雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

スペインとポルトガル51  美しきポルト1

2022-04-23 12:12:22 | Weblog
写真はリスボン北東に位置するリスボア・オリエンテ駅。1998年のリスボン万博の開催に合わせて作られた。市内に乗り入れる地下鉄と長距離列車の拠点駅となっている。

【ポルト、19世紀末の香り】
 昨夜、研究者ご一行と別れを済ませ、家族だけでリスボン郊外のオリエンテ駅から特急電車でポルトへ。10時9分の定刻に出発。トラブルなし。心楽しく車窓を眺めると、牧歌的な光景が絵巻物のように繰り広げられていきました。
湖、コルク、オリーブの林・・。やがて小さな工場地帯が見え、また畑。ブドウ畑やリュウゼツランの密生地(※)。その合間にヤギ、馬、牛、ニワトリ、コウノトリが見えて、やがてオレンジの木々が広がっていきました。ビニールハウスはその間、まったく見あたりませんでした。

12時50分、やはり定刻にポルトに到着。

ポルトの街並み。

街はオレンジ色の屋根を持つ城壁の建物が立ち並でいて、道行く人もなんだかおしゃれ。そんな中、かもめがクワックワックワッと高笑いしていて、へんな感じです。

まずタクシーで予約していた「グランド ホテル ドゥ パリ」に向かいました。ホテルは石畳の路に面していて、またもやロビーまで階段があります。振り返るとタクシーは過ぎ去り、フロントに女性が座っているのですが、客がいるとわかっても、がんこに見ないふり。

グランド・ホテル・ド・パリのフロント。

「すみません」と声をかけたものの、「おいで」と手招きされただけでコミュニケーションは終了。まあ、そうか、と荷物を自分で持ち上げてフロントで、チェックインしました。その後、部屋まで案内はされましたが、段差があっても自分で荷物を持ち上げ、エレベーターのドアも自分で閉めました。

同ホテルのエレベーター。

まさにエヴォラで経験した例のパターンです。この感じ、昔、どこかであったようなと記憶をたどると、1990年代初頭までの中国の国営ホテルや鉄道が思い当たりました。ポルトガルでは、ほんの少し宿泊費を落とすと、一気にサービスが変わるようです。

とはいえ、娘の趣味で選んだホテル。1877年創業のポルト最古のホテルなのだとか。説明書には19世紀にポルトで暮らしたエリート層のパリへの憧れを思わせる、とあるので、ホテルの中身を楽しもう。

部屋のドアを開けると昔の少女漫画に出てきそうなヨーロピアン。ふわりとしたカーテンに、おしゃれな木製のベッド。装飾タイルに彩られた水回り。美しい包装紙で包まれたポルトガル石鹸や厚手のタオルなど、ファブリックは、いかにもポルトガル、という風情で充実していました。

部屋の外も美しくカーブした木製の手すりにおしゃれな絨毯。ランプのような照明。居心地はよかったです。

部屋部屋を結ぶ通路。設計がおしゃれ。
これが19世紀の香りなのか。

※リュウゼツランはテキーラの原料になるので、ポルトガルでも作られているのかと思って調べたら、ポルトガル国土の侵入していた外来植物として駆除の対象となっていました。つまり大きな雑草でした。https://www.invasoras.pt/pt/planta-invasora/agave-americana
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スペインとポルトガル50 ポルトガル料理は日本人の舌にあう

2022-04-17 12:04:50 | Weblog
写真はサンタ・ジュスタのエレベータから上がった展望台上から見たリスボンの夕景。海と河に囲まれたリスボンらしい水蒸気を含んだやさしいオレンジ色の光景に癒された。

【研究者一行との最後の晩餐】
その日の昼、ポルトガル南部の沿岸部を回ってきた研究者一行とホテルで合流しましたが、なんだか皆さんお疲れのご様子です。

その疲れた身体に鞭打って、テージョ川沿いにあるオリエント博物館で南蛮屏風図をじっくりと見(南蛮人の膨らんだズボンがイッセイミヤケお得意のズボンのシルエットそのまんま!)、
市内を縫うように走るチンチン電車に乗り、本屋に行って、名物エレベーターで丘の上に立って夕暮れのリスボンを堪能、と再びKさんのアテンドで、ラストスパートの勢いでリスボン巡りをしました。


写真上はリスボン名物のサンタ・ジュスタ・エレベーター。高さ45メートルあり、海抜の低いバイシャ地区と高台を結ぶ。これほどのエレベータが街の公共交通機関になるほど、街の起伏は激しい。
20世紀初頭にエッフェルの弟子によって建てられた建築物だけあって、エレベータの中は磨かれた木製の手すりやイスがあるなど贅沢な造りになっていた。
 



写真はレストラン「シヌ(XENU)」の店内。リスボンの伝統的料理を堪能できる。サービスも古風で本物感が漂って素敵。(同店のフェイスブックの更新は2021年10月まででストップしている。今、どうなっているのか心配。)


夕飯はホテルからほど近いリストランテ「シヌ(XENU)」に行きました。Kさんご推奨のお店だけあって、やつ目うなぎのリゾット、エビ入りカレー、子ヤギの蒸し物など、当然のようにおいしい。
 ことに、ポルトガルではどこに行っても思うのですが、デザートのおいしさったらない。卵の上手に使った甘さ控えめの上品なやさしい味と香り。生クリームに固執しないバリエーション。現地に着くまではポルトガルスイーツといえば、マカオの置き土産のエッグタルトに、日本でも人気のカステラぐらいしか知りませんでしたが、すべて食べつくしたいほどの奥深さです。

写真はアーモンドケーキ。

その日はアーモンドケーキをデザートに頼んだのですが、明日にはだめになっちゃいそうなふわっとした感触と、ほどよい甘さ、そして鼻をくすぐるアーモンドと各種フルーツの香りにノックアウト。

写真中央手前が「らくだのよだれ」。

「らくだのよだれ」という印象的な名を持つキャラメルのババロアも、同様においしい。これでコーヒーがエスプレッソで水分控えめになってしまうのが、私にはちょびっと残念。がぶがぶ飲みたくなるのです。

ここで皆さんとはお別れして、明日から家族でポルトに移動。Kさんの完璧なアテンドともお別れです。ありがとうございました。

                        (リスボン編・おわり)

※次回、「ポルト」の都市に移動します。
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スペインとポルトガル49 トマトのジャムにうなる!

2022-04-02 18:10:39 | Weblog
写真は前回に引き続きデジャネイロ市場にて。魚市場の方々はとてもフレンドリー。
 右奥に見えるのがポルトガル産ワイン、チーズ、ジャム、はちみつのお店。ジャムなどを買ったのだが、小口客は相手にしていないのか、なんとなく客あしらいが厳しめだった。

【デジャネイロ市場でお土産を買う】
 リスボンのデジャネイロ市場はあきらかに魚が中心ではあるものの、ほかに野菜や果物、肉屋、ジャム、チーズ、ハム・ソーセージの専門店、インド系の人が売り子をしているスパイス専門店などもありました。

写真上は手の握りこぶしのような大きさのマッシュルーム。写真下は直径10センチは軽く超えるシイタケと紫色の皮がついたかぶ。ほかにもとうもろこしやにんじんなど紫色系の野菜を見かけた。野菜の種類は、エヴォラと変わらなかった。


 なかでもさすがスイーツの国だけあって、市場で買ったジャムは今でも我が家で大人気。とくにトマトのジャムは大当たりです。
 トマトって甘くないんじゃないの? とお思いの方もおられるかもしれませんが、癖のない上品な果物の甘さがあり、トマト本来の旨味成分のせいかバターなどの乳製品とよく合うのです。パンに載せるとパクパクといくらでも食べられます。
 じつはエヴォラのポサーダの朝食会場にたくさんのジャムが並んでいて、一つ一つ吟味して、娘が当たりをつけていたのが「TOMATE」のジャムでした。
 市場にあったのはリスボン「ドセダビーナ(Doce da Bina)」社のもの。家族の健康のために公務員だった方が手作りして、それが高じて興した会社だけあって、作り方は実にシンプルです。香料などは一切使わず、煮詰めたり炒めたりしていただく種類のトマトをつかい、シナモンと砂糖とレモンの皮で煮詰めただけ。家で作るジャムのようなやさしいおいしさなのです。

 ラベルにはリスボン周辺のトマトを使って作られていることが書かれていました。リスボン産のトマトは有名らしく、イシイのミートボールでおなじみの石井食品もソースに使っているそうで、石井食品の社員のレポートによると加工すると甘味と酸味に優れたトマトなんだとか。
https://www.ishiifood.co.jp/sanchireport46.php

 日本ではトマトの加工品といえば、ジュースかケチャップといった塩味系が普通ですが、いずれ日本でも甘味系のベクトルが働いて、トマトのジャムがスーパーに並ぶ日が来るかもしれません。いや、来るといいなあ。
(今のところ、三浦屋、成城石井、KALDIなど輸入食品に強い店でも、見当たりませんでした。インターネットで調べても日本ではポルトガルのジャムを扱っているところは見つかりません。ただシチリア産などは入手可能なようです。)

※いつの間にか梅は散り、桜も終わりつつあります。春は気が上がりやすいので、深呼吸するなど、意識してお休みの瞬間をつくるといいようです。
 来週の更新はお休みします。
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