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雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

二度目のロンドン68 自然博物館 下 頭が沸騰⁉

2025-02-23 15:50:49 | Weblog
自然史博物館の地階の恐竜エリア。恐竜は見上げるほど大きいものから、子犬程度の小さいものまで様々あった。ほんものの迫力が、想像力を刺激する。

【ひとけのないエリアも含め、膨大】
展示は大英帝国が世界中から収集し、その後も収集し続けている様々な動物や昆虫のはく製や標本、鉱物などにも膨大なスペースが割かれていますが「実物から感じろ」方式で解説は少な目。展示の解説は日本の国立科学博物館のほうが日本語だし、わかりやすいです。すべてを平等に展示しているので、そもそもどれが目玉なのか、よくわかりません。

自然科学の態度としては、じつに正しい。

とはいえ、やはり印象深いのは地階へと続く薄暗がりの空間に組み立てられた恐竜の骨格やジオラマゾーン。骨格にしてもジオラマにしても、怖いと感じるより先に愛が詰まっているのを、恐竜骨格のポーズからも感じました。

一歩進むごとにワクワク。あんな生き物がかつて地球にいて、主役となって闊歩していたなんて、と素直に童心にかえってしまいます。

恐竜時代に繁茂した植物が泥炭地でパックされ、きれいな水に浸かったまま保存され(科学的には二酸化ケイ素が木質の細胞内に浸透してできた)石化した珪化木(けいかぼく)は、一時期、私もはまった化石なので、その巨大さと丁寧な展示に、いとおしさも増してしまいます。

クジラを中心にとした大型哺乳類の骨格の展示も1階と2階からぶち抜きで眺めることができて、まるで大型ジャンボジェットの格納庫にきたみたいな迫力です。

国立科学博物館の規模を想像していたら、それが数館たばねたような大きさと展示で、部活動で地学部所属だった私としては、じっくりと見たいものが次から次へと現れるので、とてもすべてを見るには至りませんでした。大英博物館同様、数日かけて、今日は、この部屋、次回はあの部屋、と見たほうがよさそう。

なんといっても世界中から集められた標本だけで4億点、写真のなかった時代におもに書かれた動植物を中心とした博物画50万点以上、書籍100万冊以上という、それぞれのコレクションだけでも、世界有数の規模。バックヤードもとてつもない規模で収蔵エリアが12万㎡、職員800人なのだとか(2015年段階)

私自身はたどりつきませんでしたが、火山、地震コーナー(レッドゾーン内)には阪神淡路大震災と東日本大震災の研究例の展示があって、地震の体験コーナーもあるそうです。まったく地震のない国の人にとって地震は想像すらできないできごとなのかもしれません。

参考:
「平成27年度海外科学系博物館視察研修報告」『全科協News Vol.46 No.3』(全国科学博物館協議会、平成28年5月)
https://jcsm.jp/.wps/wp-content/uploads/2022/05/vol46no3.pdf
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二度目のロンドン67 自然史博物館でデジャヴュ 上

2025-02-16 10:09:35 | Weblog
ロンドンの自然史博物館の柱下部の彫刻。このように動植物をあしらったさりげない彫刻物があちらこちらにある。「リバティ」百貨店の手すりの彫刻たちと雰囲気と同じだ。同じ時代の建造物なので、この手の装飾がはやっていたのだろう。
( 2度目のロンドン12 憧れのリバティへ 下 - 雲南、見たり聞いたり感じたりhttps://blog.goo.ne.jp/madoka1994/e/0fc15fd5abb1c009bca29509d8418d4f)

【無料のスタンスとボランティア精神】
ハロッズから徒歩20分ほど(約1.5キロ)の自然史博物館にも足を伸ばしました。ハイドパークの南側では何度か言及している1851年にロンドン万国博覧会が行われました。その跡地の一角を1862年に大英博物館の自然史部門を移転するために購入し、現在では独立した博物館となっています。このあたりの建物の多くは万国博覧会に通じてしまうのです。

入場料は大英博物館と同様に無料で、寄付を投入できるボックスが置かれています。

日曜日のせいか、日本のラッシュアワーのように込んでいました。日本のラッシュアワーで数十年鍛えられた身としては、なされるままに、ゆっくりと進んでいきました。入口付近を過ぎれば、巨大な博物館に吸い込まれるように、やがて人もばらけて、じっくり見ることができました。だから慌てる必要なまったくありません。たとえ人がまったくいなくてもゆっくりと進みたくなるほど見どころがいっぱい。

建物は1880年に完成したロマネスク様式の黄色みがかった石造りで、大聖堂の内部のようなクラシカルな雰囲気。ところどころに動植物をあしらった彫刻も気になるところです。


正面入り口から入ると、頭上には巨大なシルナガスクジラの骨格標本が悠然と泳ぎ、2階付近をめぐる美しい回廊を眺め渡しているかのよう。回廊は各研究室をつなぎ、現代とヴィクトリア時代をうまく交差させています。あれ? なぜ私は「研究室」とわかったのかしら?

ほぼ毎夏、日本でも放映されるBBCが子供向けに作る恐竜と冒険家風の科学者と子供が織りなすアドベンチャー番組。つい子供と一緒に見ていたのですが、そこでは定番の光景だったのです。またBBCのドキュメンタリーでもしょっちゅう登場します。

あの二階のドアから小さな恐竜が現れて、かくれんぼしていたなあ、あそこあたりで、気づかないで人が歩いていて…、なんて映像が脳内再生されるほどで、懐かしさすら覚えるのです。ロンドンは、歩けば、何かしらのロケ地に知らないうちに行ってしまうほど、映像作品の宝庫。ここもEテレ好きなら、意識せずにロケ地めぐりになることでしょう。
                        (つづく)
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二度目のロンドン ハロッズ② 宝石のような神戸牛

2025-02-09 15:40:43 | Weblog
【クマの「プーさん」の原点】
ハロッズはちょうど夏のバーゲンシーズンで日曜ともあってとても混んでいて、試着室は長蛇の列。食料品コーナーも充実していて、ひときわ目立つところには神戸牛もありました。うやうやしくガラスのドームカバーに覆われ、ひときわ目立つショーケースに入れられていて、まるで宝石のようです。

さらに地階には、こんなにあるの? と驚くほどのハロッズグッズがせいぞろい。ハロッズのビニールバックは知っていましたが、ほかにも、各種バッグや洋服やボールペン、ペンケース、手帳などの文具やアクセサリー、ファブリックリネンまで。

いずれも落ち着いた、いかにもイギリス的な色合いで、必ず「Harrods」という文字が金や茶、黒で刺繍されていたり、印字されていたりします。

人形の種類も豊富で、くま、うさぎ、ライオン、キリン、馬、などいずれもほどよい大きさのぬいぐるみが並んでいます。ふにゃっとした感じが愛らしい。作者ミルンが息子のために書いた『クマのプーさん』のモデルとなったくまのぬいぐるみはハロッズで買ったものだったとか。なるほど。いずれのぬいぐるみもクマのプーさんの挿絵から飛び出たようで、どこか温かみもあり、おしゃれでもありました。

当時は円高だったので、妥当な値段だった上にバーゲンでお安くなっていたので、娘のおみやげにハロッズのナイロン製のショルダーバックを購入しました。金文字の刺繍に金色のファスナーがアクセントとなった落ち着いたオリーブグリーンのバッグを娘はとても喜んでくれました。今も使っているのですが、バックの要となるファスナーが甘く、持っていると自然と開いてしまうのが難点。

定番ものはともかくとして、バーゲン価格になったものというのは、何かしら帯に短し、たすきに長し、なのでした。 


     
※以下、重い話です。いま、ハロッズを取り上げる場合、この問題を避けることはできないと考えたので触れます。

【ハロッズの声明】
 現在、ハロッズの公式ホームページにアクセスすると2023年9月19日のBBCの放送でアルファイド氏の従業員女性に対する性的虐待が報道された件についてと断り書きがあります。

 現在のハロッズはオーナーが変わっているとして

 「過去を覆すことはできないが、このような行為が今後決して繰り返されないようにする一方で、現在、私たちが抱いている価値観に基づき、組織として正しいことを行う決意を固めている」

 との声明で締めくくられています。

 ショッピングサイトである公式ホームページのアクセスしやすいところにこの文言を掲げたハロッズからは、覚悟を感じます。社会の雰囲気が掲げさせたのかもしれませんが。私も今回、ぬいぐるみの種類を見たいというだけでアクセスしてこの件を知ったので、とまどい、驚きました。

 ただBBCの報道は、ジャニーズ問題と同様、加害者本人が故人となってからでした。アルファイド氏が亡くなったのが2023年8月30日なのです。

 支援する側と社会があきらめないこと。今日(2025年2月9日付け)の東京新聞のALS支援の記事にあったことばなのですが、巨大な壁に対する方法は同じで、これを灯に進むしかないのでしょう。

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二度目のロンドン65 ハロッズ① まるでテーマパーク

2025-02-02 11:55:36 | Weblog
ロンドンの老舗高級百貨店ハロッズの中央エレベータホールの最上階。写真では切れてしまったが、天井画は、深い紺地に金の太陽やら光線が立体的に貼り付けれたエジプト文明らしい太陽信仰的な造形となっており、全体を圧している。

【古代エジプトに染まる】
地下鉄ナイツブリッジ駅近くにあるロンドンの老舗百貨店ハロッズ。エジプト人がオーナーだったことは知っていましたが、実際に行くと予想以上にエジプト色が強くかった。

まるでテーマパークです。

中央エレベータからに向かうと、ツタンカーメンの黄金のマスクらしき、金に青の色彩の入ったモニュメントが上層階から見下ろし、その胴体はスフィンクスというお姿が目に飛び込みます。
 
その周囲はまるで王家の谷かピラミッドの内部のような石造りを模倣し、雰囲気よくオレンジの間接照明に照らされた壁画や柱の数々。この雰囲気が下層階から上層階まで途切れなく続くのです。

 世界的ファッションブランドがずらりとならぶ売り場も容赦なくエジプト文明とコラボ。なかなかの迫力で、壁からも目が離せません。


 ハロッズの歴史は近代ロンドンの歴史でもあります。もとは食品雑貨店。1834年にはハロッド氏が紅茶に特別な興味を示して今日のハロッズの元となる店を開業。
 さらに2年後のロンドン万国博覧会をにらんで、1849年に現在の場所に店を移し、徐々に百貨店としての頭角を現していったそう。そうして王室御用達にもなったのでした(現在は御用達ではない。ウィキペディア「ハロッズ」およびハロッズのホームページより)

 だから、紅茶は特別においしいし、ハイドパークのなかでもロンドン万博の遺跡のような建物のオンパレードのような場所に近かった、というわけです。
エジプト色が強いのは1985年から2010年までエジプト出身のファイド兄弟が所有していたため。(現在はカタールの政府系投資ファンドであるカタール・ホールディングスが所有。)
 ちなみにアル・ファイド氏の長男ドディーの名はある一定以上の年齢の方はご記憶にあることでしょう。1998年の自動車事故でダイアナ元妃とともにお亡くなりになりました。その事件をきっかけに王室とは亀裂が入り、以来、王室御用達を拒んだ経緯が今も尾を引いているのです。

 それにしても2020年夏にハロッズを訪れたときはカタール系の所有だったとは! 大英博物館の目玉の一つがピラミッドからの出土物なのでエジプト文明はイギリスとのなじみがよく、ある意味、広義のイギリス的といえなくもないのかも。ちょっと苦しいけど。
(つづく)
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