雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

ツバメとコウモリ2

2013-11-30 12:45:37 | Weblog


写真は建水の燕小洞にて(2006年夏撮影。)写真上は燕子洞の入り口。上部の鍾乳石には赤、青、黄色などカラフルなお守りが結びつけられている。どうやってつけるのかは、次回。写真下は鍾乳洞の内部。

【建水・燕子洞】
 富民のようにツバメの飛来する洞窟の中で、雲南で最も有名なところが省中部の建水にあります。その名も燕子洞。明、清代と雲南の中では多くの科挙合格者を排出し、大いに賑わった建水県城から30㎞ほど東にある巨大な鍾乳洞です。清代からお金持ちが用心棒を雇ったり、街の腕に覚えのある衛兵が徒党を組んで探検したという記録が残っているほど、人々にとって巨大で、複雑な構造で、神秘的な空間でした。

 2006年に訪れた時には交通アクセスが非常に悪いにもかかわらず、けっこうな人出でした。
 燕子洞へ向かう道中から、無数のツバメが、にぎやかです。
 建水県燕子洞は、同ホームページによると全長2.7㎞、高さ30メートルから50メートル。ただし、付近には顔洞など開遠市に通じる鍾乳洞が大きいものだけで3つあり、調査すると繋がっているということなので、実際にはそれ以上の規模があります。

 高さ30メートルはある、ぽっかりと開いた鍾乳洞の入り口を入ると紅い水をたたえた瀘江が洞の底をゴーゴーと流れ、生ぬるい風がゆるく流れ、日本にはない風情をたたえています。

 薄暗い照明の中を1.5㎞ほど歩くのですが、アップダウンが激しくずいぶんと歩いたような感じがします。なにより様々な鍾乳石を間近に見られる感激は格別なものがあります。日本でもあぶくま鍾乳洞など数々の鍾乳洞がありますが、それらより巨大で風格を感じました。

深奥部からは用意された手こぎの竜船に載って外界に出ることができます。こぎ手がギーコギーコと漕ぐ音がさらに風情をかもしていました。この乗船代は入場料に含まれています。

私は8月に行ったのですが、ツバメがピルルルー、ピルルルーと激しく飛び回り、洞窟にもこだまして、洞窟を出た後も、音が耳の奥で反響しているほどでした。      (つづく)
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ツバメとコウモリ1

2013-11-24 08:31:57 | Weblog
写真は昆明市中心部にある拓東体育館のひさしで巣をかけて子育てをするツバメ。巣は主に泥と草の茎などで作られる日本と同じタイプのもののようだ。(2010年夏撮影)。

【なぞの民族芸術博物館】
雲南にいる野生の鳥で、鳥自体は食べる対象にならないものにツバメがいます。ツバメは、5月から8月ごろの雨期の時期には無数に雲南各地を飛び回り、すっかり都市化の進んだ昆明中心部でもごく普通に見られます。

 私が見つけたのは、2010年8月お盆ごろ。昆明中心部よりやや東よりにある東風東路の拓東体育館と博芸堂民族芸術博物館の屋根のひさし。周辺は外国人バックパッカー御用達の茶花賓館がすぐ近くにあります。(茶花賓館にはラオスの昆明総領事館があるので、そのビザまちの外国人も多い。拓東体育館はサッカー中国代表の公式スタジアムとしても知られています。有名歌手のコンサートなども開かれます。)

 体育館周辺の駐車場には、昆明市民の自家用車が所狭しにとまり、子どものスポーツ教育に熱心な親子が詰めかけています。
 博物館はじつに閑散としていて、私が行ったときは見学者は私のみ。由緒ありそうな立派な建物の中は薄暗く、私の通る時だけ、係員がうすぼんやりとしたあかりをともす中、民族衣装や小物の展示を見る静かなところでした。この展示物は展示品だけのシロモノではなく、古物の物品販売の趣で、さりとて売り込みに熱心なわけでもなく、微妙なムードが流れまくっていました。

 冷え切った博物館を出ると、博物館のひさしにツバメが無数の巣を作り、ピー、ピーイと賑やかに鳴いて、急がしそうに飛び回っています。とくに気にする人もいないなか、百羽以上が飛び回っている様子です。

昆明周辺で、さらに有名なところには昆明市北部にある富民県の洞窟があります。こちらは岩壁のくぼみというくぼみにツバメが多数、巣をかけ、地元の人は昔(すくなくとも清代ごろ)からツバメの巣を採取しては市場に売りに出していたとか。このツバメの巣は食用としては適さないものなのですが、地元の人には珍重されていたそうです。  (つづく)

参考文献:民国・羅養儒『雲南掌故』雲南民族出版社、1996年)

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日本式温泉と座布団4

2013-11-16 15:25:33 | Weblog
写真は金方日式温泉のフロント(2004年撮影)。

【いざ浴場へ】
 ふしぎキモノの女性が取り仕切るフロントでお金を払い(2013年時点では180元。日本円で2300円ほど)、バスタオルなどを受け取り、男女別のロッカーへ行くと、みなさん水着を着脱していました。

 温泉は牛乳風呂やバスクリン風呂、花びらを浮かべた風呂、泳げる風呂(つまり温水プール)など、派手な色をした湯だまりが湯気を立てて沼地のように広がっています。2005年当時で20近く。2013年には特色風呂は37個に増殖。

 広大な森林に点在する膨大な数の露天風呂。温泉浴と森林浴を同時に行うことができ、中国客から欧米客までさまざまの水着姿の男女混浴。壮観です。日本式なのは、ふしぎキモノと露天風呂でゆったり、というところでしょうか?

 ちなみに中国の本来の共同浴場はきっぱりと男女別。人前で裸はありえません。(数年前に西安で日本人留学生が文化祭ですっぽんぽんになって踊り、「中国人に対する侮辱だ!」と外交問題に発展しかけたことがあったのも、そのためです)

 まあ、「日本式」を探そうとさえしなければ、鳥の声がこだまする広々とした空間に気持ちがゆったりとしてリゾート気分には浸ることができます。

 ところで2013年に「金方日式温泉」に行ってきた人の体験記ブログを読むと、さすがに座布団シスターズは消えてしまった様子。かといって正しい着物姿に進化することもなく、今はタキシード姿の男性になっているそうです。
「どこが日本式なの?」と、ブログの作者は疑問を持たれていました。

 たしかにタキシード姿は日本のサービス業の男性に見受けられる格好ではあります。そのうちにフリフリのエプロンを着たメイドカフェの格好になっているかもしれませんね。    (おわり)

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日本式温泉と座布団3

2013-11-09 16:08:03 | Weblog
写真は従業員の一人。ドアの外には団体客用の小型バス(車体には金方日式森林温泉」と宣伝文句が書かれている)が止まっている。これも日本式を意識してのことか?

【キモノの帯はむずかしい】
 彼女たちのコスチュームは日本の浴衣風のキモノなのですが、帯の部分が太めのヒモを腰に巻いて気軽にピンで留めただけなのです。そして、その後ろには、黄金色の座布団がちょこんとはさみこまれていたのでした。

 キモノを写真やテレビで見ただけの人には、帯の後ろのふくらみが座布団に見えてしまったのでしょう。現にお太鼓結びなどをする場合は帯のふくらみを持たせるために「帯枕」というクッションを添えるので、あながち、完全なまちがいでもありません。

 いまや日本にも腰に太めの帯を巻き、あらかじめ形作られた文庫結びをマジックテープで貼り付けるだけ、というものもあることだし、と、吹き出したい衝動を必死で押しとどめたのでした。

 考えてみると、日本の帯の締め方は中国にはありません。世界中見渡してもたぶん、ないでしょう。多様な民族衣装が残る雲南の人が理解できない民族衣装・キモノ。現代の日本人も苦労する帯の締め方は、写真を見ただけは到底理解できるものではありません。むしろ帯の締め方が中途半端な場合よりもヒモに座布団の方が、ほどけなくて安心ともいえましょう。  (つづく)
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日本式温泉と座布団2

2013-11-03 08:42:37 | Weblog


写真上は安寧の金方日式温泉の入り口。写真下は、そこで働く女性の一人。

【「日式」女中さん】 
安寧は温泉を中心に発達した場所なのですが、日本のように山間の集落に所狭しと温泉旅館がひしめいている、という風景ではありません。周辺になお豊かな森林を残す平地に、温泉施設やお寺、仏教関係の学校施設などがちょこちょこ散見される、という街らしい風景のない、かといって別荘地でもない、ぼやけた感じの温泉地です。

 その中でひときわ目を引くのが「金方日式森林温泉」。湯温42度~45度、微炭酸ラジウム泉とまさに日本人好みの温泉です。昆明中心街でも「安寧温泉は金方日式森林温泉」と書かれたポスターが見受けられたほど宣伝も積極的。「日式」とは日本式の意味なので、興味はイヤが上でも増していきます。

 さて広大な森の中にたたずむこの温泉の看板が見えてきました。車利用の客を見込んで、大きな道路と駐車場があり、森に囲まれた風情はさながら日本の国民休暇村のようです。

 私はバスと徒歩なので、そのまま玄関のサッシを開けると、
「(ファンイン・クワンリン)歓迎光臨」
 とやさしげな、若い女性の、町のレストランでもよく聞かれるフレーズで迎えられました。「いらっしゃいませ」ではないんだなあ、と思いながら声のほうを見ると、そこには、女中さんの着物姿風の女性がズラリ。日本の温泉地をモデルにした中国ドラマや憧れの場所として伊豆温泉のコマーシャルのような高級感あふれる雑誌記事を探せば中国ではたくさん観られるので、その学習の効果でしょうか。
 とはいえ、よく見るとチト、へんだぞ。

 髪をピン留めでぴっちり後ろに持ってきて、一つに結んだポニーテールはヒモでぐるぐると棒状に結わえたのは、どこで見たのか、おそらく、皇室の結婚式などで見かける日本古来の「おすべらかし」の影響でしょう。もしや平安時代の働く女性は一つに結んでさらしで巻いたそうですから、むしろ、そこまでさかのぼったのでしょうか?

 その上、髪の結び目には2本のお箸が! シーサンパンナでよくみたスタイルです。箸を刺すのは、間違った日本髪の伝聞なのか? それとも雲南発の新たなモードなのか?

 しかし、単なるお箸をかもじのないところに刺して、よく抜けないものだと、ただ感心。もはや単なるアクセサリーと化して結び目がほどけないように固定する意味は消失しています。シーサンパンナで見たときより刺し方に美意識を感じるのは私だけでしょうか? ともあれ昆明では見かけない髪型です。
 さらに目線を下に向けると、さらに強烈なインパクトがおそってきました。

              (つづく)
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