雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

スペインとポルトガル92  グラナダのプチホテルと王立礼拝堂

2023-02-25 17:09:33 | Weblog
プチホテル前の石畳とタロ川。夕方のせいか歩いているのは観光客が過半であった。

【上質なプチホテル】
グラナダ駅前でバスを降り、タロ川沿いの石畳の道を登ると、17世紀の館を改装したプチホテル「マリアナ・ピネダ宮(Palacio Mariana Pineda)」に着きます。

写真はプチホテル・マリアナ・ピネダ宮の入口。

外観からだとたくさんある建物の一つにしか見えないのですが、じつは元貴族の館。なかに入るとおしゃれでゆとりもあり、部屋も黒味がかった木の柱や木彫家具が素敵です。古い館にありがちな階段と段差ばかりで、スーツケースの移動は難儀しましたが、ヨーロッパでは珍しく出かける際に見送ってくれる温かいもてなしがありました。

プチホテルの中庭。

【王立礼拝堂】
 宿のカフェで一息つき、さっそく王立礼拝堂へ。中は凍るほどの寒さにもかかわらず街では見かけなかった人の姿が。みな静かに入場料に含まれるイヤホンガイドを聞きながら、見学(回遊?)しています。

 グラナダ王国を落とし、レコンキスタを終焉させたカスティーリャのイザベル女王が命じて作らせた自身と夫フェルナンド2世のための墓所。いまも遺骸が当時のまま納められています。黄金きらめくたいへん豪華な造りなのですが、これはイザベル女王の意向ではなかったとイヤホンガイドの説明。へんな説明だなあと、帰ってからイザベル女王を調べると、たいへんな苦労人であることがわかりました。王族の出ながら、カスティーリア王国の王だった父が3歳で亡くなると、母と弟とともに追放され、ために母は精神を患い、その家族で生きていた。そしてある時、王族の思惑がらみで女王の座へ。『プリンセス』系の少女漫画になっていそうな人生です。
 盛りだくさんの一日の終わりはタパス巡り。濃い目のワインと苦みを帯びたグラナダのビールがうまい!

細めんを巻いて揚げたタパスの料理。串が刺さっていたり、薄切パンの上に載っていたりと、一口でほおばれるのが特徴。



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スペインとポルトガル91 眠る街グラナダ

2023-02-18 17:14:16 | Weblog
写真はアンダルシアの交通の要衝アンテケラ駅。駅の周囲には街らしい風景はなく、乾燥した平原と、形のいいとんがり帽子のような切り立った山が見えるばかり。というのも、高速鉄道の乗換駅として高速道からも乗り入れできる駅として街の中心から17キロ離れた場所に2006年に作られた、ジャンクション駅だからだ。
 そこに突然、列車やバスから降ろされた人々は各々のやり方で情報収集に追われた。


駅の案内掲示も混乱(アンテケラ駅にて)。

【眠る街・グラナダ】
 アンテケラ駅(ANTEQUERA-SANTA ANA)は、清潔感ある石とガラス張りの駅でした。その傍らで我々はバスを降ろされ、運転手も「わからない」といって困惑するのみ。客も皆、いらだつことなく「困ったな」という感じで首をすくめて様子待ち。

 駅には別の便に乗っていた日本人の若いカップルがいて、やはり立ちすくんでいました。情報交換をしたのですが、まったく様子がわかりません。とりあえず、駅のトイレに入ろうとしていたら

「グラナダ、アルヘシラス、ロンダ行きは外でバスを待ってください」

 とアナウンスが流れました。
 急いで駅を出ました。

 やがて2時40分にグラナダ行きのバスが出るというので乗り込み、シートにもたれてほっと一息。駅で会った若い日本人カップルも乗っていました。結果、アンテケラ駅を1時間後に出発できたのですから、ラッキーでした。

 今、振り返ると、電車がなにかの事情で止ったため、周辺を走っているバスに駅に向かうように指示があったのだと推察されます。同じように駅のロータリーにはバスが数台、止っていました。

 さて、その後、順調にアンダルシアの草原を進み、4時すぎ、白い雪峰の目立つシエラ・ネバタ山脈が見えた、と思うや大きな石の街に到着。グラナダ駅が目の前にありました。

 ようやく着きました。アンダルシアの宝石とも呼ばれる街、アルハンブラ宮殿のある街。イベリア半島で最後のイスラム王朝の砦となり、1492年に陥落したことで、キリスト教勢力のレコンキスタが終結した、と世界史の教科書に書かれている街。

 なのに街中はシャッターが閉まり、動くのは観光客のみ。おどろくほどに眠る街。この世界遺産の街は夕暮れの気配が、実際以上に濃く感じられたのでした。
(移動距離202キロ。なにもなければアルヘシラスからグラナダまでスペインの高速鉄道レンフェで乗り換えなしで3時間20分で到着する。)

参考
https://en.wikipedia.org/wiki/Antequera-Santa_Ana_railway_station
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スペインとポルトガル90 アルヘシラスからグラナダへ①

2023-02-11 14:28:19 | Weblog
写真はアルヘシラスから乗り込んだグラナダ行きのバス。本来の列車の代行輸送として用意されたバスなので、表示に「RENFE」(レンフェ)の文字が見える。レンフェはスペインの国鉄のこと。外装は攻めた感じだが、内装は落ち着いていて豪華だった。

【あんまりなホテル】
アルヘシラスの滞在はさすがに疲れました。なんといっても、たった2日間でジブラルタルとモロッコにまで行ったのですから。

 そして拠点としたアルヘシラスのホテルが難物で。バスターミナルからほど近いのは利点なのですが、何よりまいったのがサービスの朝食でした。

 ビュッフェ会場にいくとパンとジュースとヨーグルトときゅうり、トマト、チーズの薄切りがシンプルに並んでいるのですが、宿泊客はいるはずなのに会場はガラガラ。そして取り皿にきゅうりを載せると、なぜか粘りが。

 ンン? これはもしや腐っているのでは、と匂いを嗅ぐと、案の定の香りです。当然ながら口をつけず、その場を離れました。従業員がウーバーを頼んでフロントで食べている様子から何かを察しなければならなかったのかもしれません。
 (かわりに近くのケバブ屋に。激しい混み具合から、周辺においしいお店がないことを感じる。サンドがおいしい)
 別の時間に朝食会場に行った家人は食べていて、結果、何度もトイレにいくっていました。

 日頃から賞味期限のラベルではなく、実際に見て食べられるかどうかを訓練しておくことは大切なのかも。

【アルヘシラスからグラナダへ】
 タンジェから帰った翌朝、グラナダへ行こうと鉄道の券売機へ行きました。画面では席指定までできたのに、なぜか購入ボタンが押せません。

 駅の人にたずねると
「その列車、今日は走っていないよ」
というので、案内にしたがってバスに乗ることになりました。駅に横付けされていて、あらかじめ用意されていたのです。

 そもそもがアルヘシラス駅には一日数本しか列車がなく、しかもヨーロッパでは改札口もないので、ホームは行き放題。なんと雑草も生えていて、本当の駅なのか不安になるほど、とてつもなく寂しい駅でした。

 駅の人も鉄道関係者なのか、お掃除の方なのかわからないくらいの雰囲気でした。今日でなくとも、私が乗る予定だった列車のほかにも、この終着駅まで、日頃から列車がくるのか疑わしいほどの静寂でした。

 一方、駅に横付けされたバスは、トイレ付の、清潔で窓の大きい大型のもので快適そのもの。それを6人ぐらいでゆったり乗れる幸せ。

【グラナダへ向けて出発】
 11時45分に出発すると車窓は黒松から白っちゃけた林に乾いた大地と目まぐるしく変わっていきます。ここでもコウノトリが駅の電信柱ごとに巣をつくり、大空をつかんで、自由に羽ばたいています。

なかでも印象的だったのがマラガ。白い土に赤い峰、黄色い花、青い海とくっきりとした色が油絵そのものの景色なのです。マラガはピカソの故郷ですが、普通に描くと近代画の油絵になってしまう風土だったのでした。

 13時34分、マラガから地中海を背にして少しずつ標高をあげていくと、小山の連なりに風景は変化。

 車窓を楽しんでいると出発から2時間半が過ぎたころに着いたアンテケラ駅で全員、バスを降ろされてしまいました。この駅はアンダルシアの交通の要衝のはずですが、店などはなく、山と草原ばかり。
    (つづく)
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スペインとポルトガル89 モロッコ⑤ お菓子屋と干しプルーンの煮込み

2023-02-04 15:21:33 | Weblog
 写真は、タンジェの地元好みのレストランで出会ったプルーンと鶏肉の煮込み。料理も料理人も見るからに中東系だったが、お皿には「华国酒店」「RESTAURANTE」「JARDIN CHINO」の文字が。中国語のほうは花園レストラン、アルファベットはスペイン語でレストラン チャイニーズガーデンの意味。つまり同じこと。中国料理店のロゴ入り皿を、気にせず購入し、店用に使っているようだ。安さの秘密なのだろうか?

【大きな店より小さな名店】
 すぐ近くの裏通りにある穴蔵のような小さなお店。白壁に小さく「スナック」とかかれた赤い看板のみが住居でないことを示しています。階段を降りると、床に撒かれた木のチップがよい香りを放ち、意外と清潔そう。

床に撒かれたチップ。雲南にも床に松葉を散らして、すがすがしさを出すレストランがあったことを思い出した。

お昼の時間を過ぎているため、店員さんは、食後の片づけに忙しそう。ここでラシードさんはお昼を頼んだので、私たちも同じものを頼みました。

これがとてもやさしい味。干しプルーンを入れた鶏肉の煮込みは、プルーンがほどけて、独特の酸味がいいアクセントになっています。それにフレッシュハーブティ。店の中の暗さと外の日差しの強烈さが異国情緒を誘います。

【モロッコの寅さん】
 こうしてお菓子屋さんに戻りました。ラシードさんはさっそく2階に上がると、店員にたくさんの箱を持たせ、自分もひと箱抱えて降りてきました。

「これがおいしいんですよ。上等なんです」

とニコニコ顔。すでに一個、ほおばっています。中を開けると、サクサク系はなく、見た目以上にしっとり系のお菓子のオンパレード。バラの香りなど、香料も強めです。
カップルは

「あのう、サクサクのクッキーがいいんですけど」

と言っているのにラシードさんは全然聞かないで、そのまま自分の分をお会計。カップルも、山のような菓子箱を手に、悲し気に会計をしていました。

 カップルには、かわいそうでしたが、ラシードさんの思い込みの激しい親切心は、なんだか日本の喜劇映画で出てくる下町のおじちゃんみたいで、おもしろい。俺はいいことをした、と固く信じているのです。

 私たちも一箱買い、さりげなくさくさくクッキーも買いました。

 味はラシードさんが頭から否定したウインドウにあったクッキーも特上詰め合わせもどちらもすばらしい。ラシードさんはバラなど(たぶん自然派の)香料が口いっぱいに広がるのが好みなのでしょう。甘さも見た目ほど強烈ではなく、自然に舌に溶け込みます。クッキーも、パリッとしたアーモンドの香ばしさとサクサクとした生地がたまらない。ベルギーのカップルも食べたかったろうな。

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