雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

雲南の豆腐④

2010-03-28 19:27:46 | Weblog
写真は豆腐の町・雲南中部の石屏の豆腐工場で使われている大豆倉庫。

【飽きない豆腐のバリエーション】
 このように小さな店舗で、これだけの種類が日々作られていた。他の市場の豆腐屋には違う種類の豆でできた豆腐もずいぶんあった。

 このすばらしい環境のおかげで、日本ではとくに豆腐好き、というわけではなかったのに、気がつくと昆明では早朝、夕方と日に2度、買いに出かける日も珍しくない生活になってしまった。上に書き上げてみて自分でも驚いたが、日本以上に豆腐にバリエーションがあり、しかもおいしければ、飽きようはずがないのであった。

 たしかマンガ『美味しんぼ』の第一話が豆腐だった。その時、主人公が「豆腐は作ってすぐに食べなければ風味が落ちる」と言っていたが、昆明ではできたてホカホカを食べていたことも、おいしさの秘訣だったのだろう。

【日本と中国の違い】
 日本と中国でこれほど豆腐の見た目も味も(とくに豆乳)が変わってしまうのには訳がある。作り方がほんの一点、違うのだ。

 豆腐の作るには、まず、大豆を水につけてふやかし、それに水を加えながら粉に引く(石臼で挽くこともある。)。ここまでは同じ。次にそれを、日本ではそのまま熱を加えて、火が通ったところで絞り、おからと豆乳に分ける。

 ところが中国では火を通す前に、まず布などに詰めて、ぎゅっとしぼって豆乳をしぼりだすのだ。(生搾り法)。その後は、いずれの場合も豆乳にニガリを入れて固めて、水分を好みの量に絞って、出来上がる。
 作り方の手順が一つ違うだけなのだが、この一点の違いが大きく味を変えてしまうようなのである。    (つづく)



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雲南の豆腐③

2010-03-22 12:19:10 | Weblog
                             
                                             
【豆腐屋の豆腐】

この市場で売られていた豆腐は次の通り。(写真左から順番に)
①角が丸い(固めの)木綿豆腐
②四角い(日本のものよりひきしまった)木綿豆腐
③黄豆腐
④平べったい油揚げ(日本のものの2分の1サイズ)
⑤丸くてコロコロした油揚げ
⑥日本のように水に沈ませて売る、それでも日本の絹ごしよりもは、しっかりとした歯触りの「水豆腐」。
⑦豆腐皮(湯葉のようだけど、作り方は日本とは異なる。作り方は日本のものよりダイナミック。後述する。)
⑧豆腐を発酵させて唐辛子などでコーティングした乳腐(フールー。沖縄の豆腐ヨウ系。)
⑨素鶏(一見、鶏の唐揚げのようだが、食べると、豆腐皮を原料にして加工したものだとわかる。ルーツは精進料理。この店の加工豆腐の中で一番人気だった。)
⑩豆腐花(おぼろ豆腐。夕方のみ販売。大鍋一杯にゆるりと固められてあり、量を指定して注文すると、お玉ですくって、ビニール袋に入れてくれる。おぼろ豆腐といっても、出来たてほかほか。家に帰って、これに醤油を垂らし、日本から持ってきた鰹ぶし削りをふわりとかけて食べると、ほんのり豆本来の甘さが香り、舌に優しい温かさで、なんともクセになる味だった。)
⑪豆乳(出来たてホカホカのものを、早朝のみ販売。日本のパックで売られていたり、一般的な豆腐屋で売られている豆乳より、はるかに豆の青臭さや雑味がなく、豆の持つ優しい甘さが堪能できて、心からウマイ。ちなみに同じ昆明でも、デパートのものは、青臭くておいしくなかった。その秘密は後ほど。)
⑫豆腐干(先週の説明にも書いたが、縦横5センチ、薄さ1センチほどに切り分けたせんべいのような固めの豆腐に、茶汁、醤油などの調味料で漬け込み、最後に調味料で真っ茶色になった中華鍋にそれら豆腐を次々に投入して、最後に日に干す。炒めものなどに使う。)
 この豆腐屋のほかにも、市場の味噌屋には、薄いプラスチックでパッケージされた豆腐が売られていた。その名も「日本豆腐」。日本の絹ごし豆腐のことである。また、淡い黄色をした円筒形にパックされた「玉子豆腐」などもあった。味は、当然、出来たてにはかなわないのであった。
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雲南の豆腐②

2010-03-14 14:09:34 | Weblog
写真は、以下の記事で紹介した豆腐屋のお兄ちゃんのお兄ちゃん。一緒に豆腐を作っているのは、おそらくお母さんらしい。

【豆腐屋のお兄ちゃん】
 二〇〇四年に一年、通いつめた「華昌農貿市場」の一隅に、朝早くから白い湯気を立てる、味自慢の豆腐屋があった。畳一枚分ぐらいの棚の上には常時10種類以上の豆腐がずらり。それを早朝から夕暮れまで、中学生ぐらいで、足は不自由だが、じつに誇りに満ちたハンサム顔のお兄ちゃんが、テキパキと売りさばいていた。

 早朝はできたての、ふっくらとした豆の甘みの感じられる豆乳や出来たてアツアツ豆腐を買う人々の人だかり。昼前からは、日本の木綿豆腐よりもはるかに水分が少なく、しっかりとしたコシが感じられる四角や鏡餅大の丸い豆腐、一手間かけた豆腐の数々を次々と買い求めていく客でごったがえす。

 いずれも、ケーキのように数キロの固まりで台の上に直接置かれた豆腐をキロ単位、最低でも五〇〇グラムから切り分けてもらい、薄いビニールに入れて買う。(うっかり日本の感覚で3~4百グラムぐらいと指定してみたが、鼻であしらわれてしまった。聞くところでは沖縄の市場も豆腐はキロ単位らしい)

 豆乳も同じくキロ単位で薄いビニールに入れてもらうので、家に帰り着くまで切れやしないかとドキドキだった。最近では昆明でも「ビニール袋撲滅運動」で、自前の袋を推奨しているが、そう簡単に浸透するものではない。

 昼過ぎのお昼寝が終わる時刻からは、翌朝の仕込み用の豆を近くの農村から出稼ぎにきた若者数名で、丁寧に一粒一粒、黄色い大豆をより分け始める。女性らは、出来たてのあらゆる豆腐を油で揚げたり、中華鍋に茶や調味料の湯を張って、せんべいのような薄い豆腐を煮ては、ザルの上に並べて、日に干したり、と豆腐の2次加工に忙しい。これらがすべて3畳ほどの狭い店舗スペースおよび、その前の通路に無造作に練炭を置いて、作業されるのだから、場所効率のよさは空恐ろしいほど。

 こうして夕暮れになると一手間かけた豆腐を中心に売りさばかれ、夜七時に閉店していた。               (つづく)

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雲南の豆腐①

2010-03-07 10:38:03 | Weblog
写真は2006年8月5日に突然、「消失」してしまった昆明随一の賑わいと規模を誇った「華昌市場」。市政府が出した取り壊しを告げる布告の日付はその3日前の8月2日。急な布告に慣れた市民も、さすがにこれには驚いた。
撮影したのは8月7日。通る人は皆、一様に驚き、呆然としていた。その後、跡地には高級マンションが建設された。

【市場の人気モノ】
この5年、雲南政府は躍起になって農貿市場と呼ばれる、野菜や肉などを一同に集めて市民が気軽に売り買いする市場を閉鎖しては、一小間当たりの値段を上げてリニューアルオープンしていますが、

(汚い、不潔、政府の統制が効かない、の3拍子に業を煮やし、「北京、上海に学べ」と、雲南省政府が音頭をとって、2006年から昆明にある185カ所の農貿市場を‘消失’つまり取り壊しました。その後、現在までにリニューアルされた‘清潔な’市場は38カ所のみ。10キロ以内に一カ所も市場がない地区が続出し、市民は大変な不便を強いられています〈2009.12.22.『春城晩報』〉。私が日夜、通った市場も然り。近所の小さな雑貨屋風コンビニエンスストアでは、すべての鮮度が不満足で値段も割高。市場のためにバスを乗り継ぐ人もいるほど。2009年7月には省政府は「4年で省内に農貿市場を1000カ所建設します」と宣言しなければ収まらない事態となりました。しかし元の市場があった場所には、すでに不動産デベロッパーによって、高層マンションが建てられてしまっています。一体、土地はどうするのか、と素朴に疑問です。)

 そんな中でも、雲南市民の日々に欠かせないのが、米線と豆腐屋さんです。なかでも豆腐は鮮度が命。

 ましてや前回、ヤン・リーピンさんの美容の秘訣に「毎日の豆乳」があったように、中国の朝食に、できたての豆乳、豆腐はかかせません。(出来たては確実に味が2割増している気がします。)

 スティックパン(油条)とアツアツの豆乳、アツアツおぼろ豆腐の上に刻みネギ、ニラ、刻み落花生、ラー油などをコッテリのせた「豆腐脳」などは寒い北方由来の朝食ですが、雲南でも、あまり載せないあっさり風の食べ方で人気の一品です。

 今回からは、雲南の豆腐屋の様子と豆腐の特徴、雲南特産の「石屏豆腐」「焼豆腐」「黄豆腐」「豆腐皮」、日本人ならおそらく一度は引いてしまう「毛豆腐」などの数々をご紹介しましょう。

*今回から新シリーズです。みなさん、ご意見、ご感想をどしどしお寄せください。
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