雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

閑話休題・雲南の焼き芋や

2012-12-29 14:52:40 | Weblog

写真は昆明の町角にて(2010年夏撮影)。ドラム缶の中で焼き上げた大きな焼き芋を量り売りしてくれる。
 日本と違って、焼き芋は芋の状態がわかりやすいように、一部の外皮を削り取ってある。同業者が多いだけにそれぞれの屋台がしのぎを削っている成果なのだろう。
 確かに黄金色がはっきり見えたほうが、おいしそう。なかなかの工夫だと、感心。

【夏でも冬でも黄金色】
 なぜか女性ばかりが、街角で反応してしまうものに焼き芋があります。
日本なら冬になると
「いしやーきいもー。やきたてー」なんて声が、どこからともなく聞こえてきます。こうなると私なんぞ、そわそわと財布を握りしめて、つい売り歩く焼き芋屋を探してしまうのです。

 この「流し」の屋台はガソリン代と人件費が入っているので少々高めにつくのが難点。そこで十数年前からは自分で石焼き芋がつくれる鍋を買って作っていたのですが、これが一時間以上はかかり結構たいへんな作業になってしまうのでした。
 最近では八百屋どころかスーパーでも「焼き芋機」なるもので焼きたてのサツマイモが売られていて、その甘い匂いに、ついつい手が伸びる機会が増えました。

 このように焼き芋には目がないのですから、中国の焼き芋屋もスルーはできません。

 雲南なら、たとえば大学の門の近くなどに流しの焼き芋屋が必ず出ていて、これまた女性が顔をほころばせて買っていました。そしてここからが雲南ならでは、だと思うのですが、高原で涼しいせいなのか真夏の8月でも、流しの焼き芋屋が、おいしそうな甘い匂いを出して辻立ちしていたのでした。

 このサツマイモ。外皮は、日本のものよりより鮮やかなむらさきがかった色をしていて、一瞬、「紫芋」かと思わせるのですが、火を通すと鮮やかな黄金色になる品種でした。味は、ねっとりしていますが、日本の紅あずまよりもは、少し素朴な感じで、甘みは薄く上品でした。

 ほかにも外側が茶色っぽく中もしっかり白いサツマイモなども市場には、ありました。

 中国のスタンダードな食材辞典『中国食材辞典』(李朝霞主編、山西科学出版社、2012年3月)によるとサツマイモの原産はアメリカ大陸の熱帯、亜熱帯地方。
 中国には元の時代に植えられはじめ、明の有名な科学者・徐光啓が救荒作物としてすぐれていることを見いだして、広く普及させ、福建や広東に広まったとのこと。

 ちなみにコロンビアが(新)大陸を発見したのが1492年。元の時代は1271年から1368年なので、あきらかに中国の辞典の記述には矛盾があるのですが、雲南にはサツマイモをはじめ、広大なトウモロコシ畑、タバコ畑、ジャガイモ畑、トウガラシ畑、ジャガイモ畑などが植わり、それなしの大地を想像することすらできない状況なのを見てしまうと、これらがアメリカ大陸原産という「常識」がぐらついてしまうのも事実ではあります。

 ちなみに雲南ではサツマイモは「紅薯」と呼びますが、地方によって呼び方がこれほどはっきり異なる野菜も珍しく、上海や天津では「山芋」、山東省やそれより上の東北地方では「地瓜」、江西省などでは「番薯」北京では「白薯」などが通称となっているそうです。
 それほど、昔から地元ごとに広く受け入れられている食べ物なのでしょう。

*本年もブログに立ち寄っていただきまして、本当にありがとうございました。来年こそ、書ききりたいとおもうのですが、なかなか奥が深く・・。
 年明けは一回お休みします。また、来年も、よろしかったらごらんください。


 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

昆明の飲み水5

2012-12-22 11:36:52 | Weblog
写真は私的なごみはこび人、すなわち廃品回収業者。彼らは朝から、リヤカーをこぎながら、大声で「ターバイトー」と独特の呼び声を発していた。なんとも風情のある、うたうような節回しで私は好きだった。どうやら雲南語で「いらないものはないかねー」という意味らしい。このように雲南には独特の言葉があり、市場や地元の人だけの集まりでは、使われていた。雲南の農村調査となると、地元の言葉を一般的な中国語に通訳する人がつかないと、難しい話は、まったくわからない。
 写真の道は雲南大学の裏手の小道で日本料理店や韓国料理店が並んでいた。青い看板には「和民(わたみ)」の文字が。日本の「和民」と何か関係があるのだろうか。現在、廃品回収業者は健在だが、この道は再開発されている。(2004年撮影。)

【容れ物の問題】
ならば、ミネラルウオーター会社で水を買えば安心かというと、「昆明天品水屋」「長青水廠」など中小企業17社のウオーターサーバー用の水桶が廃品回収され、有毒なPC材料を使っているとの摘発を受けていました(2004年11月19日、「雲南信息報」)。

 こういったことはしょっちゅうで、滇池の周辺にいくと、回収したペットボトルが家の脇に積まれていて、それをせっせと洗い、また、業者に売り渡す、などという光景が普通に見られ、ぞっとしたものです。

 同様の事件は全国で続発しており、2011年2月には山東半島の青島市のウオーターサーバーボトルから重金属と発ガン性物質が出て問題となり、昆明の大企業のものなら安心です、という呼びかけ記事が掲載されました。

じつは2012年にも昆明で飲用水には適さない材質のウオーターサーバーボトル(中国語では水桶)を使っていた会社が摘発されているのですが、今ではその記事はインターネットでは削除されていました。中国も水問題には非常に神経を尖らせているようです。

(日本でも無農薬の米など、品質に気を遣っているせっかくのお米が、静電気で米がスムーズにビニール製の米袋から出しにくくなるのを防止する加工フィルムに汚染されていて、じつは元の木阿弥なんてものもありますよね。容れ物は、意外と盲点なのです。)

 このような状況のなかでより事象に敏感な中国人が、日本を含め、世界中の質のよい飲用水の買い占めに走るというのは、法律が許しているのですから、当然といえましょう。

この、日本にとっても、けっして人ごとではない中国の水不足。実際に見た水について、次回よりちょっと古いのですが2010年夏の昆明の様子でお伝えしましょう。  (つづく)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

昆明の飲み水4

2012-12-15 11:17:40 | Weblog
写真は昆明市内各所を走るごみ収集車。(2005年冬撮影)。
 雲南の各都市でこのような運搬車をよく見かけた。彼らは町の各所に置かれたマンションなどのゴミ出しステーションから町外れや町の中心部にたたずむゴミ中間集積場にゴミを運ぶ。そこには四角いゴミを穴があり、圧縮機である程度つぶしてから、トラックに詰め、郊外のゴミ埋め立て地へとゴミは運ばれていく。
 オレンジのベストを着た人は、市などの公的機関で雇われた人々。下のペットボトルなどお金にはりそうなものは、私的な廃品業者がお金を払って集める。ペットボトルもその対象の一つとなっている。(その写真は次回!)

【水の問題】
昆明のミネラルウオーターはどこからきているのかというと、人気なのは昆明周辺の山々に深く井戸を掘って取る地下水です。雲南では「農夫山水」や「昆明石林天外天」などが有名で、それぞれに機を見るに敏な起業家が興した今や昆明を代表する優良企業に成長しています。夏には滇池の藻を取るボランティアや苦学生への援助、またミネラルウオーター設備の見学会を行っては、新聞に掲載されていました。

わが家も「昆明石林天外天」に一年間、お世話になりました。

さて、ご存じの方もおられるでしょうが、昆明の石林といえば、石灰岩質の岩場に水が流れ込むうちに、石の林になってしまったというところでもあります。そもそも昆明を含んだ大地全体が石灰岩質なので、水も当然、少し石灰質と考えられています。新聞には、昆明の清水をそのままで飲むと、体内に石ができやすくなる、という、本当かうそかはわかりませんが、そのような話も出ていました。

また、昆明市中心街から30㎞強北東にある兎耳関で癌の発生率が高いといううわさに基づいて2012年7月に昆明市衛生局が調査したところ、癌の死亡率は標準の範囲をでなかったものの(132.02/10万)耐熱大腸菌群と微生物の指数が超過していて、飲用にはまったく適さない水道水だった、という結果が報道されました。

飲用の場合には浄化消毒と煮沸をするようにという関係部門の通達が出され、追跡調査を継続する、とのことでした(2012年9月10日雲南網)。つまり昆明の人々が水道水に非常に不信感を持っていることは確かなのです。(つづく)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

昆明の飲み水3

2012-12-08 15:05:57 | Weblog

写真は、各家に電話一本で水を配達する配達員(2004年、昆明にて撮影)。自転車に6,7本積んで、重そうに運ぶ姿があちこちで見られる。マンションにエレベーターがあるのはまれなので、これを肩に担いで、走って上階へと登っている姿は、汗臭いがオリンピック選手のようなすがすがしさにあふれていた。

【ウオーターサーバー】
このように苦労して市民に供給されている水道水ですが、一方、市民の多くは、水道水そのものに問題がある、と思っているため、飲み水については18.9リットル
(5ガロンと表示されていた。「ガロン」はアメリカで液体に使用される容積の単位なのだそうだ。日本を含め多くの国が今は使っていない単位なので、基本はアメリカ中心で国際取引されるガソリンなどの単位にやむなく世界が使用している、というもの。つまりこの水システムの発祥はアメリカなのか?)
のタンクに詰められたミネラルウオーターをデリバリーしてもらっています(有料)。

 地元の方の家におよばれすると目につくところに上部に水の入ったタンクが載り、ボタンを押すと水またはお湯が出るサーバーが置かれていました。このようなウオーターサーバーは日本でも震災以降、買う家庭が増えましたが、昆明ではそれ以前からスタンダードだったのです。

 水は必要な時に電話を一本入れると、数時間以内に家まで届けてくれます。わが家の場合は4階だったので、運び屋さんが汗だくで運んでくれて、取り替えもしてくれて1本、10元以下でした。今はもうちょっと高くなっていますが、それでも必需品として人気があります。

 この水は歯みがきにはさすがに使わないものの、お茶や水を飲むには必須。料理にも使う家庭はありますが、実際にごはんを炊くときに使うかどうかは現地の方でも意見が分かれていました。(街の食堂は水道水使用です。)

 そこまで不安視される水道水を実際にみると、見た目はバスタブに水を張ると、若干、水が茶色くみえます。水道管が錆びているのでは、とも、考えたのですが、さびの味はしないので、これは濾過しきれない中国の大地の不純物なのでしょう。中国各地を旅すると、たいていの水はなんとなく茶色いです。

 味は、それほどくさみはなく、煮沸すれば、たぶん、問題はなさそう。中国で水の味としては泥臭く(じっさい、色も茶色く)、なんとなく酸欠気味な味と感じてしまうのが上海なのですが(これを使うと料理もみんな同じ水のにおいがして、せつなくなる)昆明の水道水はそれよりは上質な水のように思いました。少なくとも料理にそこまで影響することはありませんでした。  (つづく)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

昆明の飲み水2

2012-12-01 14:19:41 | Weblog
 写真は昆明の中心街よりやや東方にあるメイ(迷)物ホテル・茶花賓館の入り口(2010年夏撮影)。外国人の宿泊客が多く、とくに欧米系のバックパッカーが多い。その理由はホテル内に併設された旅行会社で昆明からのバスや飛行機の手配などが取りやすい、英語の説明プレートが置いてあり、漢字が分からなくても、なんとか観光できるため、のようだ。日本の『地球の歩き方』にも紹介されていた。
 いつから生い茂っているのか不明な蔦がからまり、岩ツバメが巣を作る。外からの日差しが期待できない1階フロントの照明も、ほとんど見あたらず暗い。外国客用のマッサージ店もあるのだが、いつ、開店しているのか不明。なんとも不思議な欧米風「アジアンテイスト」のホテルなのだ。
 昆明ではビジネスや一般観光客向けのこざっぱりとした商用ホテルが多いため、じつは東南アジアの繁華街にでもありそうな、このようなテイストのホテルは珍しい。

【水質改善のため? 新手のホテル税】
 さて、昆明の足もとの滇池です。もともとの飲料用だったこの池の水が回復すれば、昆明市民の水不足は、遠くの水を運んでくるよりもより合理的に改善されるはずです。

 ところが以前も書いたように100以上の河川が流入し、水深も平均5メートルと浅い水たまりのよう、流出口も蟷螂川の一カ所のみで、ただでさえ汚水がたまりやすそう、と生態系の回復への悪条件の重なった池の回復事業は生やさしいものではありません。

 すでに累計171.77億元(約2061億円)を投入し、爆発的に夏場に発生する藍藻の除去などの対策を進めるものの改善のきざしはみえず。1998年から14年間連続で国家が認定する最下位ランクの劣悪な水質の湖沼から抜け出せないままです。

 今年からはさらに5カ年計画で420.14億元(約5041億円)を投入する計画が始動中です。

このように年々、雪だるま式にふくらむ水質改善のための経費に頭を痛め、雲南省人民代表大会では、とうとう滇池流域のホテル宿泊者から1日10元の「滇池生態資源補償費」をとってはどうか、と審議されたほど。

 これが決まれば、2011年には4000万人以上が昆明を来訪したので、彼らが一日、昆明に宿泊すると4億元の収入になると皮算用したのですが、あまりにムチャクチャな法律だと、マスコミやインターネットの袋だたきにあい、この条例案は取り下げられました。
(詳しくいうと今年8月6日に補償費案が新聞発表されるや北京のタブロイド紙「新京報」や香港の新聞などが「現地企業や現地の人々ではなく、旅行客に汚染の補償をさせるとは何事か」と取り上げて世論を引き起こしたため、9月26日に昆明市政府が撤回した)

 平成14年より東京のホテルに泊まると、宿泊税なるものを一泊100円~200円払わされる東京都に比べると、中国の世論のほうがよほどしっかりしているなあ、という気もします。
(つづく)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする