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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

韓国の慰安婦問題普遍化は‘藪蛇’?

2019年08月16日 15時09分48秒 | 国際政治
韓国では、8月14日は法律により「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」、即ち、「慰安婦の日」に定められています。首都ソウルでは政府主催の記念式典を開かれ、同市内でも、マイク・ホンダ元米下院議員等も出席し、新たに設置された慰安婦像の除幕式がとりおこなわれました。

 日韓関係の悪化に歯止めがかからない中、一昨年の暮れに成立した日韓合意も事実上破棄され、慰安婦問題は、韓国政府の対日批判材料として再度浮上して来ています。海外へのプロパガンダも活発化してきており、新たな慰安婦像の設置も内外へのアピール効果を狙ったものなのでしょう。しかも、海外でのプロパガンダ活動では対日批判を表には出さず、人類普遍の非人道的な行為としての側面を強調し、韓国への同情と共感を得ようとしているように見えます。しかしながら、韓国の慰安婦問題普遍化方針は、裏目に出る可能性もなきにしもあらずのように思えます。

 その理由は、新設された慰安婦像にあります。新聞紙上に掲載された慰安婦の像とは、10代と見られる少女たち3人が真っすぐに正面を見据えながら手を結んで輪になって佇んでいる構図で製作されています。同銅像の作者につきましては詳しくは分からないのですが、その少女たちの顔立ちや服装はみな違っています。一人は、日本大使館前に設置された慰安婦像と同じくおかっぱ頭のチマ・チョゴリ姿なのですので、朝鮮の少女であることは一目瞭然です。ところが、残りの二人の衣装はと申しますと、一人は長い髪を後ろで結び、襟付きのワンピースを着た少女と、そして、もう一人は、三つ編みを両肩にたらし、脇にスリットの入った上着にズボンをはいたアジア風の姿なのです。しかも、後者二人の顔立ちは、北方アジア系である朝鮮民族というよりも南方系に近く、目元のぱっちりした所謂‘濃い顔’なのです。

 おそらく、新慰安婦像には、同銅像を制作した彫刻家、あるいは、注文主の普遍志向が反映されている、あるいは、中国人や満州人をも被害者の列に加えたい思惑が隠れているのでしょうが、南方アジア風の少女の姿に、ベトナム戦争時における韓国軍の蛮行を思い起こす人がいてもおかしくはありません(ベトナム人女性被害者と韓国兵との間に出生した子どもたちは、「ライダイハン」と称されている…)。同銅像では、南方系の顔立ちの少女の着ている上着の丈は短めですが、これを長くしますとベトナムの民族衣装のアオザイに見えてくるのですから(チャイナドレスは、もともとは満州族の衣装を起源としており、アオザイにも影響を与えたとされる…)。

 折も折、先日、ロンドンのウェストミンスター地区の公園で、英国人彫刻家によって制作されたライダイハンの像が公開されています。同銅像に寄せて、ジャック・ストロー元外相も「韓国政府に自国軍が犯した罪を認め、国連の調査を支持する姿勢へと変えさせる効果を期待する」と述べており、ライダイハン問題について国際的関心や批判が高まると共に、国連レベルでの調査委員会の設置まで検討されている現状が窺えるのです。こうした状況下にあっての新慰安婦像の公開は、韓国にとりましては、むしろ、戦時における自国軍の非人道的な行為を世界大に知らしめるきっかけとなる、つまり、‘藪蛇’になるかもしれません。真っすぐに正面を見つめる少女の目は、いたいけなベトナム人少女の韓国を憎しみの目で見つめる眼差しとなるかもしれないのですから。

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コメント (22)
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