万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

民族紛争と民主化運動が中国を揺さぶる

2011年06月02日 17時42分07秒 | アジア
中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス デモ騒動、内モンゴルで何が起こっているのか 「私たちの人権は、血を流して戦う覚悟がなければ守れない」(日経ビジネスオンライン) - goo ニュース
 世界第二位の経済大国に成長した中国は、超大国への道を順調に歩み続けているように見えます。しかしながら、民族紛争と民主化運動の二つの潮流が、やがて、中国の現体制を根底から揺るがすのではないかと思うのです。

 それは、中国が、政治において、時代に逆行した”つけ”であるかもしれません。現代という時代は、民族自決の原則のもとで、異民族支配を否定してきました。この原則は、分離・独立ばかりではなく、国家内部の少数民族に対しても、その固有性を尊重する根拠となってきました。民主主義もまた、現代という時代において、あらゆる国民が追求してきた価値です。今年に入り、中東諸国で連鎖的に起きた民主化ドミノが示すように、民主主義は、今や普遍化したといっても過言ではありません。一方的な異民族支配や独裁体制は、時代遅れとなっているのです。これらが廃れた根本的な理由は、人間性に反しているからの他なりません。

 中国は、暴力や謀略でこれらの問題を解決しようとしてるようですが、この方法もまた、時代に逆行しています。中国政府が、時代感覚の”ずれ”を自ら自覚しない限り、中国の共産主義体制は、その時代感覚に相応しく、かつての歴代王朝の多くがそうあったように、内部崩壊の運命を辿るのではないかと思うのです。

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6 コメント

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Unknown (UNKNOWN)
2011-06-03 05:28:28
 国家がますますリヴァイアサンに化しているのはアメリカも同じ。属国日本も国民監視法案が次々と出てくるだろう。例えば、もうすぐ法律になりそうなコンピューター監視法案、さらに、一見、もっともらしく見えるけど、国民をいつでも逮捕できる児童ポルノ法案、さらにGPS機能付きのスマートフォンで権力にとって好ましからざる人物のいる場所をいつでも監視できるだろう。もうメールも電話も監視されているだろう。そのための理屈付けが対テロ法。
 人類の未来は自由な民主主義ではなく、むしろ、一部、少数の人間が多数を家畜にする国家、オーウェルの”1984年”の社会だろう。
 中国は”時代に逆行”ではなく”時代の先端”というべき。わが国もアメリカもチャイナ以上の全体主義国家になるだろう。陰鬱な未来だが、国家がますます強大になり、国民を奴隷にするのは間違いない。
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UNKNOWNさん (kuranishi masako)
2011-06-03 08:40:42
 民主主義とは、人々を暴力で弾圧するような暴君が出現することを防ぐための価値であり、また、実際に、それは制度化されてきました。中東諸国の民主化運動にも見られるように、人類の歴史の流れは、今日に至るまで、自由と民主主義を尊重する方向に流れてきています。もし、逆行が起きるとすると、それは、国民のレベルではなく、一部の政治権力を握る者の脳裏において起きることです。国民の意識は歴史の先を行き、中国を含めた一部の”支配者”だけが、歴史を後戻りしているのです。民主的で公正な選挙が実施されていれば、国民は、こうした政治家を排除することができるのです。
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Unknown (UNKNOWN)
2011-06-03 20:07:58
 柄谷行人の言うように、資本制=ネイション=国家は三位一体、マルクスの予言とは違って国家は消滅しない。
 経済がグローバル化すると、労働コストが数十分の一の国と競合する産業は当然破滅する。貧窮化する人が多数生じれば、共同体としてのネイションは揺らぐわけだ。これも、経済の大津波なのだから、放置されると、彼らはもはや絶望して国家を信じない。共同体としてのネイションを維持するには、何らかの社会民主主義的手法が採用される。最低限、食えるようにしようと言う訳だ。
 生活保護なり、フードスタンプなり、不正を防ぐためには、国民に背番号を打ったり、所得、資産を確実に把握しようとする。さすれば、国民を監視するようになる。
 新自由主義のように”ガンバレ”で放っておけば、やがて、反乱するものが現れる。それを防ぐために監視社会となる。
 社会民主主義だろうと新自由主義だろうと、国家は、どのみち、リヴァイアサンと化する。
 アメリカの福祉予算が50%越え、軍事は20%未満なのに。いかにネイションを維持する費用が高いかを表している。
 だから、アメリカも日本も”1984年”の全体主義国家になる。いや、もうなっているだろう。
 こんな陰鬱な未来では仕事をせず生活保護を受けてパラサイトするのが最適な生存戦略になる。そうはさせじと支配層は生活保護を叩くイデオロギーを用意している。かくして、非正規が一番、生活保護叩きに熱心になる。江戸時代と同じだ。水のみ百姓が差別に一番熱心だった。まんまと支配層の思惑に乗る。歴史の繰り返しだ。
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UNKNOWNさん (kuranishi masako)
2011-06-04 08:44:59
 市場がグローバル化した時代には、深刻な雇用問題の発生を回避するためにも、自国の経済競争力を維持・強化させる戦略が必要なのです。
 例えば、我が国の場合には、民間レベルでは、最先端部門の製造拠点は自国に残す、技術流出を防止するためにブラックボックス化を図る、新たな産業や製品を生み出す、低コスト化を図る・・・などを挙げることができます。政府もまた、外国人労働者の就労制限、雇用の創出、労働力の産業間移動の円滑化・・・などに努めれば、ある程度、自国の競争力と雇用を維持することができます。その一方で、廉価な労働力を武器としてきた新興国でも、経済発展に伴い、賃金や物価が上昇し、通貨の相場も上がりますので、コスト面における競争力が低下します(この点、中国の元安政策は問題・・・)。
 むしろ、政府の側が、全体主義化を狙って、国民を”等しく”貧困にしようとしているのではないかと、疑っています。全体主義化しても、北朝鮮を見れば一目瞭然なように、未来はないのですが・・・。
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Unknown (UNKNOWN)
2011-06-04 13:19:32
 >民間レベルでは、最先端部門の製造拠点は自国に残す<
 資本主義に愛国心を期待してどうする?資本は、最大の利益を上げるように、どこにでも移動する。
 さらに、あなたは労働コストのみで、チャイナに進出すると思われているようだが違うのだ。そもそも、日本の若者は下士官になれる層が薄い。つまり、使えない人が多いのだ。だから元を高くしてもチャイナに進出すると思う。一度、募集担当をすればわかる。日本の若者は使えない者が多すぎるのだ。ま、日本の若者は”唐様で描く三代目”ばかり。チャイニーズの方が使えるのだ。こんな状態で、最先端科学で頑張っても、実際の製品作りではおしゃかばかり作りかねない。だから、新自由主義も掛け声だけの事実知らず、国民を貧窮化し、反抗を監視する全体主義国家を作るだろう。
 生活保護者一人のコストより、刑務所の囚人一人のコストの方が高いのだ。新自由主義者は犯罪者を生み出し、社会民主主義者は生活保護者を生み出す。コストだけ見れば、社会民主主義者のほうがまし。だが、どっちも国民監視の全体主義国家になる。FACEBOOKもツィッターも監視法案ができれば、弾圧の武器になる。FACEBOOKなど実名を曝しているのだから、好ましからぬ人物はすぐ監視される。FACEBOOKもグーグルもツィッターも国民監視のために造られたのだろう。ついでにスマートフォンを持っていれば、24時間、好ましからぬ人物がどこにいるかわかるではないか?
日本もアメリカも剥き出しの全体主義国家でないというだけで、中味はチャイナと同じ。どっちも見せかけの二大政党。チャイナの団党と上海党の争いみたいなものだ。
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UNKNOWNさん (kuranishi masako)
2011-06-04 20:55:47
 少なくない数の我が国の企業は、国内に雇用を残そうと努力はしております。政府もまた、産業の空洞化を防ぐための政策を実施しております(本日のニュースでは、レア・メタルの使用量削減技術などへの支援策・・・)。市場がグローバル化した時代であるからこそ、官民とも無策であってはならないのです。

 中国人の問題は、長期にわたる共産党独裁の影響により、モラルが欠如していることです。市場経済では、信用が第一ですので、この点、看過できないリスクがあります(産業スパイの可能性もある・・・)。

 アメリカの監視強化は、テロや犯罪防止が目的ですが、中国の場合は、民主化を阻止し、国民の自由を奪い、共産党一党独裁を維持するために行われています。また、アメリカでは、ティー・パーティといった草の根の政治運動が健在であり、国民の政治活動が弾圧されている中国と同列に論じることはできないと思います。少なくとも、国民レベルでは、アメリカであれ、中国であれ、そうして日本国であれ、自由と民主主義の価値を支持し、尊重しているのではないでしょうか(もちろん、全世界の国々の国民も)。
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