花熟里(けじゅくり)の静かな日々

脳出血の後遺症で左半身麻痺。日々目する美しい自然、ちょっと気になること、健康管理などを書いてみます。

『そろそろ放射線への過剰な不安を払拭しよう』

2012年04月05日 16時40分11秒 | ちょっと気になること
福島県立医大の調査によると、福島第一原発事故後に福島県内の精神科に入院、再入院した患者の12.1%が被曝の恐れと関連あり、また、12.3%の患者が関連あるかもしれないと報告しています。実に、1/4近くの患者が放射線被曝の影響を訴えていることになります。さらに、外来患者では、32.4%、即ち1/3もの人が原発事故関連で不安を訴えているようです。

放射線は目に見えません。病院ではエックス線撮影の時は厳重に管理された部屋で専門の技師が行います。男性は膀胱のレントゲン撮影の時に防護のための遮蔽板を当てられます。生殖器官への放射線の影響を避けるためと思います。広島や長崎での被爆者の悲惨な写真が目に焼き付いています(もっとも、ほとんどは爆風や熱風による影響であり放射線被害は15%程度と言われていますが)。 このため漠然と放射線は怖いものと思ってきました。さらに、原発事故直後からマスコミが連日放射能汚染のニュースを“これでもかこれでもか”というくらい流していますので、国民のほとんどは、放射能に対して恐怖の意識を持って(持たされて)しまいました。

政府は、原発事故後に排出されている放射性物質の量は「直ちに健康に影響はありません」という発表をして民心の動揺を抑えようとしましたが、多くの国民は、「直ちに影響はないということは、いずれ影響が出てくると言うこと」と受け取りました。 さらに、放射性物質に汚染されたとして、農作物や畜産物、水産物の出荷制限や廃棄処分を指導しました。 これを見て、国民はやはり放射性物質の汚染は怖いものだと、改めて恐怖を抱きました。 政府の間違った対応の影響は実に大きいものがありますし、恐怖心をあおるばかりのマスコミの責任も劣らず大きいです。

放射線の健康への影響については、医学的には、年間100ミリシーベルトを超えると明らかに健康への影響が増すことが明らかになっていますが、100ミリシーベルト以下の場合の影響については、「分からない」とされています。この部分で専門家に様々な見解が分かれているようです。「100ミリシーベルト以下であればほとんど問題ない」、という立場と、「100ミリシーベルト以下であっても100ミリシーベルト以上の場合と同じ比例で健康に影響が出る」、という立場などなど。。

政府が農産物の出荷制限を指導した時に、私はこのブログで「国会議事堂、議員会館、霞が関の官庁の食堂等でこれらの野菜類を購入しようしたらよい」と書きました。 本音では、「老人ホームで率先して使用すべき。」と思っていましたが、流石に書きませんでした。 老人ホーム入居者は当たり前ですが高齢者です。日本人の寿命が長くなっているとしても、今後30年〜40年も生きる人は稀だと思います。 政府が出荷禁止している基準値にしても、多くの専門家は健康には全く問題が無いと指摘しています。(他方で、1ミリシーベルトでも放射性物質が検出されてもダメという専門家も多くいます。) 百歩譲って、たとえ、少々の放射性物質が付着していても、老人には関係ありません。 影響が出るにしても数十年後のことですから。 福島県の原発の電気を使ってきた首都圏の老人ホームで福島県産の農産物を優先購入することで、すこしでも、農家の方を助けることが出来ます。


政府は4月1日から「避難区域の再編」を実施するとともに、従来の暫定食品安全基準を見直し「新安全基準」を実施しました。 

<避難区域の再編>
昨年4月に設定された「警戒区域」(福島第一原発から20キロ圏内)と「計画的避難区域」(警戒区域の外側で年間放射線量20ミリシーベルト以上の恐れのある地域)を、「帰還困難区域」(年間放射線量50ミリシーベルト超で5年間以上帰還できない)、「居住制限区域」(年間放射線量20〜50ミリシーベルトで一時帰宅出来る)、「避難指示解除準備区域」(年間放射線量20ミリシーベルト以下で除染が進み生活基盤が整えば戻れる)の3区域に再編しました。

まず、避難区域の再編では、「計画的避難区域」に指定されていた福島県田村市と川内村の一部が新たに、「居住制限区域」(20世帯60人)、や「避難指示解除準備区域」(260世帯680人)に指定されました。
 避難指示解除準備区域と居住制限区域の2区域は、50ミリシーベルト以下なので一時帰宅を認めるものです。 年間50ミリシーベルトという基準は、放射線業務従事者が平時に許容されている線量と同じです。 住民が帰還する区域は実際にはもっと低い線量がほとんどでしょうから、住民はすぐに帰宅できると思いますが、地震で損壊した家の修復、インフラの整備、治安の維持等など、生活基盤を整えることが必要になります。 多くの住民の方が帰還出来るのはまだ先のことと思います。

放射線作業従事者については、電離放射線障害防止規則により「5年間で100ミリシーベルト以下で、かつ、1年間で50ミリシーベルト以下」という基準が設定されています。原子力発電は研究炉が55年前に臨界に達し、以降商業用の発電所が54基稼働してきましたが、現在まで作業者には健康上の問題は出ていません。
原子力発電所勤務者をはじめ、放射線業務従事者も我々と同じ国民です。 業務上、一般国民に比べて被曝放射線量が高く設定されていますが、健康に影響が出る被曝線量であれば、元々認められるハズがありません。 国の法律(電離放射線予防規則)では、健康に影響が無い範囲の上限あたりで制限されていると考えるのが自然です。
原発事故等の緊急時には上限100ミリシーベルトまで許容していますが、福島第一原発事故では特別に、この上限を250ミリシーベルトに引き上げています。

なお、電離放射線障害防止規則では、企業に対して「放射線作業従事者に放射線管理手帳を発行するとともに、年2回“.規則”に基づく特殊な健康診断を受けさせ、健診結果を30年間保管させる義務」を負わせています。 福島県の住民の方には、国の責任で今後数年間(5〜10年間)は健康管理を行っていき、住民の不安を取り除くようにしなければなりません。


<4月1日実施の改定食品安全基準>
事故直後の2011年3月に実施された暫定規制値は食品を5区分し、年5ミリシーンベルトの放射性セシウムを各区分に1ミリシーベルトを当てました。 新たな規制値は、食品を4区分し、許容線量は全体で年1ミリシーベルトに改定しました(暫定値の5ミリシーベルトから1/5に強化)。
・飲料水   10ベクレル/㎏
・牛乳    50 〃
・一般食品  100〃
・乳児用食品 50 〃

農家や漁師の方は、今回強化された安全基準をクリヤーするために新たな対応を求められます。このための新たな出費も出てきます。当然新基準をクリヤーできない農産物や水産物は出荷できず、廃棄処分しなければなりません。
案の定、食品の新基準が施行されてすぐに、千葉県と宮城県の農産物、及び福島県の水産物で新基準を超過する放射性セシウムが検出され、千葉県と宮城県は関係者に出荷自粛を要請したと報道されています。(福島県水産物は全面出荷停止している)
なんとも、勿体ないことです。生産者の心労もはかり知れません。風評被害も絶えません。従来の暫定基準値でも健康には問題ないと指摘する専門家が多いにもかかわらず、さらに厳しい基準値が課せられました。 


温泉大国日本には放射能泉といわれるラジウム温泉が全国にたくさんあります。玉川温泉(秋田県)、増富温泉(山梨県)、有馬温泉(兵庫県)、三朝温泉(鳥取県)などが特に有名です。 玉川温泉は末期ガンや現代医学から見放された方などが湯治で滞在することでよく知られています。 温泉法では放射能泉の定義を、『1キログラムに溶けているラドンが74ベクレル以上、あるいはラジウム塩が1億分の1ミリグラム以上あるもの。』としています。 温泉に行くには短期ということを割り引いても、新基準値がいかに厳しいかわかると思います。
ラジウム温泉では、温泉に入るとともに、蒸気であるラドンを吸い、ラジウム入り温泉水を飲みます。 放射能温泉の地域に住んでいる方はガンで亡くなる確率が高いのでしょうか?  ガン治療のために湯治し、良くなったことを耳にすることはあっても、ガンにかかる確率が高いとは寡聞にして聞いたことがありません。 放射能潔癖症の方は、74ベクレル/㎏のラジウムが含まれている温泉には行かないのでしょうか?


放射能については、狂信的な反原発信者がヒステリックに騒ぎ立てますので、多くの日本人は、放射性物質が少なければ少ないほどよいといった、“放射能潔癖症”に汚染されています。 そろそろ、冷静になっていただきたいと思います。 



【2012年4月5日 花熟里】
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