雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

二度目のロンドン19 大英図書館③

2024-01-28 11:47:21 | Weblog
写真は大英図書館1階(日本の感覚だと2階)のロビー。この階に大英図書館の会員証を発行手続きをする登録審査室がある。

【蔵書を手に取りたい場合に必要な許可証】
大英図書館は、観光でふらりと入っても利用できる施設がたくさんあるすばらしいところですが、ただ一か所、閲覧室に入るには許可証が必要です。

許可証の発行は無料。

大英図書館のサイトには、
「簡単にできます」
といかにも簡単そうに手順が記されているのですが、実際に行ってみると、事務作業が苦手な私にとっては、なかなか高いハードルでした。億単位の蔵書、なかには博物館のケース越しにしか見られない貴重書までもを手に取れる資格なのですから、当たり前なのかもしれませんが。サイトの説明が少し足りていないようで、疲れました。

まず、必要なものは英語で書かれた身分証明書。
私が2019年7月に行ったときには、家人のアドバイスに従い、日本で国際自動車運転免許証を発行しておきました。日本の免許センターで免許証とパスポートを見せて2350円払うと、すぐに発行してくれます。たんなる厚紙でできた簡素なつくりなので、少し驚きました(これでイギリスでもレンタカーも借りられます)、それにパスポートと、現在、居住地となっている部屋での居住証明書らしきものを持ってまず大英図書館内の許可証登録室(reader resistration)に行きました。

そこにはすでに一人、登録希望者がいて、白いTシャツを着たラフな服装で金色の髪の図書館の方といろいろとやりとりをしていました。簡単な机とパソコンと、空港ゲートにあるセキュリティチェックのようなものがありました。静かです。

私も指示にしたがって、そこに置いてあるパソコンにたくさんある入力事項を埋めていきました。埋めきらないと、また最初のページに戻る、といった時間を繰り返し、最期にメールアドレスを登録(これは家でもできた作業だったらしい)。しばらくすると、自分あてに大英図書館からメールが届きました。
 あとは審査の順番を待つだけです。前の人の審査もスムーズには運んでいないようで、いろいろと身振り手振りで説明しては行きつ戻りつの応答を繰り返しています。

 やがて私の番になりました。担当者の方に、先に掲げた各種証明書を見せると、それらを見て、担当者が
「この証明書はどこのですか?」
「ほかに持ってきたものはないですか?」
 など、なにか困った、といった感じの質問を繰り返しました。最後に納得してくれたのか
「あなたはこれらが証明する本人ですか?」
 といった質問に答えて、少し待つと発行してくれました。

ほっとしました。

2024年1月20日現在の大英図書館のサイトを確認すると、昨年10月に大規模なサイバー攻撃にさらされて、一時は正規の許可証の発行は停止され、現在、3か月のみ有効な臨時パスを発行する、と書かれていました。状況は刻刻と変わっているので、ご入用の直前にぜひとも、ご確認ください。
〔必要とされるものの解説はこちらのブログがわかりやすいようです。ご参考までに〕
大英図書館リーダーパスの作り方!YMS&留学のロンドン在住者は必携!! | OSLOndon Journal (lifebeginnerz.com) https://lifebeginnerz.com/british-library-reader-pass/〕
                           (つづく)
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二度目のロンドン18 大英図書館②

2024-01-21 10:42:33 | Weblog
大英図書館内のショップには、オリジナルグッズが豊富に売られている。上の写真のものはその一つ。「BRITHISH LIBLARY」(大英図書館)と焼き印が押されたUSBメモリ。8ギガバイトで12.75ユーロ(当時のレートで約1555円)だった。
 外側の木質は高級家具によく使われいるメープル材。滑らかでやわらかな手触りだ。高級感もある。蓋にはひもがつけられる金属の輪が付いており、しかも強力な磁石が内臓されている。蓋が簡単に閉められ、なめらかに開けられるように工夫されているようだが、磁力を帯びていると、いろいろと不都合も出そうで若干不安。今のところピン止めがくっついているくらいで実害はない。

【貴重な展示が無料・バッハからビートルズまで】
半地下の入口で荷物検査を受けた後、入館。なかは吹き抜けで明るい。日本の国立国会図書館のようなシーンと静まり返った特殊な雰囲気はなく開放的です。入場無料で基本的には誰でも入れます。

常設展示の部屋が結構なボリュームです。ガラスケースに恭しく飾られているのは世界史の教科書に出てきた『マグナカルタ』の1215年発行の10年後の改訂版です。これは日本の鎌倉時代頃に作成され、いまのイギリス国でも一部、効力を発揮している法典です。古くて大きくて、いかめしい感じです。

ほかに貴重な書物が痛まないように光を落とした部屋には『不思議の国のアリス』の作者の書いた直筆イラスト、ビートルズのレコードや手紙、バッハをはじめとした有名作曲家の直筆楽譜、大航海時代に作成された世界地図、日本の古書や江戸時代の絵画もありました。

展示室内は貴重書の保存のために17度から19度に保たれていたので、夏で薄着の私にはえらく寒かった。でも見ごたえ十分で、これらが無料! と大興奮でした。
展示は定期的に替わるとのことなので、同じものが並んでいるわけではないでしょうがおすすめです。

【優雅で趣のある吹き抜けのラウンジ】
吹き抜けの壁際にはガラス張りの書棚が1階から階上までどん、とそびえていて気分が上がります。それを囲んだそれぞれの階ごとの廊下というかテラスには誰でも利用可能な机とイス、それにフリーWi-Fiと電源もあり、コーヒーなどの持ち込みも可能。喫茶店より便利です。それほど混むことなく、勉強したい人、憩いたい人が自分の持ち物を拡げて書斎替わりに利用していました。ここも無料。

各所にカフェもあり、さらにオリジナルグッズが置かれたショップもあって、ちょっとお高めですがオリジナルの文房具はなんともおしゃれ。私も「BRITISH LIBRARY」と焼き印が押されたUSBメモリスティックと、館内の蔵書の閲覧室では鉛筆しか使えないので、鉛筆と鉛筆削りを買いました。いい記念です。
           (つづく)

※前回の二度目のロンドンの副題を大英図書館と書くところを、大英博物館と書いておりました。1月22日に訂正いたしました。
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二度目のロンドン17 大英図書館①

2024-01-14 16:04:04 | Weblog
写真はセント・パンクラス駅を横からみたところ。正面とその右隣りに接したキングスクロス駅は混んでいるが、それ以外の面はとても静かだった。
 ちなみにキングスクロス駅といえば、ハリーポッターの「9¾番線」。実際にはないホームだが、無料の撮影スポットが用意されているので、ハリーポッターファンはいく価値大である。

【ヴィクトリア朝の駅舎でタイムスリップ】
住まいにも慣れてきたところで、いよいよ大英図書館へ。憧れの場所です。私の高校の時からの夢は「ライブラリアン」つまり図書館司書でした。まだインターネットがない時代に、ここでは他に先駆けて、ちゃんと手続きを踏めば、所蔵図書の貸し出しや複写の送付をほぼ実費で請け負っていました。

 それこそ正確な知は書籍に集約されていた時代に、いつでもどこでもだれでもが平等に情報にアクセスできるための知見を営々と構築しつづけている場所、それが大英図書館だと、1980年代末に大学の図書館概論で教えられました。

ロンドン北の郊外にあるセント・パンクラス駅を降り、物乞いやパフォーマーに引っかからないように駅舎を出て注意深く歩こう振り返って、まずびっくり。
 赤レンガにアクセントで入る白い石灰モルタルのライン、アーチに組み込まれた丸ガラス、そしてお城の塔のようにそびえ立つ大時計台を持つ駅舎が、とにかく豪奢でまるで宮殿から出てきた気分になりました。

 1868年開業。ヴィクトリア朝ネオゴシック様式とよばれるもので当時の鉄道会社がロンドン市内に延伸し、会社の顔になるように設計した駅舎とのこと。

東京駅の開業が1914年ですからさかのぼること約半世紀前からある現役の建物です。東京駅を設計した辰野金吾もロンドンに留学しているので、この駅舎も見たことでしょう。最近ではロンドンの駅舎も東京駅の参考になった可能性もある、と指摘されています。さらにセント・パンクラス駅開業の10年後には駅舎脇に豪華ホテルが併設されています。東京ステーションホテルを彷彿とさせます。

ヴィクトリア朝時代村のような景観から道路を一本挟んだところに大英図書館本館がありました。セント・パンクラス駅の赤レンガの雰囲気に調和したたたずまい。こちらは1997年の建築。大英博物館からの所蔵と現代も出版され続ける書籍の納本制度によって集められ続ける書籍の多くが収蔵されています。
                     (つづく)
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二度目のロンドン16 ケンジントン宮殿のなかへ 下

2024-01-07 15:44:24 | Weblog
サンクンガーデンを囲むイングリッシュガーデンに欠かせないバラアーチの木立の隙間から見える景色。宮殿や広大やハイドパークに連なるケンジントンガーデンズのさらに端っこの意外と目立たない位置にあるサンクンガーデンからは、見慣れた公園(ケンジントンガーデンズ)が不思議とおもしろく見えてくる。宮殿前の木々の刈り取り方もまるで、京都の銀閣寺の砂の形のように、気取っていた(写真①)


前回と同じ写真で恐縮だが、ケンジントン宮殿(北東)前のサンクンガーデン(写真②)。1908年に造られた一角で17世紀ハノーバー朝の庭園を模したものだという。ダイアナ元妃がよく散歩した庭として、大切にされている。
宮殿の前から写真左上の緑の盛り上がりがバラのアーチ。写真①はその隙間からケンジントンガーデンズのほうを見たもの。

【プライベート空間がない!】
 宮殿内の出口にくると、写真入りのカレンダーやメモ帳などのお土産コーナーがありました。その減り具合やグッズの多様さ具合で王室の方々の人気の度合いがわかってしまう残酷さ。ただ、そこに生まれただけなのに王族は大変です。

 宮殿の外に出ると長蛇の列でした。朝だから、すんなり入れたのですね。
しかしこれほど観光客でごったがえす宮殿が現在も王族らが暮らす場所とは驚きです。あまりに気軽に入れるし、奥に入れなくても隙間から庭などが見えるくらいなので王族が暮らす場所は別の場所では、と常識的に考えるとそういう判断に落ち着きます。

 ところが当時は本当にウィリアム王子一家もヘンリー王子一家もそこで暮らしていたのです。驚きました。実際、そこで暮らすヘンリー王子婦人のメーガン妃の赤ちゃんの抱え方があぶなっかしいだの、服がどうだのと、私が住んでいるマンションの入口や鉄道駅に山積みされた無料のタブロイド紙で、連日写真入りでおせっかい極まりない指摘を載せていました。

その後、ヘンリー王子一家は国外へ(ご存じの通りその後ますます変な方向に)、ウィリアム王子一家も2022年9月に主な住まいをウィンザー城へと移しました。ウィリアム王子は子供の教育的配慮のために引っ越した、と説明されているようですが、むべなるかな。プライバシーがなさすぎたんですね、やっぱり。
(ケンジントン宮殿にスタッフは今も居住し、ウィリアム王子一家の生活の場として維持管理されているそうです)

【サンクンガーデン】
さてこんなお城の出口前だというのに、とても静けさ漂うまとまりのある小さな庭園がありました。レンガの敷石にバラのアーチや勿忘草などの小さな草花の植え込みが美しい空間。

 そこがサンクンガーデンという名で、ダイアナ元妃がよく散歩していた場所だと後に知りました。私が訪れた2年後の2021年7月に二人の王子によって始まったプロジェクトによってダイアナ元妃の銅像がここに設置されたのです。二人の王子も除幕式に出席された映像は二人の関係が不穏な時期と喧伝されていただけに、記憶にとどまっています。
                       (つづく)

※今年もよろしくお願いします。心を寄せる場所へ思いを馳せつつ、日常を大切に過ごすことも大切だと感じています。
 少しでも気持ちを明るくしたいときにほっとできる場所。ここもその一つになれたらうれしいです。
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