雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

二度目のロンドン15 ケンジントン宮殿のなかへ 上

2023-12-24 14:51:55 | Weblog
写真上はケンジントン宮殿。

【ケンジントン宮殿】
 ケンジントンガーデンズには、わかる人にはあたりまえでしょ、といわれそうですが、ケンジントン宮殿があります。朝10時から一部区画が開放されていて、入場券を購入すれば、誰でも予約なしで見ることができるのです。

 私も朝10時に宮殿見学に行ってみました。切符を買って10分ほどで中に入ることができました。
ベルギーの王宮などの白地に金の装飾といったキラキラとした派手さとは違う、いかにも住まい、といった感じの木目を大切にした暗めの内装。天井は高いものの、気が遠くなるほど広い、といった感じではなく、人の気配を感じる空間です。
とはいえ、写真を見返すとやはり王家の住まい。

入口を入って階段を上がってすぐの踊り場的空間。冬場は寒く、日がすぐに落ちるせいなのか、宮殿の内部は自然採光に頼らないろうそくの明かりが映えそうな部屋が続く。

【豪華な装飾品や自画像も】
 廊下の奥がヴィクトリア女王の誕生の間です。じつはここ、台所の脇。産湯とか出産に便利だったからだそう。親の思惑でイギリス生まれにするために滑り込むようにこの宮殿で生まれることになった事情が垣間見える、王族にしてはやや落ち着いた空間。彼女は1819年、ここで誕生し、18歳で即位するまで、この宮殿内で過ごしたということです。

 この展示が、興味をそそりました。ベッドや壁紙などは当時を再現したもののようですが雰囲気は伝わってきます。なにより間取りが本物なのでテンションが上がります。ちょうどロンドンに来る前にタイミングよくBBCのドラマ『女王ヴィクトリア愛に生きる』がNHKで放映されていて見ていたので、より一層、興味を掻き立てられました。

パネル展示のコーナーでは、ヴィクトリア女王がインドを訪問したときの写真やヴィクトリア女王自身が書いた自画像、彼女の身に付けていたものなどが展示されていて、自画像を見ていると誠実な人柄なことが感じられました。

ヴィクトリア女王が身に付けていたティアラなど。




上はヴィクトリア女王の孫娘、ルイーズ王女(エドワード7世の娘)の結婚式のために女王が1887年にプレゼントしたダイヤモンドのティアラ。当時の有名なパリのジュエリアーの手によるもの、とのこと。


【女王の間】
 ヴィクトリア女王の展示の次は、歴代女王の私的空間です。
 そもそも17世紀に共同君主となったメアリ2世とウィリアム3世が街の中心にある宮殿の喧噪から離れたいと郊外に購入したのがケンジントン宮殿でした。このあたりの部屋は、メアリ2世の命で拡張されたところで彼女の趣味がよく感じられるといいます。映画『女王陛下のお気に入り』(2018年公開)に登場するアン女王 と彼女の幼なじみで親友のマールバラ公爵夫人サラ・チャーチル が実際に喧嘩したりした場所もありました。


上は1688年に王位継承者の資格を持つジェームズ・フランシス・エドワード・ステュアート が生まれたとされるベッド。イギリス史においてその出産からたいへん複雑な歴史を持つベッドである。とにかくイギリス王室の歴史は、難解だ。

メアリ2世は、日本と中国の磁器の収集に情熱を傾け、部屋中、それでいっぱいにした。

家具も! 江戸時代、オランダは日本の製品を独占して、さぞ儲けたことだろう。

ヴィクトリア女王コーナー以外では、現代の王族の仕事の紹介やその時の写真の展示、今なお人気の高いダイアナ元妃の身に付けていた洋服、またデザイナーが彼女に服をプレゼンする際に使ったデザイン画なども展示されていました。
                    (つづく)

※次回の更新は再来週となります。今年もこのブログにお付き合いくださいまして、ありがとうございました。みなさま、よいお年をお迎えください
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二度目のロンドン14 ケンジントンガーデンズ 散歩するひとたち

2023-12-17 11:30:14 | Weblog
写真上はケンジントンガーデンズ内にて。英国の芸術家ジョージフレデリックワッツが作成した「物理的エネルギー」という名の銅像。歩いて楽しい不思議な公園だ。


【ピーターパンから電話が】
雑木林の一角のような、雑然としたケンジントンガーデンズ内のロングウオーター池の西側に角笛をふいて自由に戯れるピーターパンの銅像がありました。
スマホをかざすと、なんと、ピーターパンが電話で折り返してくれます。こんなにすごいのに、付近に解説すらは見当たりません。帰ってから調べると、原作でピーターパンはケンジントン公園で乳母車から転落し、乳母に見つけられないまま、そこで育って永遠の少年となったのだとか。いま、私たちがよく知っている原作の「ピーターパンとウェンディ」の話の以前に「ケンジントン公園のピーターパン」という物語が出版されていたのです。作者のバリーは毎日、ここに犬の散歩にきていたとか。昔から犬の散歩のメッカだったのですね。

【南方熊楠も散歩していた】
バリーが散歩していた同じ時期にはロンドン遊学中の日本の知の巨人「南方熊楠」もここのベンチに腰掛けて、よく本を読んでいたとか(本人の手紙より)。目の前には羊が放牧されていたそうです。


ケンジントンガーデンズの西洋菩提樹(シルバーライム)。

【ベルリン市民による西洋菩提樹】
他にも公園の端のほうを歩いていると「1988年にベルリン市民からロンドンに贈られたという西洋菩提樹(SILVER LIME)の木立がありました。第2次世界大戦でドイツから空爆を受けていたことを想うと、意義深い木立です。
このように歴史も懐も深い公園の散策は、歩くたびに発見があって楽しいものでした。
                   (つづく)

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二度目のロンドン13 ハイドパーク&ケンジントンパーク

2023-12-10 14:21:59 | Weblog
写真はハイドパートとケンジントンガーデンズに設置されている犬のもの以外は容れられないゴミ箱。とにかく飼い犬に手厚い公園である。野生の動物もあふれんばかり。

【ロンドンで一番の広さ】
ロンドンで日課になったのが早朝のハイドパーク散歩です。厳密にはケンジントンガーデンズなのですが、ハイドパークと地続きで間に池が挟まっているだけで一体化しているので、シェアハウスの住民は「ハイドパーク」と言っていました。
 公園の敷地はその二つを合わせると253ヘクタールもあり、東京ドーム54個分の広さ。ロンドンで一番大きな王立公園です。公園の脇道に入ると大木に囲まれるので、ずーっと緑の空間が続いていると錯覚してしまうほど贅沢な空間です。ここが都会であることを忘れてしまいそう。

 シェアハウスから徒歩5分、人と自転車しか入れない入口を通るとリスが樹上や地面で、ちょろちょろピタッと、と忙しそうに走り回っています。

 でも一匹だけをみてみると、基本ぼよーんとしている時間のほうが長くて、時折、走る。エサをあげる人を見つけるとそこに集う。人慣れしているのです。
(現在のリスは19世紀後半に北米大陸から持ち込まれたトウブハイイロリスで、ガーデナーにとっては苗を食い荒らす害獣だそう。でもかわいい。)
参考:https://gardenstory.jp/gardens-shops/13503 2023年12月9日閲覧

 4メートル以上はあるような大木ばかりがゆったりと、まるでクリスマスツリーのように立っていて聳え立っています。地面すれすれに、まるで貴婦人のドレスのようにたっぷりと広がっている枝ぶりはハイドパーク流選定術なのでしょうか? ほんとうに気持ちいい。

適度に自然感を残した手入れの仕方がいいのか、気候のせいなのか夏なのに蚊もいません。そして池には白鳥やカモがたくさん。こんな環境なので、サンドイッチを座ってほおばる人もちらほら。

 草花の色が淡く、木々の香りは立ち昇る。葦はうすい薄黄緑、花はパステルカラーのピンク、青、赤。まるでボタニカルアートの世界です。

川に浮かぶカモを何気なく映すだけでイギリスの公共放送BBCのドラマの色になるのは、光のせい? 植物のせい?

ジョギングや犬の散歩をする人々。とくに連れ立つ様子もなく、服装のくずれもなく、都会的。なによりもどんなに大きな犬でもリードを付けず、放し飼いの状態で散歩している様子が日本とは違います。犬も、きちんとしつけされている様子です。

スマホで登録して利用できる貸自転車のコーナーも入口近くにありました。
  

2019年時点で24時間で2ユーロ。30分以内なら無料と、じつに使いやすそうでした。
                     (つづく)

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2度目のロンドン12 憧れのリバティへ 下

2023-12-03 12:43:20 | Weblog
写真上はリバティ百貨店の階段の手すり。カメの彫り物がいかにもアジア風。創建当時から店内を見つめ続けているのだろう。

リバティの創業は1875年。

【アジアンテイストな内装】
リバティでは純粋に買い物が目的だったので家人とは公園で別れるつもりでした。ところが「リバティ社は東洋関連だから興味がある」といわれ、二人で行くことに。

 1924年に建てられたリバティの建物は、まるごと日本でいうところの重要文化財に指定されています。しかも当時、流行のものではなく、それ以前にはやった「テューダーリバイバル」と呼ばれる様式を採用していました。テューダー様式はエリザベス1世の治世に発展した様式なので、まさに「大航海時代」がテーマの家人には外せないスポット。さらに建物の材木には当時のイギリス海軍の2隻の軍艦を使用したのだとか。ますます海の歴史には外せない建物ともうせましょう。

こういうわけで買い物目線の私をよそに、入口に阿吽(あ・うん)の獅子像を見つけて「パシャッ」

天井に唐草文様を見つけては「カシャッ」。入るとすぐに高そうな中国の陶製の壺が出迎え、階段の手すりにはアジア風のカエルと亀の彫り物が・・。

濃厚なほどのアジアンテイストです!

有名な現役のロンドン中心部にある百貨店は、19世紀のオリエンタリズムやジャポニスムを体感できる博物館でもあったのでした。
なんだか雰囲気に酔ってしまい、気づくと赤札が付いていたとはいえ、普段、目に入らない高―いシルクのパジャマを2枚も買っていました。
 その後、旅行時に一度羽織ったのみ。しかもパジャマではなく上掛けとして。なんだかもったいなくて、いまもタンスの奥に眠っています。

【サマータイムでも足りない】
 夕方、部屋に戻って、家人が豚肉のソテーとマッシュルームと地元の野菜とジャガイモを焼いて、ワインとともに夕飯に。疲れていたのでありがたい。

 しかし夜9時を過ぎているというのに、外は明るいまま。高緯度地帯というのはこういうものなのでしょうか?
 サマータイムに夏場は一時間時刻が早まっているので、冬時間のままなら夜10時です。ちなみに夏至の時のロンドンの日の出は4時43分、日没は21時21分で日照時間は16時間38分、冬至のときは日の出が8時3分で日没が15時53分で日照時間の差は8時間強。日本ではその差が5時間弱なのでサマータイムがイギリスで導入されているのは必然なのです。
                     (つづく)
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