雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

雲南省の米

2009-02-21 20:54:24 | Weblog
写真は雲南省蒙自市場で見かけた大紅軟米。さらに色が深くなると紫米、黒米と名称が変わる。米は雲南原産説もあるが、日本では古代米という名で珍重されている原種に近いとされる紫米が昆明の市場にはごく普通に並んでいる。紫米は日本の赤飯の元祖、という説もある。

 【安い炊飯器ほどうまい】
 タイの香米、中国東北産の「秋田小町」、雲南中部の長粒米、黄色い米など紫米など、雲南の市場に行くと、色も形も産地もじつに様々な米にいとも簡単に出会えます。なかでも都市部で大人気なのが中国東北部産のジャポニカ米。日本米に一番、近い味なので、私もよく買いました。

 いまや都市部ですっかり普及した炊飯器を使えば小麦を蒸すよりよっぽど簡単においしい主食を味わえると、人々の生活が豊かなところほど、よく売れているそうです。

 ただし中国の炊飯器の場合、電圧が高いためか、炊いている途中でアワが吹き出し、薄いアルミのフタを押し上げてしまうのが困りもの。

 そこで私はフタの上に重しを置いてみました。こうすると、おいしさのサインといわれるカニ穴、蒸気の抜けた穴、が炊き上がった米にいくつもできて、味が一段、アップするうえ、台所も汚しません。安い炊飯器ほど、おいしく炊けるのでは、と思わせるような香りの高さとなりました。雲南産のジャポニカ米もタイ米のような香りがあり味もまずまず、でした。

【米線の原料】
 先日、米線のつくり方をこのブログで紹介したところ、
「米線の原料は何でしょうか?」
 という質問をいただきました。もちろん米なのですが、大きく3種類に分けられる米(細長くてねばりけのないインディカ米、日本で主流のジャポニカ米、そしてもち米)の中の、どれか、ということなのでしょう。
 
 米線にもっとも適しているのはインディカ米です。水の吸い込みがよく(水に溶け)、粘らない(つまりアミロースが多い)ため、あのつるりとしたコシが生まれるのです。一方、ジャポニカ米だと、水に浸して砕いて火に入れれば、デンプンのりになってしまいます。

 早稲と晩稲とがあるインディカ米のなかで、米線などにほぼ全量がつかわれているのが早稲。栽培期間の長い晩稲の方が栽培期間の短い早稲より、炊くと断然、味がいい。だから晩稲はスーパーに回り、早稲はたとえ産地であっても加工ルートに直行するので一般に出回ることはほとんどないとのこと。
最近では米以外にそば粉でつくったそば米線、ほうれん草をまぜ入れたほうれん草米線、黒米でつくった黒米米線など、食品添加物などを加えてつなげることでバラエティも出てきました。     (つづく)

*いつも辛抱強くお読みいただき、ありがとうございます。ご感想、ご意見をお待ちしております。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雲南の特色料理・小鍋米線② と日本のうどん

2009-02-14 21:56:56 | Weblog
写真は「日本のうどん」が看板メニューの昆明中心街のファストフード通りの一角にある有楽和食店。店の看板には大きく「有楽の和食」とひらがなの「の」が大書きされている。米線のような形状の小麦粉うどんの上にはしなちく、のり、ゆで卵、ネギ、チャーシュー・・。下はうどん、上はラーメンの具、スープは薄味の鶏ガラスープという奇妙な一皿となっている。お客はいつでもガラガラだ。(有楽和食所在地などhttp://www.iease.com.cn/places/165796)

【小鍋米線の作り方】
中華料理は火を使い出すとあっという間にできあがります。

①小鍋を中火で熱したあとに、豚のラードを少し入れ、あらかじめ手早く水洗いした酸漿米線を置く。

②大鍋で何時間も煮込んだ鶏ガラベースの特製スープを一すくい流し込み、日中いっぱいかけて丁寧に刻んだ高菜、白菜、韮、ねぎと、辛めの味付けで炒めておいたひき肉を載せる。

③丁寧に混ぜ合わせた昆明名物の拓東のたまり醤油と甘めの醤油、酢、塩、ちょっとの味の素を次々と手際よく入れて味を整える。

④グツグツしてきたら、お碗に移し、最後に香菜を載せできあがり。
この間、1-2分。マクドナルドが昆明への進出をためらったのも納得できるすばやさです。
(じっさいはマクドナルドもケンタッキーフライドチキンもピザハットも大人気。昆明の中心街でいつも混雑しています。閑古鳥なのは日本うどん。いったい誰が持ち込んだのか、米線料理の本場でうどん、しかもエセうどんでは分が悪すぎる!)

 さて、お味のほうは酢の酸味が強く、唐がらしの辛さも日本の標準よりはるかにきついのですが、意外なほど深い味わいに引き込まれて5歳の娘のお気に入りの1杯となってしまいました。この複雑なハーモニーは一杯ごとの気合いが作り出すたまものだと、舌が感じたのかもしれません。

 ちなみにお客さんの様子をみると、これでも物足りないのか、テーブルの中央にある唐がらしの粉を真っ赤になるほどふりかける人も多数。

 大理出身の40代の男性で現在、日本で暮らす人から聞いたのですが、はじめて雲南を離れ、南京大学へ行った最初の長期休暇の終盤。大学へと戻るために服よりなにより大瓶にぎゅうぎゅうに雲南産の唐辛子をつめこんで、ようやくほっとした、という話が思い出されます。

 この店では太麺か、細麺かと聞かれ「スー」(太麺の雲南なまり)と指定しても、子連れだと、子供が食べやすいだろう、とよく煮込まれた細麺に勝手に変えられてしまうのが残念でした。

【シャングリラの小鍋米線】
 雲南北西部の標高3000メートル級の街シャングリラで食べた小鍋米線はトマトベースの酸味が身体を温めてくれました。ここでは土鍋の小鍋で一人分ずつ作りグツグツさせたまま、鍋ごとお客の前に置いていました。うー、書いていたら、また、食べたくなってしまった!
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雲南の特色料理・小鍋米線①

2009-02-06 23:25:37 | Weblog
写真は、昆明が90年代後半以降、壊滅的に昔ながらの建物を破壊し尽くすなかで、かろうじて残る文林街の風景。雲南大学の裏通りだけあって、古書店などが軒を連ねる。しかし、この建物のま横まではすでに取り壊し済み。この建物も時間の問題かと思われる。破壊状況の土俵際の建物なのである。(2005年撮影。その後、新しい通りにすると政府発表済みだが、状況は変わっていない模様。)

体の調子の悪い時でも、不思議と体が温まる
【小鍋米線】

 店屋で食べる米線はゆでる時に、大鍋でいっぺんに茹で、並べた碗に1人分ずつ分けていくのが一般的ですが、この米線は特製の小銅鍋で1碗ずつ作られるのが特徴です。米線の通にはたまらない一手間ですが、それゆえ多くは見られません。直径18センチ、深さ10センチほどの銅または土鍋から斜め上に長めの木の把手が突き出した鍋で作り、客の前に供されます。

 昆明で最初に開かれた専業店は市の中心・翠湖の北西にあたる今なお、貴重な古いたたずまいをかろうじて残す文林街の一角にあった、昆明飲食公司が経営する「端仕小鍋」店。1920年代にテン池の南に位置する玉渓市出身の(目2つ+下に隹)永明が発明したといわれています。当初は米線ではなく、雲南特産の餌  (ア-クアイ)という粳米ともち米を配合して蒸したあとに撞いて平たくしたものを入れて、売っていたとか。

 作り方や材料は店ごとに違います。わが家が好んだ小鍋米線の店は、白馬小区の溢香園小喫。白馬の像の立つロータリー脇にある小さく飾り気もない、ごくごく普通の米線店です。

 じつは年中、地元の客でごったがえす隠れた名店なのですが(覆面地元新聞記者も絶賛!)、どんなに混んでいても料理を作る人はただ一人。ずば抜けてしっかりした、40代ぐらいの痩せた女性店主だけなのです。2.5元の小鍋米線だけは誰にも譲れないと気迫十分で、お金の受け取りも、人に任せることなく店主が一人で行っていました。
 他の4,5人ばかりいる店員(全員女性)は、あまり忙しくない日中は日だまりのなか、大きなたらいに野菜を入れて、きれいに香菜をそろえて細かく切ったり、ニラを一本一本よりわけたり、はたまた醤油や酢を5リットルは入ろうかという大きな容れ物から1リットル程度しか入らないペットボトル容器へと、漏斗を使って移し替えるといった、地味な下ごしらえを黙々と、でも明るくこなしています。あとは注文とりと後片付け、をするのです。 (つづく)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする