写真上はケンジントン宮殿。
【ケンジントン宮殿】
ケンジントンガーデンズには、わかる人にはあたりまえでしょ、といわれそうですが、ケンジントン宮殿があります。朝10時から一部区画が開放されていて、入場券を購入すれば、誰でも予約なしで見ることができるのです。
私も朝10時に宮殿見学に行ってみました。切符を買って10分ほどで中に入ることができました。
ベルギーの王宮などの白地に金の装飾といったキラキラとした派手さとは違う、いかにも住まい、といった感じの木目を大切にした暗めの内装。天井は高いものの、気が遠くなるほど広い、といった感じではなく、人の気配を感じる空間です。
とはいえ、写真を見返すとやはり王家の住まい。
入口を入って階段を上がってすぐの踊り場的空間。冬場は寒く、日がすぐに落ちるせいなのか、宮殿の内部は自然採光に頼らないろうそくの明かりが映えそうな部屋が続く。
【豪華な装飾品や自画像も】
廊下の奥がヴィクトリア女王の誕生の間です。じつはここ、台所の脇。産湯とか出産に便利だったからだそう。親の思惑でイギリス生まれにするために滑り込むようにこの宮殿で生まれることになった事情が垣間見える、王族にしてはやや落ち着いた空間。彼女は1819年、ここで誕生し、18歳で即位するまで、この宮殿内で過ごしたということです。
この展示が、興味をそそりました。ベッドや壁紙などは当時を再現したもののようですが雰囲気は伝わってきます。なにより間取りが本物なのでテンションが上がります。ちょうどロンドンに来る前にタイミングよくBBCのドラマ『女王ヴィクトリア愛に生きる』がNHKで放映されていて見ていたので、より一層、興味を掻き立てられました。
パネル展示のコーナーでは、ヴィクトリア女王がインドを訪問したときの写真やヴィクトリア女王自身が書いた自画像、彼女の身に付けていたものなどが展示されていて、自画像を見ていると誠実な人柄なことが感じられました。
ヴィクトリア女王が身に付けていたティアラなど。
上はヴィクトリア女王の孫娘、ルイーズ王女(エドワード7世の娘)の結婚式のために女王が1887年にプレゼントしたダイヤモンドのティアラ。当時の有名なパリのジュエリアーの手によるもの、とのこと。
【女王の間】
ヴィクトリア女王の展示の次は、歴代女王の私的空間です。
そもそも17世紀に共同君主となったメアリ2世とウィリアム3世が街の中心にある宮殿の喧噪から離れたいと郊外に購入したのがケンジントン宮殿でした。このあたりの部屋は、メアリ2世の命で拡張されたところで彼女の趣味がよく感じられるといいます。映画『女王陛下のお気に入り』(2018年公開)に登場するアン女王 と彼女の幼なじみで親友のマールバラ公爵夫人サラ・チャーチル が実際に喧嘩したりした場所もありました。
上は1688年に王位継承者の資格を持つジェームズ・フランシス・エドワード・ステュアート が生まれたとされるベッド。イギリス史においてその出産からたいへん複雑な歴史を持つベッドである。とにかくイギリス王室の歴史は、難解だ。
メアリ2世は、日本と中国の磁器の収集に情熱を傾け、部屋中、それでいっぱいにした。
家具も! 江戸時代、オランダは日本の製品を独占して、さぞ儲けたことだろう。
ヴィクトリア女王コーナー以外では、現代の王族の仕事の紹介やその時の写真の展示、今なお人気の高いダイアナ元妃の身に付けていた洋服、またデザイナーが彼女に服をプレゼンする際に使ったデザイン画なども展示されていました。
(つづく)
※次回の更新は再来週となります。今年もこのブログにお付き合いくださいまして、ありがとうございました。みなさま、よいお年をお迎えください