最近シャープ・インドネシアに関してちょっと気を引くニュースを目にしました。『エアコン:"Sayonara Panas"、テレビの:"Alexander IIOTO"、冷蔵庫:”kirei”・ "Samurai"といった商品群ローカル・フィット(local fit)商品が、インドネシア人の心を捉えて、大ヒットしているというのです。
去る2月12日にはシャープ・インドネシアの新家電工場の完成式が行われました。この工場では冷蔵庫や洗濯機を生産し、既存の家電工場製品も合わせて、インドネシア国内だけでなく、アセアンやアフリカ諸国への輸出拠点にする構想だそうです。
シャープは液晶の不振で経営基盤が弱体化し、台湾メーカーの資本参加も行いましたので、いずれ海外メーカーの傘下(子会社)になるのではないかと思っていましたが、戦略的に、インドネシアで106億円を投じて2012年初めに冷蔵庫や洗濯機の新たな工場の建設に着工し、このたびの完成式典にこぎつけたものです。
新工場は同社の海外工場の中でも最大規模で、敷地面積は31万平方メートル、従業員は2015年には1,200~1,500人、2014年度中にフル生産(冷蔵庫22万台/月、洗濯機14万台/月)に入ります。
シャープは、インドネシアではエアコンを除く白物家電でトップシェアを誇っています(洗濯機で30%、冷蔵庫で40%)。 2012年のインドネシアの家電普及率はテレビが87%、冷蔵庫は20%、エアコンは16%、洗濯機は17%で、今後の経済成長により、冷蔵庫と洗濯機の需要は今後も毎年15~20%の割合で伸びるとの見通しがなされています。
家電で画期的な新商品が出にくい現在、シャープ家電のインドネシアでの成功は、わが国家電メーカーの今後の戦略の選択枝を示唆しています。 ひとつは、日本国内での開発技術を利用して、高性能・多機能な家電の開発に日本国内で注力していく方法です。 シャープで進められている「生態模倣技術」もその例です。昆虫や鳥、哺乳類などが進化の過程で獲得した機能や仕組みを商品に取り入れていくもので、ネコの舌構造をサイクロン掃除機に採用する、などシャープで取り組みが進められています。これには、日本国内での技術開発力が必要で、開発後しばらくは日本国内生産が期待できますが、いずれ、他のメーカー、海外メーカーが追随する可能性が高いと思われます。
「そこが知りたい家電の新技術 『イルカ、トンボ、ネコ、アホウドリの生態が白物家電を変える!~シャープが挑む“生態模倣学”の成果を追う by 大河原 克行』<家電watch:2012年2月23日>
他の選択枝は、シャープ・インドネシアで成功した、「ローカル・フィット(laocal fit)商品」の開発です。こちらは、既存技術を応用しつつ、風土に合致し住民の要望を取り入れた商品を量産していくもので、発展途上国などでは有効で、海外諸国での生産になります。
製品改善事例(海外):「インドネシアにおけるローカルフィット商品の展開」
冷蔵庫(kireiシリーズ)
http://www.sharp.co.jp/corporate/eco/social/customers/improvement/examples/index.html
自動車、鉄鋼、重電など、日本経済の従来からの基幹分野の企業のH26年3月期の業績見込みの上方修正が相次いでいます。アベノミクス効果を受けて利益の上積みが行われるためです。 家電の中でもパナソニック・シャープは前年度の赤字決算から、黒字転換と急速に回復していますが、ソニーは今3月期決算見通しで、1100億円の巨額の赤字と苦境に陥っています。 去る2月6日に、「ソニーが:PCから完全撤退、テレビ分社化で5000人リストラ」というニュースが流されました。 今後は、「スマホ」「ゲーム」「画像センサー」を成長の3本柱に位置付けるとしていますが、韓国のサムスンで利益全体の66%を稼ぎ出すスマホが、事業の成熟化から販売不振に陥り、勢いに翳りが出てきているという指摘がなされていること、さらに、ゲーム関連では「プレイステーション4(PS4)」の販売が、3月2日時点での全世界累計が600万台(日本国内の37万台を含む)と好調なようで、今後、スマホなどネット機能との融合を進める戦略のようですが、果たして、ソニーの主軸製品になりうるのか現時点では不透明です。 TVは映画分野や放送機器ともつながっているので、分社化して事業継続するとのことですが、ソニーは、経営資源を集中して投資するような分野を探しあぐねている印象がぬぐえませんし、かつてのように世界規模で“ライフスタイルを変える”ような新製品を出せないソニーの苦悩はまだまだ続きそうです。
「シャープ、インドネシア新工場の完成式典」<日経新聞:2014/2/12>
シャープは12日、インドネシアで昨年9月に稼働した白物家電の新工場の完成式典を開いた。出席した高橋興三社長は記者会見で、部品の現地調達率の拡大などで製品競争力を高めるため「インフラ開発や原料メーカー誘致を進めてもらいたい」と地元政府に要請。新工場を軌道に乗せ、周辺諸国やアフリカへの輸出拠点としても育成する考えだ。 新工場は首都ジャカルタ郊外の西ジャワ州カラワン県に建設。2015年半ばにフル稼働させ、インドネシアでの冷蔵庫や洗濯機の生産能力が2~2.5倍に高まる。 現地工場のさらなる増設について高橋社長は「1~2年後に必要なら今回の工場が設計ミスということになる」と指摘。フル稼働後の需要動向を踏まえて増設の是非を検討する考えを示した。
(2014年3月11日 花熟里)
去る2月12日にはシャープ・インドネシアの新家電工場の完成式が行われました。この工場では冷蔵庫や洗濯機を生産し、既存の家電工場製品も合わせて、インドネシア国内だけでなく、アセアンやアフリカ諸国への輸出拠点にする構想だそうです。
シャープは液晶の不振で経営基盤が弱体化し、台湾メーカーの資本参加も行いましたので、いずれ海外メーカーの傘下(子会社)になるのではないかと思っていましたが、戦略的に、インドネシアで106億円を投じて2012年初めに冷蔵庫や洗濯機の新たな工場の建設に着工し、このたびの完成式典にこぎつけたものです。
新工場は同社の海外工場の中でも最大規模で、敷地面積は31万平方メートル、従業員は2015年には1,200~1,500人、2014年度中にフル生産(冷蔵庫22万台/月、洗濯機14万台/月)に入ります。
シャープは、インドネシアではエアコンを除く白物家電でトップシェアを誇っています(洗濯機で30%、冷蔵庫で40%)。 2012年のインドネシアの家電普及率はテレビが87%、冷蔵庫は20%、エアコンは16%、洗濯機は17%で、今後の経済成長により、冷蔵庫と洗濯機の需要は今後も毎年15~20%の割合で伸びるとの見通しがなされています。
家電で画期的な新商品が出にくい現在、シャープ家電のインドネシアでの成功は、わが国家電メーカーの今後の戦略の選択枝を示唆しています。 ひとつは、日本国内での開発技術を利用して、高性能・多機能な家電の開発に日本国内で注力していく方法です。 シャープで進められている「生態模倣技術」もその例です。昆虫や鳥、哺乳類などが進化の過程で獲得した機能や仕組みを商品に取り入れていくもので、ネコの舌構造をサイクロン掃除機に採用する、などシャープで取り組みが進められています。これには、日本国内での技術開発力が必要で、開発後しばらくは日本国内生産が期待できますが、いずれ、他のメーカー、海外メーカーが追随する可能性が高いと思われます。
「そこが知りたい家電の新技術 『イルカ、トンボ、ネコ、アホウドリの生態が白物家電を変える!~シャープが挑む“生態模倣学”の成果を追う by 大河原 克行』<家電watch:2012年2月23日>
他の選択枝は、シャープ・インドネシアで成功した、「ローカル・フィット(laocal fit)商品」の開発です。こちらは、既存技術を応用しつつ、風土に合致し住民の要望を取り入れた商品を量産していくもので、発展途上国などでは有効で、海外諸国での生産になります。
製品改善事例(海外):「インドネシアにおけるローカルフィット商品の展開」
冷蔵庫(kireiシリーズ)
http://www.sharp.co.jp/corporate/eco/social/customers/improvement/examples/index.html
自動車、鉄鋼、重電など、日本経済の従来からの基幹分野の企業のH26年3月期の業績見込みの上方修正が相次いでいます。アベノミクス効果を受けて利益の上積みが行われるためです。 家電の中でもパナソニック・シャープは前年度の赤字決算から、黒字転換と急速に回復していますが、ソニーは今3月期決算見通しで、1100億円の巨額の赤字と苦境に陥っています。 去る2月6日に、「ソニーが:PCから完全撤退、テレビ分社化で5000人リストラ」というニュースが流されました。 今後は、「スマホ」「ゲーム」「画像センサー」を成長の3本柱に位置付けるとしていますが、韓国のサムスンで利益全体の66%を稼ぎ出すスマホが、事業の成熟化から販売不振に陥り、勢いに翳りが出てきているという指摘がなされていること、さらに、ゲーム関連では「プレイステーション4(PS4)」の販売が、3月2日時点での全世界累計が600万台(日本国内の37万台を含む)と好調なようで、今後、スマホなどネット機能との融合を進める戦略のようですが、果たして、ソニーの主軸製品になりうるのか現時点では不透明です。 TVは映画分野や放送機器ともつながっているので、分社化して事業継続するとのことですが、ソニーは、経営資源を集中して投資するような分野を探しあぐねている印象がぬぐえませんし、かつてのように世界規模で“ライフスタイルを変える”ような新製品を出せないソニーの苦悩はまだまだ続きそうです。
「シャープ、インドネシア新工場の完成式典」<日経新聞:2014/2/12>
シャープは12日、インドネシアで昨年9月に稼働した白物家電の新工場の完成式典を開いた。出席した高橋興三社長は記者会見で、部品の現地調達率の拡大などで製品競争力を高めるため「インフラ開発や原料メーカー誘致を進めてもらいたい」と地元政府に要請。新工場を軌道に乗せ、周辺諸国やアフリカへの輸出拠点としても育成する考えだ。 新工場は首都ジャカルタ郊外の西ジャワ州カラワン県に建設。2015年半ばにフル稼働させ、インドネシアでの冷蔵庫や洗濯機の生産能力が2~2.5倍に高まる。 現地工場のさらなる増設について高橋社長は「1~2年後に必要なら今回の工場が設計ミスということになる」と指摘。フル稼働後の需要動向を踏まえて増設の是非を検討する考えを示した。
(2014年3月11日 花熟里)