雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

鉛が中国の子供をおびやかす 2

2006-07-26 14:26:11 | Weblog
写真はロータリーで休日のひとときを楽しむ家族。ここは広いのですが、狭い中央分離帯でひたなぼっこする人も結構、います。排気ガス臭いのですよ。
【中央分離帯でチャンバラごっこ】

 この鉛中毒の原因は公表されていないが、日本でも高度成長期の1970年代には各地で鉛汚染が問題となった。その原因の一つは自動車用ガソリンに含まれる鉛だ。東京都立衛生研究所の報告によれば1975年にレギュラーガソリンが無鉛化されて以降は、調査対象の都内での血中鉛濃度は劇的に減少したという。

 現在、中国では無鉛ガソリンが義務付けられているが、新聞には時折、無鉛と称した有鉛ガソリンが売られていたという取締りの記事が掲載される。どんなに取り締まっても皆無ではないというわけだ。

 昆明も車社会に突入し、朝夕の渋滞がひどい話を前に書いたが、そんな中、昆明の子供たちは、6車線道路の中央分離帯の緑地ででんぐり返しやチャンバラごっこに興じていた。コンクリートばかりで地面がほとんどないため、そんな場所でも貴重な遊び場となってしまうのだ。その無警戒さも鉛中毒をひどくさせているのだろう。原因が公表されなければ、警戒のしようもない。早急な対策が期待される。
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鉛が中国の子供をおびやかす 1 

2006-07-19 15:31:45 | Weblog
昆明市内の渋滞。朝夕のラッシュ時には目がチカチカするほど、空気は悪化する。
【繊維質をとれといわれても・・】
 2004年10月に雲南省昆明市内の幼稚園で突然、「鉛中毒の講習会」が開かれた。会の主旨は「昆明で鉛中毒の子供が増えている、子供たちは鉛中毒の被害を大人以上に受けやすいので注意するように」というものだった。注意といっても食べ物と遊ぶ場所への配慮程度で、原因の説明は一切ない。保護者が質問をしても「繊維質を多く摂ってください。ただし子供は大人より栄養分、とくに脂肪の吸収率がいいので繊維質をとっても簡単には排出されません」との答えしかかえってこない。子をもつ親は途方にくれるしかなかった。

 数日後、街角で鉛中毒のポスターを見かけた。そこにも脳神経系に障害をもたらすために起こる症状の説明はあっても対策は書かれていない。やがて「これで鉛中毒を防げる」といった怪しげな薬の広告が目につき始めた。

【雲南省の児童の30%が鉛中毒】
 10月下旬には、雲南省で学力トップの師範大付属小学校生4104名に対して血中鉛の検査を行ったところ、46.76%が正常値を超えていて、なかには237μg/ℓという高い濃度の人もいたとの新聞報道がなされた。そして
「雲南省では14歳以下の児童の約30%がなんらかの鉛中毒との観測があるので、児童は検査を受けてほしい」(雲南信息報)と省政府も動き出した。また2005年3月には全国政協十届三次会議という、全国の識者が国の問題を議論しあう会議(日本の参議院のようなもの)でも鉛中毒が議題に上がり、問題は国レベルへと及んでいった。いや命令系統は逆で先に国からの呼びかけがあって、雲南でも新聞報道があったのかもしれない。

 ともかく、そこでは北京市で、少なくとも1/3以上の児童が鉛中毒に侵されており、工業都市の重慶市では85%以上に達しているとの深刻な数値が報告されていた。
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マネルがマナブ

2006-07-13 09:30:15 | Weblog
いつもお読みくださり、ありがとうございます。なにか疑問な点や感じたことなど、コメントいただけると、うれしく思います。さて、今回から「子供編」に突入。

写真は雲南省文山県のおばあさんと子供。代々手縫い刺繍の服装に身を包んでいます。昆明と違って、田舎の町です。
【昆明の子供の教育法】
 元気はつらつのご老人らを将来、支えなければならない子供たちはというと・・。
まず小さい頃からのスパルタ式詰め込み教育。毎晩、遅くまで宿題漬けで、学校のない土日はお稽古ごとをはしごする。娘の通った幼稚園でも、年長クラスになると、毎日、漢字の書き取りや計算問題などの宿題があった。しかも計算といっても20までの足し算と引き算は答えまで丸暗記する方式なのだ。

 「学前班」という幼児クラスでは英語やそろばんも覚えなければならない。美術の時間は、先生がホワイトボードに示す通りに紙を切り、色を塗り、のりで留める。できあがるのは皆、同じもの、ということになる。子供たちは疑問を持たずにひらすら真似る教育法だった。 

 娘は帰国する日本人ということであまり宿題をしなくても怒られることはなかったが、それでも日本で小学生になったとき、「小学校って遊んでばかりでラクだよ」と無邪気に喜んでいた。

 また宿舎の小学生に聞くと「古典の暗唱などの宿題があるので毎晩、10時すぎても寝られない。なきべそかきながら勉強する子もいるよ」と言っていた。習い事は「ピアノ、バレエ、英語、バイオリン、習字」が主流で、少年宮という行政区ごとに設けられた子供の余暇施設に通ったり、個人レッスンをする先生宅に通ったりして腕を磨く。したがって宿舎で子供の遊び声が響くのは、休日を控えた金曜の夜だけなのだった。

 小学校では体育の授業はほとんどないらしい。元気に自由に走り回る機会の少ないコンクリートジャングルの昆明の子供たち。素直で優しい昆明の子供たちの「生きる力」が、今のお年寄りレベルになる日はくるのだろうか。
(次回からこどもの健康に関わる「中国の鉛汚染」についてリポートします。)

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元気な退職世代5

2006-07-04 12:30:19 | Weblog
写真は前回写真の豪華マンションの一画で見られた光景。風の通り道となるロビー備え付けのコンクリの机でマージャンを熱心にしていた。じつは昆明ではよくある景色でもある。
【増え続ける高齢者】
 さらに深刻なのは、これからが高齢化社会の本番だということ。中国は一人っ子政策の影響で、日本以上の高齢化社会が予想されている。現状でも1割は突破しており、バスに乗っていても、ご老人の割合が多すぎて、若者はまず、常識的には座れず、お年寄り同士で譲り合っていた。
 昆明は雲南省の省都。その中心部で生活する人の多くは、公務員か、企業に雇われた人である。つまり年金の支給が期待できる人々、ということだ。また、天下り、というわけではなくても、今までの経験値を生かした第2の現役人生を歩むご老人もよく見受けられる。
加えて、昆明のおだやかな気候と安い物価に引かれて、わざわざ上海などの大都会から老後の生活を豊かにするために引っ越している年金生活者も少なくない。かくして昆明は老人天国となっている。

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