万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

バランス・オブ・パワーから台湾支援を

2007年12月28日 18時33分18秒 | 日本政治
ガス田問題の早期決着に向けた決意を共有、台湾独立は支持しない=首相(ロイター) - goo ニュース

 国際法においては台湾は既に独立国家ですので、今さらに、福田首相が、台湾独立は支持しない、という立場を表明したとしましても、その法的な効力は限られていますが、ここでは、バランス・オブ・パワーの論理から、日本国の外交政策を検討してみることにしましょう。

 現在のアジア情勢を俯瞰してみますと、経済成長を踏み台として急速に軍事力を増大させてきいる中国に対して、日米同盟は、充分な抑止力を失いつつあります。将来的にはこのバランスが逆転し、太平洋の制海権を中国が握るという展開も絵空事ではありません。こうした安全保障上の危機を迎えた場合、古来、国家というものは、重大な対外政策上の選択を迫られることになります。

 存立の危機に直面した場合、大きく分けますと、1)強国に屈し、下位国家化する、と2)バランス・オブ・パワーを考えて中小国と連合する、という二つの選択肢があります。18世紀の哲学者ヒュームは、古代ローマの例をあげて、自らの同盟国が征服されてゆくというのに、ローマの方に味方した諸国の愚かさをを非難しています。この見解に従えば、中国に擦り寄る現政権の行く先には、日本国の属国化が待っていることでしょう。

 未来永劫にわたって、日本国が自らの独立を守り貫くためには、当然に採るべき選択は、後者の政策、つまり、バランス・オブ・パワーを原則とした台湾支援なのではないでしょうか。それは、自らの独立を守ることでもあるのです。
 

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