4月の冷たい雨が降る少し霧のかかった森の中の朝の道を2台のロードレーザーが息を切らせながら進んでゆく。時には2列で、時にはインラインで。路面に溜まった水しぶきも浴びて、体の上も下も、前も後ろもびしょびしょである。コロナによる外出制限と雨の予報故に道を走る車も少なく、まして、すれ違ったり追い付いたり追い越したりする自転車もいない。走っている二人の会話は、『ケツが冷てぇー』とか、『前が見えねぇー』等であり、次元の高い会話は一つもなく、遭遇した状況を叫んでいるだけであった。
二人が走り出してから雨が降り出したのではない。日曜日の朝にしか時間が取れない僕は、天候に関係なく自転車のトレーニングに出かける。そこに息子が参列したのだ。寒いし、雨が降っているから今日は止めとけと言ったのだが、説得力は無かった。
中継点をユーターンして自宅まであと5マイル(8キロ)という地点でアクシデントに見舞われた。後輪が振動し見るとフラットタイヤ(パンク)である。雨は依然としてしとしと降り続けている。ここで止まると体が冷えてしまうので、息子には来た道を辿ってそのまま自宅に帰るように指示し、僕は簡易屋根のある近くのバス停に寄り雨をしのいだ。予備のスペアチューブもパンク修理キットも持参しているのだが、濡れた体に冷たい風が舞い続け、体が冷えて震え指に力が全く入らない。やばい!このままでは遭難する、SOS SOS... で家内を呼んだ。家内は息子が雨の中でパンクしたと思って急いでやってきてくれた(汗)。
自宅に帰って、体が温まって正気を取り戻してからパンク修理に取り掛かった。タイヤの中に食い込んだ1.5x1ミリ程のエメラルドに輝くガラスの破片を見つけた。この小さなゴマ粒程のガラスの破片が事態を招いたのである、ガラスの破片は物としては微小なものだが、事としては大きかった。雨の日の自転車走行にも、登り坂、下り坂、そして、ま坂(まさか!)がある。パンクに対する対応も、普段は出来ていても、条件が変ると出来る事も出来なくなるという事。自分を過信しないで、時には人の力を借りる、お世話になる。そういった姿勢もオーバーランダーとして理解して持っておくべき大事な事なのだと感じた機会であった。