雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

南米のきになる野菜たち6 コリアンダー・虫たち

2018-08-24 12:11:30 | Weblog

【コリアンダー】
南米から旧大陸に渡った野菜を取り上げましたが、野菜大国・南米にはないアジアの野菜が今や、当たり前のようにメキシコの人々の口に入っているものもありました。

その一つがシャンツアイ、タイではパクチー、英語でコリアンダーと呼ばれる野菜。メキシコでは豊富に使われていました。刻まれたものが、食堂で頼んだ料理とともに、ほぼ、毎回、出てきました。

メキシコではシラントロといいました。スペイン語です。チキンスープにうまみのある辛みがのっかり、その上にすきなだけ、載せてよいという、シラントロ。

娘は懐かしい雲南でよく食べた味に似ている、と感激しておりました。

この野菜の原産地は地中海東部といわれていますが、日本やロシアなど一部の地域を除いてはすっかり定着してますね。


【市場の様子】
最後のメキシコの市場で見かけた変わった食品を見ていきましょう。

一つ目は大小さまざまなサソリ。珍しそうに眺めていると、自慢げに見せてくれます。メキシコに何度も通う日本人の女性に聞くと、食べたことはない、とのことですが、揚げ物にして、エビのように食べるのでしょうか? 毒の処理が気になるところではあります。

雲南ではたとえばイナゴや蜂の子などは、籠にざっと無造作に山盛りに置かれていました。ですからメキシコのサソリの芸術的な一匹ずつ置いた並べ方はたっぷりと食べるもの、というより宝飾品のように見えてきます。

ただ、その横には虫を串刺しにして黒茶色のたれがかかったものが売られていたので、やはり食べ物であることは間違いないようでした。

次に調味料売り場には醤油や片栗粉が売られていました。「わさび」もあります。この店はアジア系の方が経営していて、日本人と聞くと、たいへんフレンドリーに接してくれました。

この店に限らず、たいてい日本人と聞くと、態度がやわらかくなります。いままでこの地を訪れた日本人がいかにメキシコの人と誠実に接していたのかがわかって、有り難かったです。積み重ねは、大切ですね。
(この章おわり)

※次回より、しばらく更新をお休みします。
夏になって2ヶ月ほど。夏ばてに追いつかれないようにしたいですね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

南米の気になる野菜たち5 龍髭菜とハヤトウリ

2018-08-19 15:00:25 | Weblog
写真は野菜のツルのスープ。かぼちゃのツルやハヤトウリのツルなどが一口サイズに切られて、豆腐や芋、タケノコや真菰ダケ、かぼちゃといった固形のものととともに入っている。塩ベースで白濁したさっぱりとした味のスープである。(写真は昆明の石屏会館、にて)

【ひげの形でみる野菜?】
 前回の続きで、ハヤトウリのツルと葉が台湾で「龍髭菜」の名前で食用とされている話をしました。
一方、中国のインターネット解説サイトの「百度」で髭(口ひげのこと)の字が鬚(あごひげ)になっていて違うのですが、龍鬚菜(龙须菜)がありました。学名は「Asparagus schoberioides Kunth」と書かれていました。

 上記の学名で日本の植物名を調べると「キジカクシ」という名称でした。

「日本他の山野に自生する ユリ目ユリ科アスパラガス属の常緑多年草です。 和製のアスパラガスと呼ばれ、茎は食用になります。」(https://www.kagiken.co.jp/new/kojimachi/hana-asparagus-schoberioides-kunth_large.html 株式会社 科学技術研究所(かぎけん)代表取締役社長 柳下瑞穂より)

 キジカクシは「和製のアスパラガス」と呼ばれています。また、「オランダキジカクシ」は我々が現在食べている普通のアスパラガスを指すそうです。愛知大学編『中日大辞典 増訂第2版』には①シラモまたはオゴノリ(海辺に近い石の上に生える海藻で、葉は細く糸のように食用にされる②キジカクシ、とありました。関連用語として⇒があり「芦笋」と書かれていて、そこのページをめくると「オランダキジカクシ」と出てきます。つまり、先のとがったアスパラガス様のものを指す意味もあるようです。

中国ではアスパラガスはおもに「芦笋」と呼ばれているようです。

「百度」に戻ると、中国の産地としては沿海地区と黒竜江、吉林、遼寧、河北、河南西部、山東、山西、陝西(中南部)和甘粛(東南部)に幅広く見られる野菜、とあります。写真を見ると、髭根のやわらかい感じの野菜、これは雲南の伝統料理店でも見た野菜です。おそらく「海菜」の名で売られていた気がします。ニンニクに塩味で、さっと炒めて食べると、独特の爽やかな香りがあって、口あたりもやわらかで、食べやすかったです。スープにも入っていました。

つまり龍髭菜は台湾ではハヤトウリのツル、中国ではその言葉は流布していないけど、似た印象の単語に「龍鬚菜」があって、アスパラガス様のものを指す。これはとがったあごひげの形からとられた単語なのでしょう。となると台湾のハヤトウリのツルは口ひげの形をしていると認識した人がいる、ということになります。口ひげはくるんくるんに丸まっているのでしょう。

 【仏手瓜と仏手の違い】
 ハヤトウリの中国語名は前回もお伝えしたように「仏手瓜」ですが 中国で、おもに鑑賞植物として庭園に植えられている植物に「佛手」という植物があります。
 こちらは柑橘系の植物で、黄色い実が佛様の手のように見えることからついています。ハヤトウリはウリ科なので、まったく違う植物です。混同される方もいるかもしれないので念のため補足しておきます。

 さらに蛇足の蛇足。娘が小学時代に理科の授業で使われた実用性のある植物栽培の位置に、私が小学生の頃(4半世紀以上前)に君臨していたのはヘチマでした。

 ヘチマは若いうちは食用として食べることができ(台湾では今も現役)、秋に茶色くなるころには、繊維が固くなり、流れ出る水は「ヘチマ水」という化粧水に、乾燥させるとタワシ代わりになり、私はいまでも身体を洗いこするときに使っています。
これも、もしや南米産かと思ったら、インド原産だそうで、日本には室町時代に渡ってきたそうです。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

気になる南米の野菜たち4 ハヤトウリ下

2018-08-12 11:03:42 | Weblog



雲南のハヤトウリ(蒙自にて)とハヤトウリのツル(建水にて)。雲南では夏から初秋にかけて、よく食べられる。これらも南米原産とは驚いた。

【ハヤトウリのツルから】
 蛇足ですが、ハヤトウリは台湾には1935年に日本から渡ったそうです。鹿児島と台湾の交易が当時、さかんに行われていたこと、鹿児島の人がずいぶんと台湾に渡っていたことを考えると、自然な流れといえるでしょう。

 台湾ではハヤトウリのツルも料理に使います。「龍鬚菜」といいます。龍の髭の野菜、です。雲南でも食べられています。スープに入れたり、炒めたりしてシンプルに使っていました。ハヤトウリも同様によく飲食店の調理場に置かれていました。常備菜です。というよりもは雲南ではハヤトウリに限らず、ウリとそのツルはスープの具材としてよく出てきました。

 スープの場合はハヤトウリに限らず、カボチャ、冬瓜など瓜のたぐいならなんでも。それらを食べやすい大きさにカットして、龍髭菜などの瓜のツルを入れ、塩味とキノコなどのスープとして供されていました。

 龍髭菜という名前で呼ばれていたのか、残念ながら聞いていなかったのですが、ウリのツルと葉は瓜がつく前の若菜のうちに収穫されたもののため、やわらかく、クセもありません。いつまでも緑の色がスープの中でさめずに残っているので、冬瓜のようなものと一緒にすると見た目も涼しくいただけます。

驚くほど美味、ということでもないのですが、普通にクセなく、食べられました。

 ちなみにインターネット辞書の『実用日本語表現辞典』には龍鬚菜は「アスパラガス」と出ています。

(つづく)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

気になる南米の野菜たち4 ハヤトウリ 中

2018-08-03 15:43:10 | Weblog

写真は『植物名実図考』瓦瓜より。植物図鑑のハヤトウリそのものである。
h参考:薬用植物一覧よりhttps://www.weblio.jp/content/%E3%83%8F%E3%83%A4%E3%83%88%E3%82%A6%E3%83%AA

【仏手瓜と瓦瓜】
中国では、ハヤトウリはおもに仏手瓜といいます。仏像によく見られる両手を合わせて祈る形をしているからだそうです。ウィキペディアでは1915年に中国に輸入されたとあります(ウィキペディアより)。インターネットで検索すると、そられらの図鑑的な情報は何かの文章をコピーしているようでほぼ「1915年」と書かれています。

ウィキペディアの情報の元となった「1915年」の根拠となる文献を探したのですが、今のところ私には見つけられませんでした。インターネットから離れ、中国書籍に当たると、なぜか日本の輸入時期については「1917年にアメリカから」と明確に記されている一方で中国には年ではなく、約19世紀、と書かれているだけでした。

この19世紀とぼんやりと書かれている根拠はなんだろうと調べると、河北農業大学植物保護学院の楊東向技術師の論文に突き当たりました。ハヤトウリが『植物名実図考』に掲載されている、というのです。『植物名実図考』は清末の1789年に草稿ができあがり、諸事情で1817年に中国で出版された植物図鑑です。当時の中国にしては珍しく絵師を雇って実際の植物を観察させて描かせた、当時のドイツや日本でもたいへん評価の高かった科学的態度に基づいた書籍です。

この本を作った呉其濬は中国各地に赴任していた官僚だったのですが、雲南に長くいたことから、雲南の珍しい植物が多数掲載されているので私も持っていました。
 これに掲載されていれば、1915年どころか、中国の書物に書かれているように19世紀には中国に存在していたことになります。そこでページをめくると、「仏手瓜」としては出てきませんが、「瓦瓜」の項目に、葉っぱの形と言い、花といい、もちろん実も、ハヤトウリそっくりの絵が描かれていました。
そこには
「瓦瓜、産広東。類南瓜・・・」
とあり、広東が産地となっています。広東は外国船が多く行き来していたので、外国の作物が入ってくる時期が早かった地です。
 とくに乾隆22年(1757年)以降は西洋人の貿易の窓口は広東のみに限定されたため、産地が広東、というのは西洋わたりの植物の可能性が高いのです。ちなみに日本との交易は寧波の商人が中心でした。

 続く文言の「日久肉干。外売如瓦缶。」つまり、収穫した実を干すと、外皮が瓦の缶のようになる、つまりこちこちに固くなる、という意味は、他の瓜にも当てはまりそうなのですが、矛盾はしないでしょう。
(つづく)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする