写真はヤクのしっぽでつくられたほっす(払子)。ヤクの放牧地の横で作っていた。チベット仏教寺院で使われる。(シャングリラ〈中甸〉にて撮影。)
【ヤクと黄牛とホルスタイン】
中甸(シャングリアと改称されているが、また呼び名が戻りつつある)の高原で群れて草を食むヤクたちに
「ヤクがいっぱい!」
と感激していると、地元の社会科学院の先生に
「このへんのヤクはみんな普通の牛と掛け合わせたものばかりだからおとなしいけど、本当のヤクはどう猛で危ないよ」
といわれました。
とくに雄が危ないそうです。
以前ご紹介した『アジアの在来家畜-家畜の起源と系統史』によると、ヤクは1300万頭が飼育され(2003年)、成熟した野生ヤクは体高190センチ、体重1000キロに達するとのこと。
家畜牛と交雑した家畜ヤクはそれより小さく、性質もおとなしくなります。ただし交雑種のオスは繁殖せず、家畜牛の血が混じるごとに、高地への適応が難しくなっていくそうです。
チベット民族はヤクの純粋種を繁殖維持しつつ、環境に合わせて家畜牛と交雑させては家畜ヤクを生み出すという高度な技を駆使しているのです。
このように長年、計画的に交雑を進めているためか、いまでは最良に適応した中甸ヤクという独自のヤクとなったものもあります。
とはいえ、ここが雲南のおもしろいところなのですが、シャングリラの牛がヤクだらけと思ったら大間違い。毛並みが薄茶色の中国では「黄牛」と呼ばれる家畜牛や、日本でも乳牛としてよく飼われている白黒ブチが特徴のホルスタインも見ました。
これらの混成部隊を赤ちゃんを背負った男性が杖一本で操って草原を移動させいたのです。壮観でした。
(つづく)
【ヤクと黄牛とホルスタイン】
中甸(シャングリアと改称されているが、また呼び名が戻りつつある)の高原で群れて草を食むヤクたちに
「ヤクがいっぱい!」
と感激していると、地元の社会科学院の先生に
「このへんのヤクはみんな普通の牛と掛け合わせたものばかりだからおとなしいけど、本当のヤクはどう猛で危ないよ」
といわれました。
とくに雄が危ないそうです。
以前ご紹介した『アジアの在来家畜-家畜の起源と系統史』によると、ヤクは1300万頭が飼育され(2003年)、成熟した野生ヤクは体高190センチ、体重1000キロに達するとのこと。
家畜牛と交雑した家畜ヤクはそれより小さく、性質もおとなしくなります。ただし交雑種のオスは繁殖せず、家畜牛の血が混じるごとに、高地への適応が難しくなっていくそうです。
チベット民族はヤクの純粋種を繁殖維持しつつ、環境に合わせて家畜牛と交雑させては家畜ヤクを生み出すという高度な技を駆使しているのです。
このように長年、計画的に交雑を進めているためか、いまでは最良に適応した中甸ヤクという独自のヤクとなったものもあります。
とはいえ、ここが雲南のおもしろいところなのですが、シャングリラの牛がヤクだらけと思ったら大間違い。毛並みが薄茶色の中国では「黄牛」と呼ばれる家畜牛や、日本でも乳牛としてよく飼われている白黒ブチが特徴のホルスタインも見ました。
これらの混成部隊を赤ちゃんを背負った男性が杖一本で操って草原を移動させいたのです。壮観でした。
(つづく)