写真左が、チョコレート料理専門店の入り口にあった、モリニーニョの全体像。写真右は、その泡立て器部分。これが料理のために使われるとは、想像できない。どうみてもトーテムポールのようだが・・・。
【泡立て器で粉が挽ける?】
ところで、チョコレートラテの最大の特徴はフワフワの泡にあるようです。そして、その泡立て器がたいへん特徴的なことを前回、お伝えしました。
日本に帰ってから、この泡立て器について調べてみると、おもしろいことがわかりました。
メキシコに残る文書や陶器に描かれた絵や壁などのフレスコ画によると、かつて、チョコレートラテは容器から容器へ移し変えることで泡立てていました。それもなるべく高い位置から料理人がツボを傾けて、下に置かれた容器へと勢いよく注ぐ。周りに飛び散るほどの勢いを出すことでチョコレート飲料の「カカワトル」に泡を含ませていく要領でした。
中身は現在の甘さ重視の飲み物ではなく、トウモロコシをつぶして灰を入れてぽてっとまとまるようにした粥状のものに、トウガラシや各種の花、ハーブ、ときに蜂蜜などを入れ、最後に黒い、つぶしたカカオを混ぜたものだったそうです。
(キャロル・オフ著北村陽子訳『チョコレートの真実』英治出版、2007年)
この飲み物に興味をもったスペイン人は泡立ての効率をあげようと、現在、使われているような道具を導入したのだそうです。これを上記の本では「スペイン式ミル」と訳しています。
「スペイン式ミル」とはなんでしょう?
普通のミルは知っています。我が家にもコーヒー豆を細かく挽くためにキッチンにあります。「粉挽き器」のことです。が、これでは当然ながら泡立てることはできません。
スペインでは、あの不思議な棒で粉に挽くことでもできるのでしょうか?
不思議に思って、さらに調べてみました。
メキシコの言葉はスペイン語です。でも、スペイン語をベースにして現地化した言葉「クレオール語」も使われていて、実際にメキシコを旅した時にも、旅行用に買い求めたスペイン語集が役に立たないことがありました。
(つづく)