雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

二度目のロンドン33 憧れのキューガーデン③

2024-05-19 09:28:06 | Weblog
写真はテンペレートハウス。ちょうどキューガーデン内をめぐるツアーの人々が到着。歩くのが苦手な人は、ツアーなどを利用するのもおすすめ。

【160年前からあるテンペレートハウス】
パームハウスから道にそって南西へ進むとまたもやガラス張りの巨大な温室がありました。先ほどの丸みを帯びた温室と違って、こちらはカクカクとした宮殿風です。テンペレートハウスです。テンペレートは温帯を指すので、文字通り温帯植物の温室です。一般公開が始まったのがやはりヴィクトリア朝の1863年。その後36年かけて今の形となりました。設計者パームハウスと同じデジマス・バートン。

なかでは野生種の稲や赤米などが見事に実っていました。

ガラスがきらりと光っていて白亜の宮殿のようだ、とその美しさに感嘆していたのですが、私が行った2019年7月14日は大規模な改修作業を終えて再オープンして1年2か月がたったころだとわかりました。100年以上たったこの建物にサッカー場4面を軽く塗れる5280リットルの白ペンキを塗ったりなど5年をかけていたのです。

【西本願寺の勅使門】
さらにずんずん南西へと進むと、高い木々と灌木がうっそうと茂る(けど下草は刈られていて歩きやすい)不思議な空間がありました。案内表示には
「日本庭園(Japanese Landscape at Kew)」
 と書かれています。

奥に進むと西本願寺が1910年に出品した勅使門と灯籠がうやうやしくそびえていました(ロンドンで開催された日英展)。あまりの迫力に日本の寺で使われた本物を移築したのではと思っていたのですが、案内板によると1910年に5分の4スケールで新たに造られたものでした。総桧木造りでヒノキ皮拭きの屋根、欄間や羽目板には華麗な彫刻とまことに豪勢です。

この時期の西本願寺の法主は大谷光瑞。シルクロードなどの探検で有名な大谷探検隊を企画し、主導した人物です。世界に日本が負けぬ威光をとどろかせようと、文化的にさかんに活動していた時期なので、そのような歴史的背景に思いを馳せると感慨ぶかいものがあります。

キューガーデンには博覧会終了後すぐに移築されました。1994年から修繕され1996年に再お目見え。周囲には桜やつつじなど日本由来の植物が植えられていました。

【アジアンワールドも】
勅使門からほど近い場所にはさらに中国園。立派な楼閣が聳え立っています。近くの森にはパゴダもありました。ロンドン由来のアジア関連の建築物が一気に置かれている印象です。これらが広い広い森に点在し、小鳥たちが軽やかにあちらこちらへ飛び回っていました。
                  (つづく)
※次週の更新はお休みします。ぐぐっと日差しが強くなってきました。熱中症には気を付けたいですね。私もスマホをうっかり日差しのある机においたら、熱くなりすぎて、危なくなっておりました。
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二度目のロンドン32 憧れのキューガーデン②

2024-05-12 16:50:05 | Weblog
パームツリーハウスに隣接する建物ウオーターリリーハウス。各種スイレンが咲き乱れ、甘い香りがただよっていた。

【途方もない広さ】
朝方の雨ですっかり冷えた空気。宿舎を出たときに寒い、と思って部屋に上着を取りに行こうとしたら、家人に

「これからあたたかくなるんじゃないの?」

といわれて断念したのが悔やまれます。日中のど真ん中以外は、本当に寒かった。
歩いていると広さが桁外れすぎて、先に進んでいる気がしなくて、なんとなく、絶望、という感じがしました。1日歩き回っても、半分も見れません。さすが大英帝国!

4万エーカー(132ヘクタール)という広さはどれくらいなのかと考えたのですが、先ほど新聞を見てぴったりな数字を見つけました。不謹慎なたとえで申し訳ないのですが2024年5月4日に山形県南陽市で山林火災が発生し、鎮火までに4日かかりました。その焼失面積が3日目の午後7時時点で137ヘクタールでした。消火に尽力していたにもかかわらず火が燃え広がった3日分がキューガーデンなのです。

【パームハウス】
園内を入って正面にみえるのがガラス張りの風雅な温室パームハウス。その名の通りヤシの木などの熱帯植物が生い茂っています。ヴィクトリア朝の1844年に造船技術を用いて鉄や手拭きガラスで作っているため、巨大な船がひっくり返ったような形をしています。

 デジマス・バートンの設計によって作られました。野生の熱帯雨林では絶滅の危機に陥っているものも多く、またゴム、アブラヤシ、カカノの木など植民地時代を支えた有用植物が多数見られました。
なにより温室なので温かい。

パームツリーハウスの右横に設置されている温室ウオーターリリーハウスには様々なスイレンが咲き乱れていました。スイレンの本場はアジア、日本もその一つですが、私が日本の植物園でも見たことのない種類の白く透明な葉をもつ不思議なスイレンも咲いていました。

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二度目のロンドン31 あこがれのキューガーデン①

2024-05-05 16:19:34 | Weblog
写真はキューガーデン駅からキューガーデンへ続く一本道に建つ家々。やや厳格な、ゆるがせにしない雰囲気をたたえていた。それぞれの庭が美しい。

【キューガーデンへ】
朝6時に起床。運動して6時半に朝食。いつもはクーラーのない西日の部屋で片側にしか窓がないため、寝苦しくて汗びっしょりで起きたり、寝られなかったりといろいろですが、今日はさわやかでよい目覚めです。
 と思っていたら7時半からやわらかいシャワーのような雨が降りそそぎはじめました。イギリスで初めての雨です。レンガがしっとりと濡れたらさぞやきれいに、地面の石畳はどんな感じになるのかな、とワクワクしていると、石につやが出る間もなく晴れました。

 雨だったら大英博物館か図書館と決めていたのですが、せっかく晴れたので、行きたかった、キューガーデンを目指すことに。

 キューガーデンは、世界でもっとも有名な植物園としてしられ、膨大な植物関係の資料を有する王立植物園です。2003年にはユネスコの世界遺産にも登録されました。

ロンドン南西部にあり、ディストリクト線で一本。気軽な遠出で30分で到着しました。キューガーデン駅を降りると、まるで別荘地のよう。静かで、家も周囲をいろどる庭も、手入れが行き届いていて美しい。お菓子の家のような、はたまたシルヴァニアファミリーのおもちゃのおうちのような建物が続いています。

このあたりは19世紀のロンドンの人口増によって発展し、ロンドンからの地下鉄の開通にともなって発展した、ロンドンのやや高級な住宅地、という位置づけとのこと(キュー (ロンドン) - Wikipedia)。ロンドンの中心部やノッティングヒルなどの超高級住宅地ほどではなくとも、上質な、世界を制覇したころのロンドンのたたずまいが醸し出されていました。

駅から徒歩10分弱でキューガーデンの入口となるヴィクトリア門へ。

ネットの情報では土日は混んでいるといわれていたのですが、日曜日だというのに、ほとんど人に行き会うこともありませんでした。朝方の雨のせいか空気はひんやりしています。チケットを買って温室風の建物を抜けると、130ヘクタール、4万種の植物が生い茂る植物園が広がっていました。
 空間が広すぎて、見どころが多すぎて、正直、どちらに行ったらいいかわからなくなってしまいました。広すぎるための圧を感じたのはちょっと方向性は違いますが、中国の天壇広場以来です。
               (つづく)
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