雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

オランダ編5 オランダのクロケット

2018-12-30 12:04:47 | Weblog

写真上は、エンクハウゼンのレストラン、ヘット・ワペン・バン・エンクハウゼンのクロケット。中身がいまにも飛び出しそうなほど、クリーミーでたっぷり入っている。写真下はハーグ駅。駅にはピアノが置かれ、みな、好きなときに弾くことができる。小学生がポロポロつま弾いたと思うと、プロ並みの演奏が聴けたり、と音楽への愛が感じられる。ベルギーの主要駅や街の中心、オランダの主要駅で見ることができる。

【紅いコロッケ】
 オランダでは鉄道駅の構内に自動販売機まで設置されているクロケット。オランダ人の軽食で、レストランでは前菜メニューに入っています。つまりコロッケ。フランス料理の「クロケットcroquette」がオランダほかヨーロッパ各地へ、遠くは日本へと広まり、それぞれに発展したということです(ウィキペディア「コロッケ」より)
オランダのクロケットも家ごとに違うらしく、駅のクロケット自動販売機ですら何種類も置かれていました。

 エンクハウゼンの、町外れのホテルでいただきました。俵型で衣はパリッとしていて固く、赤い。赤はなんだろう?トウガラシのような辛みもなく、さりとてサフランでも、赤パプリカでもなさそう。中にはマッシュポテトとベーコンを細かくしたものが入っていました。

 日本のコロッケのポクポクした感じではなくて、ゆで汁ごとポテトを攪拌するようでじつに、クリーミー。それでいて、クリームコロッケのように乳製品を混ぜているわけでもないのでしつこくない。

 衣が薄いのにとっても固いので、一度、冷凍したものを揚げているのかもしれません。

 添えられたポテトフライの量も相変わらずすごかったです。
(つづく)
※今年も年の瀬となりました。今年もお読みくださり、ありがとうございました。
みなさまがおだやかな年の瀬でありますように。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オランダ編4 にしんのマリネ・ハーリング

2018-12-21 08:22:11 | Weblog

写真上はオランダの内海沿いの街ホールンのあちらこちらにあるにしん3匹をモチーフにした紋章。エンクハウゼンにもあった。写真下は、エンクハウゼンで食べた生ニシンをベースにしたハーリング。

 にしんで栄えた街としては明治期から昭和の北海道が思い出されるが、日本では生にしんの食事法は聞かない。ヨーロッパの北海ではまだにしんも小さく味もすっきりしているが、北海道にくるころには、海の栄養をたっぷりとって、大きく成長して、脂もたっぷりのっている、という違いがあるように思う。

いずれにせよにしんの漁で大もうけしたことは同じ。これではにしんも減ってしまったわけだ。

【にしんのマリネ】
アムステルダムから電車で50分ほどの港町エンクハウゼン。北海からの風が一日中、吹いているせいかひんやりとした空気が感じられるところです。

 アムステルダムやハーグと同じオランダなのに、なぜか看板などのなにげない色づかいが北欧風に感じられ、くっきりとした窓枠などの赤色が空やいろいろな調度品の青に映えて印象的です。ここはかつてニシン漁で栄えた裕福な街でした。そしていまは別荘地となっています。

ここでの名物がハーリング。ニシンを生のままお塩につけて保存したお刺身で、それにマリネしたタマネギのみじん切りが載っています。酢の香りが高かったので、魚本体が酢漬けだと思ったのですが、酢で締める、と言われるようなしまった感じはなく、ふんわりとした口当たり。作り方を調べると、塩漬けして一日おき、塩抜きして食べる、とあります。塩抜き、とはどうするのでしょう?

少なくともエンクハウゼンでいただいたハーリングはタマネギ由来のお酢とほどよい塩味とニシンの脂が混ざり、絶妙の味でした。食べ方はしっぽを手でつまんでぶらさげ、口を大きく開けて上を向き、大胆にも頭の先からしっぽまで、ぱくんと食べる。これが当地流。

 これと強めのお酒で昔から人々は楽しんでいました。味はにしんときくと脂っぽいのでは、とちゅうちょしたのですが、さっぱりとして、いくらでも食べられそうな味わいでした。

 オランダは日本と同じく、生のお魚に抵抗のない、魚の国でした。アムステルダムではウナギを生っぽいまま燻製にしたような味のマリネ・パーリングを食べましたが、これが白ワインに合うと同行した人は大喜びでした。

ちなみにハーリングは、街角の屋台で売られています。まだ、9月の初頭だったのですが、夕方に寒さで鼻を赤くしていただきました。さすがに北海の風は冷たかったです。
             (つづく)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オランダ編3 老舗のバーのアップルパイ

2018-12-13 14:46:42 | Weblog

写真上はホテルに併設されたバー、ゲ・バックのアップルパイ。娘が撮影。添えられたリンゴのコンポートもホイップクリームもアイスもチョコクリームもすべてがほどよい甘さで、くどさがない。表通りに面しているのに、目立たない狭さが常連を呼ぶのか、彫りの深い木彫の長机を持つ老舗の風格に人が集うのか、昼なお暗い照明がいいのか、次々と常連がやってきては一杯を頼んでおいしそうに飲み干し、バーの主人とちょっと語っては10分ほどで去って行った。バーなのにケーキがあるのがおもしろい。

【江戸時代からある? バー】
アムステルダム駅からほど近いホテル・プリンス・ヘンドリックに併設されたバー。
 
ここで頼んだのがアップルケーキ。これが絶品。リンゴのすっぱさとほどよい甘さが同居し、シナモンなどの香辛料のバランスが絶妙で焼き加減がいいのか周辺のパイ生地はさっくさく。見た目と違ってバターっぽい重たい感じもなく、添えられたホイップクリームもさわやかな後味です。

それに少し苦めのコーヒーがよく合うこと。
そうそう、オランダではコーヒーがおいしい。

日本のケーキの概念の倍はあろうかという大きさなので、店で鼻歌を歌いながら、ひたすらビール用のグラスを磨いている風格のある男性に
「お皿とフォークをもう一組ください」
と頼んでみました。
 するとリズミカルに持ってきて、渋い声でウインクしながら
「おれは店に入ってくるときから、シェアするとわかっていたよ」と話すのでした。渋い声で。

むむ、なんともいえない映画のワンシーンのようなおじさん。あなどれません。

店そのものがアンティークのような、と思って見渡すと、昔の肖像画や磨き込まれたアンティーク家具、1800年代の新聞の切り抜きのようなものまで飾られています。

 店の外を見ると創業は1789年と書かれていました。日本なら江戸時代。日本がオランダとだけ交易していたころからの老舗だったのでした。そして味もよく、たまに常連らしき客がきては生ビールを注いでもらってそれを流し込んでは去って行く。おしゃれな港町の雰囲気も。

あまりに気に入って、夕飯もここでいただきました。値段もほどほどで、料理もすばやく出てくる、落ち着いた、いいお店でした。

長蛇の列だったパンケーキ屋はどこのガイドブックにもでていましたが、この店は載っていません。やはりふらふらと何も考えずに歩くのもいいものです。
(つづく)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オランダ編2 まざりけなしの味 

2018-12-08 16:43:01 | Weblog

写真上はオランダのアムステルダムの北に位置するエンクハウゼンの地元で人気のパン。香ばしいフランスパンである。おいしいのと、料理のサーブがベルギーと同じくゆっくりしているので、料理が出てくる前に食べきってしまった。写真下はベルギーのゲント大学構内の学食のパンとスープ。スープはトマトや各種スパイスが効いていて、身体も温まるし、美味。パンに
 しっかりとした密度が感じられて味わい深い。ハーグのサンドイッチは、おなかが空きすぎて写真を撮る前に食べてしまった!


【正直なおいしさ】
 オランダでの最初の食事は駅から徒歩1分の国立文書館の中のカフェスタンドに売られていたバゲットサンドです。白くて香りのあるバゲッドにチーズやハムなどが挟み込まれただけのシンプルなサンドが透明なビニール袋に包まれ、数個売られていました。お昼時にはなくなりそうな量だったのですぐに購入したのですが、これがおいしい。

一緒に買った淹れ立てのコーヒーも香り高く、味もすばらしい。値段はサンドとコーヒーで一人1000円ほど。

 案の定、お昼時、研究者がこのロビーの一角でゆっくりと売るコーヒー屋さんに来るころにはサンドは完売。がっくりと肩を落としていました。一方、学生の研究者たちは慣れたもので、家からリンゴを一個とパンを持ち込み、コーヒーだけスタンドで買って食べていました。

たしかにガイドブックのとおりにサンドイッチのお昼にはなりましたが、チーズやハムなどがまぜものなしの本格派で、味わいぶかく、嚼めば嚼むほどうまみが口いっぱいにひろがります。

食べ物にはなにも期待していなかったので、最初の軽食に「おや、オランダ、いいぞ」と前向きな気持ちになりました。
【アムステルダムのりんご】
 翌日、朝4時半に部屋でパンとリンゴをかじり、その後、いろいろと調査をして、10時頃におなかが空いたので、調査チームから離れて食べ物屋を探したときのこと。

アムステルダム駅周辺をふらふらしていると、あれ、ここはヨーロッパだよねえ、と思ってしまうほど、日本人のグループや中国、韓国(こちらのほうが多い)が密集する名所や運河クルーズの待合場所にたむろっています。
 それらを横目に旧市街に入り、娘が目指したのは有名なパンケーキ屋さん。ところが有名すぎて10時という中途半端な時間でも列ができていました。

他 にないかとうろうろすると、なんとも雰囲気のいい、だが、誰もお客のいない大通りに面した薄暗がりのバーのようなお店を見つけました。
(つづく)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オランダ編1 ガイドブックとのギャップ

2018-12-03 11:24:18 | Weblog

写真上はベルギーのアントワープ駅。1895年から10年かけて建造された宮殿のような駅だ。マーブルの大理石の金が施され、まるで19世紀に迷い込んだような気分になる。写真下がオランダのデンハーグ駅。ガラス張りの立体的な建物が近未来的。


【路上で食べる?】
日本でオランダ、ベルギーのガイドブックを眺めると、不思議なことに気づきました。ベルギーには美食の国との見出しとともに、おいしそうな料理の写真と気合いの入った文章が並ぶのに、オランダについてはほとんど書かれていないこと。

 たとえ書かれていても、「これは褒めるところがなくて、字面でごまかしているな」と見抜ける文章だったりします。仕事で食レポを書いていたので、その気持ちがわかるのです。
中には「オランダの人々は食べる時間を惜しむので、路上でサンドイッチを食べる姿が普通です」などと書いた10年前のガイドブックまでありました。

 どうやら歴史的背景もあってベルギーはカトリックの国、オランダはプロテスタントの国で気質が違うらしい。前者は日常の食をも楽しみ、後者は質実剛健なのだとか。歴史の本も合わせて読み進めると、深く納得できて、行く前の予備知識でオランダは貧しくとも働き者、食に時間を割かないというイメージができあがってきました。

 雲南やアジアの辺境の地域と違い、ヨーロッパは事前学習する素材に事欠かないので、読むだけで行った気になってしまうのです。

 そういうわけでベルギーを去る電車に乗りながら「さらば、美食の国」と心の中でハンカチを振り、気持ちを切り替えるべくひたすら車窓の白い牛の群れや風力発電の数多くの風車を眺めていたのですが、実際に行くと、うれしいことにオランダもまた美味の国だったのでした。

【美しい鉄道駅】
 ベルギーのアントワープからブレダで乗り換えデンハーグ・セントラル駅へ。

 ハーグといえば国際司法裁判所のある街程度の知識で行ったのですが、駅は透き通った青と黄色の電車の映えるモダンなデザイン。アントワープ駅が「世界一美しい駅」と称される、ネオ・ゴシック建築の重厚な石造りで、まるで別の時代に紛れ込んだようなたたずまいだったので、このギャップだけでも別の国、という気がしてきます。

 またアントワープ駅に限らず、ベルギーのどの駅でも人の姿がまばらだったのですが、ハーグ駅では人の動きが感じられ、現代にたどりついたような気持ちになりました。たった1時間20分電車に乗っただけで、ずいぶん違うものです。
(つづく)

※いろいろ見てきて、食べてきました。少し、雲南から離れますが、この話は雲南にもつながる予定ですので、よろしかったらお付き合いください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする