雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

話の横道・福建の大病院

2012-06-24 16:55:59 | Weblog

写真上は、上海浦東国際空港近くにある東方航空のホテル。写真下は福建省の世界遺産・武夷山の名物・五歩蛇。
 日本から上海を経由して武夷山を目指した時のこと。
 上海で7時間のトランジットがあったので、上海の街中散策としゃれこんだのが災いした。なんと定刻一時間前に空港に戻ると乗る予定の飛行機の搭乗締め切り時刻になっていたのだ。
 7時間のうちに状況が変わり、定刻より早めの出発に変更されていた。いくら地上係員に乗せてくれと懇願してもダメ。むなしく飛行機は我々を乗せぬままに飛び去っていった。仕方なく、なお、地上係員に粘ると、東方航空のパイロット以下のスタッフが泊まる写真のホテルへ無料で泊まれることに。
 翌朝一番の武夷山行きの飛行機に振り替えてくれることになった。

 ホテルは風呂ではなくシャワー、ベッドも狭く、しかも下に絨毯はなく、固い板張りだったので、娘には本文の通りの災いが降りかかってしまった。

五歩蛇はその名の通り、この蛇に噛まれると五歩歩かぬうちに絶命するという恐ろしい毒を持つ蛇。漢方薬として彼の地では珍重され、干物や、アルコールに漬け込んで売られている。福建にはその地独自の漢方薬のもととなる生物が多く生息している。

【トランジットには気をつけよう】

 娘の治療といえば、もう一つ、福建省の省都・福州市の大病院があります。
 子どもを中国で何度、病気にさせたのだ、と叱られそうですが、お話しましょう。

 今を去ること11年前の2001年、娘が3才になったとき、わが家の近所に住む福建省出身の夫婦と子ども2人、(その娘と同年代の息子を含む家族)とともに、彼らの郷里に赴いたことがありました。

 最初の宿(上記の写真解説で書いたように福建に着く前にはからずも泊まった上海の宿)で、娘とともに二人で一つのベッドに寝ていると、夜中に「ゴッ」という鈍い音。「ギャー」という、娘の泣く声が響き渡りました。ぎょっとして跳ね起きて見ると、娘がベッドから落下していたのです。大人と違って子どもは頭がアンバランスに大きい。その重力の法則に従って、頭から落下し、鼻をぶつけて鼻血を出していたのでした。

 すぐに冷やして様子を見ると、その時は落ち着いて寝てくれました。
翌朝、福建出身の家族にその話をすると、田舎にはいい病院がないので、都会に出たときに、よかったら病院へ行きましょう、ということに。

 ちなみにこの家族は宿に着くと、まず、2才の息子のために、ベッドを壁際に移動させてそちら側に子どもを寝かせ、さらにクッションや枕など手当たり次第に息子のベッドの周りに敷き詰めていたのでした。日本では畳の上にふとんを敷く純和風の寝室のわが家。旅先でのベッドの子ども向けの注意には、まったく気が回っていませんでした。

 彼らの作法は日本ではあまりよろしくない行為のように思ったのですが、子どものためです。もちろん、翌日からは、その真似をさせていただいたことはいうまでもありません。 (つづく)

*次週の更新はお休みとなります。

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雲南の病院3

2012-06-17 16:24:12 | Weblog

 上は安寧県のバス停横にある大看板。「安寧温泉へようこそ」の文字が赤文字で書かれている。下は安寧の中心部の曹渓寺にある泉。かつては飲用にも適した澄んだ泉だったとか。近年は乾期になるとたびたび枯れ果て、マスコミで騒ぐほどの事態となっている。それほど安寧は温泉と泉の街として知られる。近くには摩崖石刻群もあるひなびた観光地となっている。昆明からバスで一本、1時間ほどで行ける気軽な自然スポット。

【昆明の大病院】
 娘の症状は、ごく普通の風邪。ただ、こじらせたくはないので、念のための受診です。日本でこの程度なら、先生が聴診器を胸にあて、喉を診て、すぐに診断を下して、薬をもらって、帰れるはずです。

 ところが、昆明市第一人民病院は違いました。5才の子にいきなりレントゲン検査をオーダー。数十分後に現像の終わったフィルムを見ながら
「気管支炎ですね」
 と一言。
 つまり風邪。

 そんな胸に聴診器を当てる程度で分かりそうな診断のために被爆の危険をおかす必要があったのか、ひどすぎる、と大ショック。そんな親に立ち直る暇を与えず、次に間髪おかずに静脈注射まで打たれてしまい、娘は大泣きに。

 さらに「別の注射もしましょう」との先生の一言にこのペースから逃れなくては、と、必死に我に返って、遅まきながらきっぱり断り、薬だけもらって帰りました。

値段をみると、レントゲンが26.5元、病院の診断料と薬が69.62元、先生の処方箋による外部の薬局で買った漢方の飲み薬が47.5元。

他の値段と比較してレントゲンの値段がずいぶんと安いことに驚きました。

 おそらく、この病院にたどり着く雲南の方はよほどの高度の治療を期待してのこと。お腹をポンポンするぐらいでは収まってくれないので、どんどん診断の手段が大げさになっていったのではないでしょうか。

 帰り際、同じ病棟で横たわる隣町の安寧からきた8才ぐらいの少女を診て、またまたショック。
 なんと、頭を固定され、頭皮に何本も点滴をされているのです。当然、少女は痛いのか、泣いています。あまりのむごさに、胸がつぶれる思いでした。もしかしたら必要な処置なのかもしれませんが、廊下に尽きだしたベッドでなにもやることはないのに、と見ると、親戚らしき人が部屋にずらりとひしめいていたのでした。

 それにしても、我が娘が風邪程度で、レントゲンに注射、と矢継ぎ早にされるとは予想だにしなかったので、親として申し訳ない気持ちに。
 娘は「こんなことなら来なきゃよかった。」と肩を落とし、とぼとぼと帰宅しました。

 救いは、いただいた薬を飲み続けた娘が、3日後にはすっかり快癒を果たしたことでした。
                     (つづく)


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雲南の病院2

2012-06-09 10:23:21 | Weblog
写真は市中心部の盤龍江(2010年夏撮影。)9年前は生活排水が入り込み、夏ともなると相当な臭いを発していた川だが、2010年には、川底が臨めるまでに水質が改善していた。まこものような藻が生え、水質改善に植物がだいぶ、貢献していた。ゴミ拾いの船もしょっちゅう往来していた。じつはこの川は市中心部の流れるところだけが、非常な清流になっていて、不思議なことにその上流と、下流はまたもや生活排水の流れ込む、悲しい川になっていた・・。つまり、見た目だけの「清流」という不思議な現象が生じていた。

【11月は胃腸系の「かぜ」の国に】
 11月ともなると、朝方には外気が0度近くになり、昆明は通称「春城」、という言葉を鵜呑みにしていたため、なんの準備もないまま、より一層体調的には不安な状況に突入。
 
 わが家に遊びにきた雲南大学に留学している20代前半の日本女性も、
「この間、南の農村調査から昆明に帰ったら、体調を崩しちゃって。」とポツリ。

 聞けば、戻ってみると昆明は乾期のただ中。日本にはない湿気のなさと、暖かな太陽の光に惑わされて、気づかないうちに体の芯の熱を奪う高原の冷たい風が、人々の風邪をこじらせていき、昆明は風邪っぴき天国になっていた、と。

 そんななか、彼女はあまりの胃腸の痛みと風邪の諸症状に耐えきれず、地元の大学生の案内で昆明の大病院に行き、何時間も待った後に点滴を打って、持ち直した、と言っておりました。風邪で点滴、とは、よほど症状が重かったのだろうと、そのときは思いました。

 ちなみに、この時期、昆明は寒さのために、激辛火鍋店がおおはやりになり、胃腸を壊した人が胃腸科に駆け込んでいる、と新聞にも掲載されるほど、ぐんと気候が変動するのです。

 娘もご多分にもれず、風邪に。
 熱と咳がひどいので幼稚園を休ませると、家の中では寝ることもなく元気に遊んでいるのですが、それが3日も続くと、親としては不安になります。その頃には日本からの抗生物質も切れてしまったので、11月11日にとうとう、外国人窓口のある病院で念のため、診てもらうことにしました。

 昆明市第一人民病院(http://www.kmrmyy.com/)は市中心部を流れる盤龍江のほとりに建つ、化学系の研究室のような大きくて白い、簡素で古びた建物でした。とくに植栽もなく、日差しだけはたっぷりと降り注いでいます。

 拓東路という繁華街を貫く道路から一歩入った巡津街通りは車通りも少なく、静かなところで、病院の裏側には赤十字病院も併設されています。

 入り口に入って、受付でパスポートを見せ、症状を話すと、何科かに割り振られて、木札をもらい、その番号のある場所に行きました。

 その病院はくだんの才媛の行った一般の病院ではなく、日本の損保会社が提携する外国人窓口のある大病院だったからか、待合室は閑散としていて、すぐ先生に診てもらうことができました。
 ただ、外国人窓口があるといっても昆明らしく、医者から受付の人まで日本語も英語もまったく通じません。(今も状況は同じようです。)               (つづく)

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雲南の病院にて 1

2012-06-03 12:48:30 | Weblog


写真は西山区白馬のロータリーにある人民病院の分院。(中国建設銀行の左)。朝方が患者のピーク。子供連れ、老人、妊産婦がちょくちょく入り、子供以外が病人とは思えぬパワフルさで、薬の処方箋を振りかざして、お金の勘定をしていた。このような中規模の病院も各地区に一つはある充実ぶりだった。

【御礼】
ブログ更新をお休みしていた間も、励ましのメールをいただきましてありがとうございます。読んでくださっている方がいると、リアルに感じられて、とってもうれしかったです。
今回の入院から徐々に元の生活に戻りつつあります。もとより丈夫ではないからこそ、以前と同じような低空飛行で見えてきたもの、感じたものをぼちぼち、ゆったりとつづっていきたいと思います。どうぞ、気長におつきあいください。

【幼稚園に入るまでにしておくこと】
 2004年の雲南生活やそれ以前、それ以後の中国行きのたびに、小さな子どもまで連れて行くので、中国の医療技術には、それなりに、お世話になりました。

 まず、5才の子は日本で普通に暮らしていても月に一度はけっこうな熱を出す、吐く、園でうつってくる、が当然なので
(テレビで活躍している子役たちは体調管理をどうしているのか、いつも不思議です。熱で仕事をキャンセル、なんてできそうにないですよね。)
一年間の雲南移住にあたっては、かかりつけ医に一年分の抗生物質入り風邪薬(粉薬)を特別に処方してもらいました。これは本当に助かりました。

 プラス雲南では狂犬病やポリオ(脊髄性小児麻痺)など病気が現役の地域です。厚生労働省の渡航勧告でもワクチンの接種が推奨されています。そのため、家族全員でさまざまな予防接種を渡航日までに終わるように定期的に接種しました。おかげで、娘は注射を異様にこわがるようになりました。

 さらに、中国に渡って幼稚園に入園させようとすると、入園前にA型肝炎、B型肝炎などの検査を受けさせられました。(入園後、キャリアの子はワクチンを幼稚園の入り口で定期的に与えられる)これは、指定された地元の保健所で少量の血液を抜き取られて検査されます。娘の血液型ははっきり分かることができたのですが、幼稚園に入るだけでこのような手荒な検査をすることになるとは、と、相当ショックを受けました。

さらに急に冷え込みはじめて腸炎系の風邪がはやり出す10月後半には、娘には中国ではたいへん高価なインフルエンザの予防接種までも受けさせました。〔当時で85元(約1200円)。公務員の月給が当時で月1500元から2000元の世界ですから、なかなかの金額です。(現在は3000元ほど。ここ7年で平均月収が倍になっています。)日本よりは安いですが。〕

 これほど注意していても、子どもは順調に月に一回は熱を出し、幼稚園を連続一週間は休みました。                   (つづく)
コメント (2)
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