雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

語学留学でセブに行く50 

2020-07-26 16:17:12 | Weblog
スペイン・マドリードの中心であるマジョール広場のすぐ近くにある世界最古のレストランとギネスブックに認定されているレストラン・ボティン。狭い店内に料理をサーブする定員が大勢行きかい、活気も威厳もあるお店。写真上は耐熱皿に盛られた子豚の丸焼き。写真下はそれを店員が一人用に切り分け、盛られた様子。

【ルーツとなる豚の丸焼き】
さて子豚の丸焼きは広東の人には広東料理と認識されています。中国のサイトにもそのように説明されています。

また『中国飲食大辞典』(林正秋、徐海栄編、1991年・浙江大学出版社)には、皮をパリッとさせながら、全体をあぶる「烤乳猪」は陝西省あたりの料理と書かれています。陝西省は、今から3000年以上前に建国された「周」以来のずっと大都市として君臨していた長安(現在の西安)や秦の都・咸陽を擁する地です。おおかた宮廷料理の一つだったということでしょう。

丸焼きは料理法としては単純です。日本でも魚など獲物があれば、とにかく火であぶって食べれば丸焼きになるのですから。ただ、大きさが違う。豚ともなると中心まで火を通すには、外側が焼きすぎで焦げて炭化するのを防ぐ知恵がかかせません。その方法が宮廷料理として研ぎ澄まされてきたということ。

作り方は豚の内臓をとって形よく棒で貫いて、ひたすら遠火の炭火でじっくりとあぶる。たえず回転させて、同じところに火かあたって焼き焦げないように注意する。とにかく手間と時間が必要です。豚一頭を使う贅沢さもあります。

紀元前の儀式がかかれた『周礼』『儀礼』などを見る限りでは、豚は、まず、各部位に切り分けるところから描かれているので、一頭まるごと焼き上げる技術は、すぐにはできなかったと思われます。いつごろに確立したものなのかは考える必要がありそうです。豚を丸ごと入れられるかまどと、大量の炭火はかかせません。

広東料理では豚の表面に砂糖水をかけて、ハリとつやを出し、腹の中側には香辛料やみそを薄く塗って香りを出します。

一方、フィリピンのごちそうレチョン。純粋に炭火で焼くだけのものもあれば、とある店のレチョンは、腹に塩、胡椒、レモングラス、玉ねぎ、にんにく、ローレルなどを豚の内側に詰め、腹を縫い合わせてから、ココナツ水を皮にかけてじっくり焼いています。https://cebu-sakura.com/column/article/index/34/
私が路上でいただいたものは、そこまで手が込んでいないほうでしょう。

スペイン料理にも子豚の丸焼きはあります。コチニージョ・アサードといい、耐熱陶器のお皿に載せてオーブンで焼き上げます。食べる時にはお店の人が必要量を切り分けて出してくれます。

スペイン・マドリードで子豚の丸焼きで有名なお店「ボティン(Botin)」。

皿の上には各種野菜や香味野菜とともに子豚からあふれ出た脂で焼き上げられた子豚。外はパリッ、中はジュワッとした食感。

私も行って食べました。岩塩が効いて、ワインやビールとよく合いました。この店は1725年創業。当時の雰囲気のある室内で、ヘミングウェイも通った名店。彼の『日はまた昇る』には、「ボティンは世界一のレストラン」と書かれているほどお気に入りの店でした。

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語学留学でセブに行く49 

2020-07-19 12:57:32 | Weblog
写真はセブのホテルのレストランで食べたアドボ ライス。酢を主体としたアドボソースに豚のばら肉を漬け込み、鶏のフレークやカリっと揚げたニンニクなどを効かせて焼いたものを、アボドソースで炒めたチャーハンの上に載せたもの。レストランの説明書には上記のように書かれていたのだが、食べると、肉を載せた炊き込みご飯のような味わい。意外とさっぱりしていた。

もともとスペインの肉料理「アドバード」からきたもので、スペイン語の意味は「漬け込む」。アドボソースには家庭によってさまざまあり、甘酸っぱさが特徴。一般的には砂糖、酢を主体とした、と言われるが、パイナップルジュースなども使うことも。

【雲南では丸焼きはアヒル】
レチョンのような豚の丸焼きは、日本では中華街などで見ることはできますが、雲南ではお目にかかりませんでした。そのかわり雲南でよく見かけたのが、あめ色にあぶられたアヒルの丸焼きでした。

 とくに回族(イスラム教の人)料理店が目立っていましたが、漢族のなお店や市場でも買うことができました。一羽丸ごと、もしくは切り身をグラム単位で売っていました。豚の丸焼きが広まらなかったのは回族の多い雲南独特の事情もあるのかもしれません。

雲南で豚肉料理というとやはり少数民族のお祭りでの料理が有名です。「烤猪肉」は、最初にぶつ切りにして、塩、唐辛子に雲南独特の調味料で絡み合わせて焼いたもの。雲南タイ族やアイニ、プーラン、ラフ族など雲南南部に暮らす人々の間で作られていました。

20世紀前半の調査資料を見ると、豚の血を飲む風習もあったようで感染症も心配になります。

私が初めて子豚の丸焼きを食べたのは、半世紀ほど前の広東でした。仕事で、ホテルオークラの傘下となったばかりの花園飯店でいただきました。立派なホテルのはずなのに入口が工事中でとても小さく、狭い間口をしばらく進むと現れる薄暗くて広い宴会場に驚いたものです。

今の私なら狭い間口と、ちょっと通りからみただけではわからない奥まったレストラン、なかに入ると地元の人でいっぱい、なんてシチュエーションが重なれば、間違いなく、相場より安くて、日本では味わえない絶品レストランとわかります。ただ当時は知らなかったので、会社の先輩が私の様子をおもしろがっておりました。
(つづく)

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語学留学でセブに行く48 特別な料理レチョン

2020-07-12 09:20:29 | Weblog
写真はメインストリートに面した宿舎にほど近い果物屋さん。生徒はたまに買ってはみんなにも振る舞って食べていた。相場より高めだが、質はよい。写真中央のトゲトゲした姿が頼もしいドリアンは、味は最高だが、においのきつさで有名。当然、宿舎への持ち込み禁止の張り紙が貼られているが、たまに共同で使うゴミ箱にこの皮が入っていて、においを発している。
目の前を通ると英語で常に、呼び込みをされる。無視して通ると「why?」。何度も繰り返すと何も言われなくなる。

メインストリートにはこのような固定店のほか、市場も。このようななかにレチョンの露店が一瞬、あった。

【大家族の分業】
先生はあまり料理をしないと前回書きました。
フィリピンの英語学校で先生をしている人は、たいてい家族(祖父母が多い)がためたお金で大学を出た一家の期待の星。それは大家族のなかでは専業で稼ぐ役割を担うことになり、一家への仕送りが使命となります。
 そのかわりに子育てや家事は、母親や祖母、あるいは家事をこなす担当の兄嫁などが担当するといったケースが多いようでした。

そのため私が聞いても、食べ方はわかっても、作り方を教えてくれることはほとんどありませんでした。

レチョンを食べて以来、すっかりその魅力にはまってしまった私。以後、何度も週末に露店を探しに出かけたのですが、その後、道端でお目にかかることはありませんでした。(レストランにはしゃれた形で高級なお値段でメニューに載っています)

じつはレチョンは特別の日のごちそうだったのです。

私が街で見たのは10月最後の日曜日。11月1日にはフィリピンの祝日・「諸聖人の日(All Saints Day)」が控えていました。
 そして諸聖人の日の翌日は「死者の日(All Souls Day)」で、国民あげてのお墓参りの日になります。それら祝日の前から一族総出でお墓の掃除をしたり、お花などの準備をしたりとあわただしいモードに突入するのです。
 これについてはまたのちほど書きますが、日本の盆暮れのような大事な日で、この日にかかせない料理としてレチョンが用意されていたのでした。おせち料理と同じで、一年中食べているわけではないのです。

 その後、日本に帰ってからニュースをみていると、2019年10月に豚肉の値段が高騰し、フィリピンの人がこの日のために買うレチョンが暴騰しているニュースとそれに対して、困惑しているフィリピンの人のインタビューなどが放映されていました。
(2019年9月にフィリピンではじめてアフリカ豚コレラが確認され、」10月12日までに12000頭の豚から感染を確認https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/10/2a0f5348576f81a6.html)
 フィリピンの事情を知らなければ、それほど深刻に思わなかったでしょうが、日本で正月前にカズノコやいくらが暴騰する以上に深刻な事態だったことがわかります。
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語学留学でセブに行く47 英語学校シティとイフガオ豚

2020-07-05 11:41:28 | Weblog
イフガオ出身の先生が授業の最後にくださった、お手製のカード。心優しい先生でした。他にもう一枚、ハートのカードもありました。

【かわいい豚をみると・・】
この、明るくて、いつも化粧を気にしていて、でもそれと同じくらい読書が大好きな長い髪の女性の先生。子供と離れたり、夫が頼りなかったりといった生活の苦労は普段は表には出ず、とてもキャピキャピしていて、楽しい先生です。

イフガオ豚が、かわいらしくエサを食べている写真を見ながら、この先生が無邪気に放ったひとことが

「おいしいのよー」

かわいい、という感想こそ似合う先生なのに。日本のように切り身の豚肉ではなくリアルに豚が生活圏にいるからなのでしょう。
 幼少期を中国の雲南で過ごし、日々、市場へ通い、地方で普通に路上を歩く豚を見慣れていた私の娘も豚の映像を見るとすぐに「おいしそう」という味の感想から入ります。

さて、イフガオ豚は先生のおばあさんが育てているとのこと。村の中心に大きな広場があり、その周りに建物が集まっていて、なんでもそろっている。その広場にも豚が歩いている、と話してくれました。イフガオ豚はすごく身近な動物なのです。

先生は料理をほとんどしないので、料理法はわからないそうですが、食べるととてもおいしい、と言っていました。

南国、セブ島の隣のボホール島では、先の述べたようにかつてはご両親、近年は叔父夫婦が豚を飼育、北部のイフガオではおばあさんが食事の残飯でともに暮らす。大規模農場ではないところで育つ豚の姿が見えてきます。
(つづく)
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