MSN産経ニュース(サーチナ)の3月10日付けの記事を見て、おやっと思った方がい多いのではないでしょうか。
「韓国の元慰安婦らが会見、ベトナム戦争時の韓国軍による性暴力問題・・・「政府が解決すべき」=韓国」
という記事です。2名の韓国の「元慰安婦」が自国(韓国)のベトナム戦争時の韓国軍兵士による性暴力について韓国政府に謝罪を求めているのです。
ベトナム戦争時の「韓国軍による拷問や虐殺事件、あるいは婦女子への暴行事件」などについては、一部のメディアで触れています。たとえば、「暴かれた英雄の犯罪」(ニューズウィーク日本版、2000年4月21日号)、および、「韓国が戦争犯罪を認めない訳」(ニューズウイーク日本版、2013年10月1日号)。
しかし、ベトナム戦争時の韓国軍兵士による性暴力については、日本国内はおろか、国際的にもほとんど知られていません。韓国の巧妙(というより姑息)な情報操作の結果だと思います。
現在の朴槿恵(パク・クネ)現大統領の父親である朴正煕(パク・チョンヒ)大統領(当時)の決断でベトナム戦争に参戦して、戦時とはいえ、韓国軍兵士による虐殺はもちろん、多くのベトナム女性人を陵辱しました。ベトナム人女性との間に生まれた子供は「ライダハン」と呼ばれ、ベトナムで社会問題になっています。
「2001年、金大中(キム・デジュン)大統領がベトナム訪問の際、『不本意ながらベトナム国民に苦痛を与えたことを申し訳なく思う』と“謝罪”した。これに対し当時、野党だった朴槿恵ハンナラ党副総裁は『金大統領の歴史認識を憂慮せざるを得ない。参戦勇士の名誉を傷つけるものだ』と批判した経緯がある。」<MSNニュース:2013年9月10日>
朴槿恵氏にとって英雄であるべき父親の判断を否定すること、および、ベトナムからの帰還軍人の強い拒否反応を受けて、金大中大統領の謝罪発言は決して許せなかったのではないでしょうか。
朴槿恵氏は、2013年に自身が大統領としてベトナムを訪問したときには、やはりというべきか、この問題には全く触れていません。ベトナム政府も敢えて話題にしませんでした。 ベトナム政府の大人の対応に感心するばかりです。
翻って、朴槿恵大統領は、日本に対して「正しい歴史認識」を要求して、日韓首脳会談を拒否し、さらには、世界各国で「告げ口外交」を展開しています。
朴槿恵大統領は、今回の「韓国人元慰安婦」の女性2名の訴えにどのような思いでいるのでしょうか。「ライダハン」問題をはじめベトナムでの韓国軍の行為に対する「正しい歴史認識」はどこに行ったのでしょうか?
“河野談話見直しを安倍政権では行わない”との安倍総理の発言を朴槿恵大統領が注目(評価?)しているようです。安倍総理が現時点での最大限の譲歩をしたわけですので、次は朴槿恵大統領が譲歩する番ですが、新聞では韓国による追加条件が言われています。たとえば、「日本政府が責任を認めることや政府予算による金銭支給などを期待していると見られる(読売新聞:3月19日)、また、「18付の韓国紙、韓国日報は、同国政府が日韓首脳会談の前提として、慰安婦問題をめぐる河野洋平官房長官談話などの継承や、同問題を扱う次官級協議の開催、安倍晋三首相による靖国神社参拝の中断の3条件を、ソウルで12日に開かれた日韓外務次官協議の際に提示していたと報じた」(3月18日:MSN産経ニュース)などです。
韓国は相変わらず“正しい歴史認識”という原則論を振りかざしてくるでしょうから、日本が譲歩しても、次から次へとハードルを高くしてくることは目に見えています。
両国関係をさらに前進させるためには、「韓国軍のベトナム人女性を始めとする残虐行為」という、欧米諸国、特にオバマ大統領がもっとも敏感になる“人道問題”と、韓国が反日の好材料として執拗に追及する“旧日本軍による韓国人女性の慰安婦問題(日本軍が慰安婦の募集・管理などに関与した証拠はないにも拘わらず)”とを、日韓両国が未来に向けての何らかの妥協点を見出す努力をするべき時期に来ていますが、この“人道問題”は、日韓両国だけでは話し合いがこじれるばかりと考えられますので、東アジア安定への共通の克服すべき課題として日米韓3国で議論すべきと思います。
<MSNトピックス:2014年3月10日(サーチナ)>
<韓国の元慰安婦らが会見:
ベトナム戦争時の韓国軍による性暴力問題・「政府が解決すべき」=韓国>
『旧日本軍の従軍慰安婦の金福童(キム・ボクトン)さん、吉元玉(キル・ウォンオク)さんらと支援団体の韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)が7日午前、ソウル市内で記者会見を行い、日本政府から賠償を受けた場合、自分たちと同じ痛みを経験する戦時性的暴力の被害女性たちに全額寄付するという意思を明らかにした。 また、韓国政府に対し、ベトナム戦争時の韓国軍の性暴力について謝罪を求めた。複数の韓国メディアが報じた。 この日の記者会見は、「3.8国際女性デー」と「ナビ(蝶)基金」の発足2周年を記念したもので、戦争と女性の人権博物館で行われた。 金福童さんは「同胞が犯したことは韓国政府が解決すべき。知らないふりはできない」とし、「力がおよぶところまで被害女性たちを助けたいと思う」と語った。 これまで挺対協は、2012年3月8日にナビ基金からアフリカの内戦中に性的暴行を受けたコンゴ民主共和国のレベッカ・マシカ・カチュバさんに3,000ドル(約30.9万円)を支援した。カチュバさんはこの支援金でコンゴに内戦被害女性支援センターを作った。 昨年からは、ベトナム戦争当時、韓国軍に性暴力を受けた被害者11人に毎月100ドル(約1.03万円)ずつを支援。性暴力被害者2世の別名「ライダイハン」2人には合計9,000ドル(約92.8万円)を提供した。 さらに挺対協は、3番目の基金からの支援対象者を選定するために、イスラエルとパレスチナの内戦に伴う性暴力被害の現状を調査していると明らかにした。 記者会見を見守った関係者は「最近、日本政府が慰安婦問題を謝罪した1993年の河野談話を再検証するとして、被害者の『傷口に塩を塗っている』」とし、「それでも自分たちと同じような傷を負った女性たちに支援の手を差し伸べ、き然とした態度の慰安婦被害者の女性たちは誇らしい」と述べたという。』
<MSNニュース:2013年9月10日>ベトナム訪問の朴大統領 過去の戦争の歴史で謝罪せず>
ベトナム訪問中の朴槿恵(パク・クネ)大統領が過去の戦争の歴史について謝罪発言などまったくせず、ベトナム側も何ら要求していないことが韓国で話題になっている。10日付の新聞論調では、韓国が日本に対してしきりに「歴史直視」を要求していることと矛盾するではないかとの皮肉も出ている(ハンギョレ新聞社説)。 韓国は1960~70年代のベトナム戦争で米軍支援のため延べ30万人以上の部隊を派兵し、部分的に“住民虐殺事件”もあったとされる。ベトナム統一後、両国は92年に国交を結んだが、ベトナムは韓国に対し謝罪や反省、補償など一切求めなかった。 しかし2001年、金大中(キム・デジュン)大統領がベトナム訪問の際、「不本意ながらベトナム国民に苦痛を与えたことを申し訳なく思う」と“謝罪”した。これに対し当時、野党だった朴槿恵ハンナラ党副総裁は「金大統領の歴史認識を憂慮せざるを得ない。参戦勇士の名誉を傷つけるものだ」と批判した経緯がある。 ベトナム派兵は父・朴正煕(チョンヒ)大統領(当時)の決断で行われたものだが、朴槿恵大統領は今回の訪問に際しベトナムの国父ホー・チ・ミンの廟(びょう)参拝、献花の時を含め戦争の歴史にはまったく触れず、もっぱら経済協力問題に終始した。中央日報は1面トップ記事で「父の時代の歴史に対する和解」とし「過去についての両国の成熟した立場と、間違った歴史認識にとらわれている日本を比較することになる」「日本への圧迫の意味もある」と奇妙な解釈を加えている。 朴槿恵大統領が謝罪をしなかった背景には、ベトナム戦争を米韓による侵略戦争とするベトナム側と「自由を守るための戦争」とする自らとの間に歴史認識の違いがあるからだ。 にもかかわらずベトナムが韓国に歴史認識の一致や謝罪、反省を求めず未来志向の協力関係を重視する“成熟”した態度は、日本ではなくむしろ韓国の対日姿勢に対する教訓であり“圧迫”になるものだろう。 一方、韓国マスコミはベトナムが60年以上も植民地支配したフランスに対して謝罪や反省、補償など一切求めていないことにはまったく触れていない」
(2014年3月19日 花熟里)