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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

自己中心的な人権思想は他者尊重に脱皮を

2014年12月11日 15時29分34秒 | 国際政治
壇上に男、マララさんに近づく…警備すり抜け(読売新聞) - goo ニュース
 今年も、研究や活動を通して人類の発展に貢献した人々に対して、ノーベル賞が授与されました。日本からも三人の研究者が受賞の栄誉に浴しており、国内でも祝福の声に満ちております。

 歴代受賞者の談を伺いますと、どの受賞者の方々も、自らの発想を信じて研究に打ち込んでこられた方ばかりです。自由な知的活動こそが成果を生んでいるとしますと、全ての子供達に教育を、と訴えるマララさんの言葉に、知的活動の入り口にさえ立てない人々が、未だに世界には存在することを痛感させられます。一体、どのような権利があって、イスラム原理主義者は、他者から教育の機会を奪うのでしょうか。『コーラン』は、女性の保護を奨励こそすれ、暴力を以って女性の教育を止めさせよ、とは書いていないはずです。身勝手な理由を付けて他者の権利や自由を奪うことは犯罪と同じであり、誰にもそのような権利はあたえられておりません。古今東西を問わず、人々は、自己中心的な侵害者と闘ってきたのであり、自分の自由と権利ばかりを追求し、他者の基本的な自由と権利を蔑にする信仰や思想は、邪教なのではないでしょうか。イスラム原理主義者たちは、自らが悪魔に堕していることに気が付いていないようなのです。

 この問題は、パキスタンだけのものではなく、実に普遍的なものです。近代人権思想とは、自由や権利の侵害禁止を個人を中心に据えて捉えたものであり、本来、他者に対する侵害行為を禁じる古来の刑法と表裏一体をなしています。近年、基本的な自由や権利の尊重は、個人主義と結びつくことで自己を中心に物事を捉える思想と見なされがちですが、21世紀は、他者の自由と権利の尊重をも思想する両面性を備えた思想に脱皮すべきなのではないでしょうか。

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コメント (2)
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