goo blog サービス終了のお知らせ 

万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

国家独立には国連決議が必要?

2007年12月14日 21時51分57秒 | ヨーロッパ
コソボ独立で首脳協議 EU、合意達成が焦点(共同通信) - goo ニュース

 コソボ独立に反対するセルビアのタディッチ大統領は、コソボが国連手続きを経ずして独立宣言をした場合、国際司法裁判所に訴える用意があるとする声明を発表しました(日経新聞本日朝刊)。この提訴は、突き詰めますと、国家独立には、国連決議が必要なのか、という問題を問うものとなりそうなのです。

 国家独立については、国際慣習法が要件としているのは、一定の領域内に、民族自決権に由来する特定の国民が存在し、かつ、政治的な権力(主権)が確立していることです。この要件を満たしていれば、独立国家としての資格を持つことになります。しかしながら、国家承認の効果については定説はありません。現在までのところ、承認は、それぞれの国々が独自の判断で行っており、国家独立には国連の承認を必須条件とするというルールは成立していないのです。このため、国際司法裁判所に提訴したとしても、そもそも、こうしたルールがありませんので、判断のしようがないことになりましょう。もし、独立には国連の承認を必要とする、というルールを国際社会でつくるとするならば、それは、司法ではなく立法行為となるからです。

 現在の国際情勢を眺めてみますと、国連決議は国家独立の要件とするルールは、そう簡単には成立しそうにありません。国連を舞台に政治的に独立を否定される国が登場してきてしまいそうですし(台湾・・・)、国連が決定権を持つとしますと、結局は、第三者がその国の存立を左右してしまうことになるからです。時にして、国連の政治的な決定は、事態をさらに収拾のつかないものにする場合のあることを(パレスチナ紛争)、忘れてはならないと思うのです。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする