写真はジブラルタル植物園(またの名をアラメダ庭園)の入口にあるジョージ・ドン門。広さ6ヘクタールあり、無料で開放されている。
【ジブラルタル植物園】
山を下り、街へ。まるでディズニーランドのように、風土と関係なく作られてそこにある、といった感じの緑と白のペンキを基調にした古風な英国スタイルの街並み。日曜のためか、人影はなく、パブも雑貨店も郵便局もお休み。ジブラルタル博物館も閉まっています。
車の通らないつるりと舗装された黒いアスファルトのヨーロッパロードを進むと、クラシカルな文字が鋳込まれた門がそびえ、その向こうにアジアっぽい植物が生い茂った空間がありました。「ジブラルタル植物園GIBRALTAR BOTANIC GARDENS」と書かれています(https://www.spottinghistory.com/view/9536/gibraltar-botanic-gardens/)
人っ子一人いない寂しい空間に、響く鳥の声。
初めて来たのに植物の種類や植え方にどことなく見覚えが。そう、ベルギーのヘント、オランダのライデンやポルトガル・シントラの植物園と似ています。赤玉土に突き刺すように生えたサボテン、竹に松、どこかで見たようなピンクの花。
調べると1816年にイギリス兵士の憩いの庭園として英国総督ジョージ・ドンが命じて作らせた庭園だそうで、ちょうどプラントハンターが一攫千金を夢見て、もしくは学術的な情熱から、世界各地の植物をヨーロッパに持ち込んで売り出していた時期に当たります。シーボルトが日本の植物を大量にヨーロッパに紹介した時期よりは早いけど、イギリスのキューガーデンが世界の植物を熱烈に集めていた時期に作られた庭園です。
写真はジブラルタル植物園内の道路に描かれたモザイク。1954年当時、エリザベス2世は戴冠式を終えた後、イギリス植民地を歴訪する旅を行い、ここジブラルタルにも立ち寄った。スペインでは抗議運動が巻き起こったという。
とはいえ、そのまま現在まで続いたわけではなく、この園も一時期、荒れ果ててしまったそう。1991年に外部企業の手によって復活したとのことですが、まったくの別物ではなく、生き残った植物もあったのでしょう。区割りはほとんど変わらず、ゲートも古そう。意外なところで古風な植物園に出会えました。サルが一匹もいなかったのも興味深い。
滑走路でもある道路を歩き、時折、ガチでくる飛行機をよけつつ、帰るべく検問所に向かっていると、明らかに一方向へ進む人の群れが。ついていくと、郊外型のスーパーマーケットに向かっていたのでした。ジブラルタルは免税価格で買い物ができるとあって、日曜日、家族総出で近所のスペインの人たちが買い物に来ていたのです。家電や化粧品などはイギリス製が多い。私も果物と飲み物を少し買って、ジブラルタルを出ました。
ジブラルタルに一番近い、スペイン側のマンション。
アルヘシラスの夜は、犬の吠え声が響くちょっと不気味な雰囲気。ほかに外食のチョイスはないのか、トルコ料理のテイクアウトの店が行列しています。私たちも並んで、ケバブを買いました。ナンに挟んだ羊肉のそぎ切りとトマト。おいしかった!
※次回はアフリカ大陸です。