雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

雲南のこんにゃく⑨

2012-05-02 11:19:30 | Weblog

写真上は、日本のこんにゃく料理を研究して作られたとまえがきがある『中国魔芋菜譜』(馬傑、張盛林、王克夫著、中国農業出版社、1992年)の表紙。写真下はその中の一ページ。えびそのものに見えるが、これはこんにゃく。このようにこの本には、「のような」こんにゃくがおもしろいほど並んでいる。

【エビにキノコに餃子にタニシ・・】        
 さて、そのこんにゃくのレシピ本を開いてみるとなかなかの趣である。

 ページの最初の方は、丸や四角のこんにゃくや糸こんにゃくを結んだ形にしたもの、凍みこんにゃくなど日本人にもなじみ深いものが並んでいる。
 料理も鍋料理や炒め物といった日本風の料理か、ちょっと中国風にアレンジされたものなので、味も容易に想像できる。ただ、こんにゃくを温めて味噌をつけた「田楽」など、あまりにシンプルすぎる料理は見あたらない。

 やがて中盤以降となると、どんどん日本料理から逸脱し始め、創作意欲が刺激されるのか、みたこともないこんにゃく料理が並び始める。

 その方向性が、日本ではありえないものなのだ。

 そもそもこんにゃくというものは、こんにゃく芋を粉にして、どろりと加工して固めればいいのだから、いろいろな形が出来上がってもおかしくはない。
 だが、こんにゃくをキノコ状にしたものから、エビの形にしたもの、ホルモン(焼き肉屋風のもの)状にしたもの、レバー、タニシ、鳥の手、など、変わり種がずらり。すでに、こんにゃくを使った料理からこんにゃく粉からいかに、精進料理のように「本物に似せたもの」にこんにゃくを固める方へとシフトしてしまっているのであった。

 筆者は四川省の市場をじっくりと歩いたことはないのだが、四川省にはこのような変わり種のこんにゃくが普通に売られているのだろうか? ちなみに雲南ではお目にかかったことはない。たぶん、創作の余地があるほどに、まだまだ中国の一般市民のメニューにはなじみのない食材なのだろう。

 ちなみに原産地の主流とされる東南アジアのこんにゃく芋は、こんにゃくとして固まるときにかかせないコンニャクマンナンという食物繊維を含んでいないため、日本のようなぷるんぷるんのコンニャクにはならないそうである。
(こんにゃくの章、おわり)

*長らくお読みいただき、ありがとうございます。入院することになりましたので、しばらく(たぶん一ヶ月)は更新をお休みします。いろいろと痛いもんで。生まれてから以来の手術でございます。よくなるといいなあ。
 復活しましたら、また、おつきあいのほど、よろしくお願いします! 
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする