万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

「核なき国」の不安への対処を

2009年04月13日 17時21分03秒 | 国際政治
オバマ米大統領の「核なき世界」、前途多難との声が大勢(トムソンロイター) - goo ニュース
 核を持たない国の不安は、核を持つ国には十分に理解されないのかもしれません。しかしながら、核問題において最も優先して考えねばならないことは、核を持たぬ国の安全保障問題ではないかと思うのです。

 核保有国の間には、現在でも、相互破壊力による核の均衡というバランスが成り立っています。これまで大国間で行われてきた核弾頭や大陸弾道弾ミサイルの数の削減交渉は、このバランスを保った上でのお話であり、全面放棄というわけではありません。ところが、核保有国と非核保有国との間にには、相互抑止のバランスは存在していません。今日に至るまで、一方的に、非核保有国が核保有国から核攻撃の脅威に晒されているという状況が続いているのです。しかも、この不均衡は、北朝鮮やイランへも核が拡散するとなりますと、さらに悪化します。

 オバマ米大統領の掲げる「核なき世界」は究極の理想ではありながらも、もし、NPT体制を維持し、加盟国に抑止力としての核の保有を認めないならば、現実の脅威への対応として、非核保有国の安全確保の仕組みづくりを進めるべきではないか、と思うのです。

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コメント (10)
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