度しかありません。

 この容器も建水製なのです。建水は、赤みがかった陶器で、雲南では有名な産地です。汽鍋は清の乾隆年間に建水の厨師・楊さんがこねてつくった特殊な器。これが建水の南郊外の陶器村で量産されるようになったということです。

 建水の街も中国各地の都市と同様、拡大していますが(10年前に行った大理の白族のお兄さんはあまりの変わりぶりに唖然としていた・・。)まだまだ南側には古きよき街並みもいくらか残っています。

 陶器作りをなりわいとする人達の住居はつつましく、家の軒先にはごろごろと赤土でつくり、金色の絵模様を施した花瓶や鉢、器がならんでいました。汽鍋はワラで上手に包まれ、何個かの固まりで、バイヤーの到着を待っていました。

【花鳥市場】
 これらが昆明の市場に集まり、一〇元かそこらで買える値段で、私を誘惑するのです。が、どうやって日本に持ち帰るかという難問にとまどっているうちに、ふらりとやってきた園芸に情熱を注ぐ父が、値段交渉もしないまま植木鉢をさっさと購入。

 店の人に「日本に持っていくのだから、割れないように」と指示すると、店の人は「それはどこの民族だ? じゃあ、新聞ででも包むかな」とものすごく簡単に包まれたものを大事そうにかかえて、帰国の途についたのでした。(いまは日本サクラソウが植わっています)

*次回は花鳥市場の回にできるか。わが家も新型インフルエンザが猛威をふるっているので、感染したら、更新はお休みとなります。すみません。更新していたら、元気な証拠と思っていただければ幸いです。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

一押しスープ・汽鍋鶏②

2009-11-01 15:32:20 | Weblog
 文山の中心街レストランで出された三七入り汽鍋鶏。具材は三七とスズメバチとほんの少しの地鶏だけで作られていた。

【雲南特産漢方入りで薬膳料理の仲間入り】
 汽鍋鶏も、もとは過橋米線と同じく、雲南中部の建水、石屏、個旧などで伝わっていたものです。1947年に建水人の包宏傳夫婦が昆明の繁華街である福照街に「培養正気館」、別名「福照楼」として汽鍋鶏専業店を開設しました。そこで工夫に工夫を重ね、‘三七’‘冬虫夏草’‘天麻’などの雲南特産漢方を加えて薬膳料理としても著名になっていったということです。

 三七の生産地・文山に行ったときには「文山特産料理」として、いの一番に「三七入り汽鍋鶏」が供されました。見ると、三七の根の細いものがたくさん入り、特産のスズメバチまで入っています。厨房のはりきりともてなしの心は十分感じましたが、三七が多いせいかちょっと苦く、味の調和の点でも悩ましいものがありました。三七を入れるというのは文山では、まだまだ「冒険的」な取り組みなのでしょう。

 けれども文山を遠く離れた都会・昆明では、過橋米線の高級セットメニューに雲南名物として出されたり、中国や日本の大都市へと進出した雲南料理店の一押しメニューとなったりしています。日本で出されるものはたいてい、雲南特産の漢方薬入り。体がよりいっそう温まること請け合いです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする