花熟里(けじゅくり)の静かな日々

脳出血の後遺症で左半身麻痺。日々目する美しい自然、ちょっと気になること、健康管理などを書いてみます。

【暴力団排除条例----『男はつらいよ』は放映禁止?】

2011年12月20日 17時06分42秒 | ちょっと気になること
  
暴力団排除条例が平成22年10月1日に福岡県で施行され、去る10月1日に東京都と沖縄
県でも施行され、全都道府県で出そろったのを機に、寺院や神社など宗教施設への参拝
を拒否する動きが出ています。

・比叡山延暦寺:
 山口組に対して今後は参拝を受けられない旨を通知し山口組も了承したと発表したと
 報じられている。

・全日本仏教会:
 全仏の事務局は「集団参拝禁止は暴力団の活動に対する措置であり、信教の自由を守
 ることとは一線を画す」と話す。一方で、「個人のひそかな参拝は把握できず規制は
 難しい。檀家が組員であった際の葬儀などは、死者への礼として行うべきだ」とも話
 している。

・神社本庁:
 文書では参拝拒否は明記されていなかったが、「暴力団の活動を助長する行為」と
 判断。暴力団名での参拝申し入れを拒否する方針を確認した。


新聞によれば、宅急便や印刷などの業界では暴力団との取引を拒否する動きも出てき
ています。各企業では過去に総会屋などとの付き合いが問題になってきたことの反省
からも、コンプライアンス遵守の中で「反社会的勢力との付き合い拒否」を掲げてい
ます。

暴力団自身でも、依頼先の業者などが暴力団に利益を供与する「密接交際者」と判断
される可能性を避けるために、マニュアルを作るなど条例への対応を図っていると報
じられています。


(毎日新聞:12月2日)
・山口組:破門状などの書類を印刷するのではなくファクスで送るように改めた。
・住吉会:埼玉県内の組施設で定期的に開いている幹部の会合で昼食の注文を中止した。
・稲川会:葬儀などの行事の場所を民間の会場から神奈川県内の組施設に切り替えた。
     印刷業者への組名入りの名刺の発注も取りやめる。
・松葉会:定例会などでも組員が自分たちで食事や酒を用意する。
  


・ 各種業界における暴力団排除の進展(警察庁ホームページ)

【金融機関の取引における暴力団排除】
 全国銀行協会は、従来の融資取引、普通預金取引、当座勘定取引及び貸金庫取引に
 加え、当座勘定取引及び融資取引について、暴力団員との密接交際者や暴力団員で
 なくなった時から5年を経過しない者をも排除することを明確化した暴力団排除条
 項の参考例を会員銀行及び各地銀行協会に通知し、その導入を要請した。


【建設業界における暴力団排除】
 民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款委員会は、民間連合協定工事請負契約約
 款に暴力団排除条項を盛り込み、市販を開始した。


【不動産業界における暴力団排除】
 不動産流通4団体((社)全国宅地建物取引業協会連合会、(社)全日本不動産協
 会、(社)不動産流通経営協会及び(社)日本住宅建設産業協会))は、不動産売
 買等契約書に係る暴力団排除モデル条項を新たに策定し、5月末までに各会員にそ
 の導入を要請した。


【中小企業等における暴力団排除】
 中小企業4団体(日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会及
 び全国商店街振興組合連合会)は、各都道府県の下部組織に対し、「企業が反社会
 的勢力による被害を防止するための指針」(19年6月、犯罪対策閣僚会議幹事会申
 合せ)の普及促進等企業活動からの暴力団排除の取組を行うよう通知した。


【プロスポーツ界における暴力団排除】
 日本野球機構(NPB)は、15年から暴力団排除の諸対策に取り組んできたが、新
 たにプロ野球選手と反社会的勢力との関係遮断に取り組むこととし、暴力団等排除宣
 言を行った。


【祭礼・露天からの暴力団排除】
 祭礼や露店出店等に暴力団が直接又は間接に関与し、暴力団の資金源となっている
 上、住民にも不安を与えている実態が見受けられることから、これらの場から暴力
 団を排除するべく、各種取組を推進している。



新潮社文庫『猛牛と呼ばれた男(「東声会」町田久之の戦後史)城内康伸著』によれ
ば、戦後の日本では、ヤクザ(暴力団)は政界と地下の部分で繋がっており、不動産
などのビジネスや夜の世界を通じて表と裏の顔を使い分けることにより産業界にも食
い込み、勿論、芸能界や興行会とは切っても切れない関係にあったことがよくわかり
ます。(戦後の日韓の著明な政治家や実業家、芸能人、スポーツ人及びヤクザの名前
が実名で多数登場します)

文庫本の帯には次のように書いてあります。

「ヤクザでありながら、児玉誉士夫の側近として政財界に食い込み、力道山と深い契
 りを結んだ男」


★この文庫本によれば、力道山と町田久之は“とてつもない酒豪”であったと書いて
 ありますが(P106),産経新聞:2011年11月29日の「話の肖像画」で、力道山の妻で
 あった田中敬子氏はインタビューの中で『過度の飲酒や薬漬けで体がボロボロにな
 っていたというのもウソです。ホントはお酒が弱い方だったし、薬も結婚してから
 飲んでいたのは栄養剤だけです。ただ、長年のレスラー生活で体を酷使したため、
 内臓が弱っていたことは知らされました。』と語っています。戦後の“我らが
 ヒーロー・力道山”は本当に 酒が弱かったのか真相は??★

  

ヤクザは寺社の縁日などで露店を出す「テキヤ(的屋)、ヤシ(香具師)」などの系
統、「バクト(博徒)、チンピラ」などの系統などを総称しているようです。神社等
の縁日で露店を開いている人は、ごく普通の人のようですが、縄張りをもっているの
は「テキヤ」系暴力団なのでしょうか。 



『男はつらいよ』のフーテンの寅さんは映画で作られた架空の人物ですが、テキヤに
繋がる人だったということでしょうか。 もし渥美清さんが存命で今もこの映画が続
いていたとすれば、また、TV等での映画の再放送は、暴力団関係の映画ということで、
“上映禁止”になるのでしょうか? 渥美清さんも、天国で、“どうなるのだろう”
とヤキモキしているのかも知れません。



組織として一般市民を脅かしている暴力団は許せませんが、一市民としての暴力団員
には果たしてどう接するべきなのでしょうか。 一部では、暴力団を非合法化すべき

との意見もあるようで、日本人社会では“異質なものを排除すると言う悪い習性”が
ありますので、暴力団排除条例に便乗した取り扱いがなされないか気になるところで
す。     

警察庁は“暴力団員個人の信教の自由は保障する”としていますが、比叡山延暦寺は
「親族を含む一切の関係者の参拝を認めない」としています。例えば、組の幹部が

“家族で”寺社に参拝する場合でも、どうしても、警護役の複数の若い組員が付添う
のではないでしょうか。 この場合は、どうするのでしょうか?

日本人の精神構造では死ねばすべての人は仏として扱って来ました。もう、このよう
な死生観は時代にそぐわないということなのでしょうか。

暴力団員といえども、特に妻帯者は地域でごく普通の日常生活を送っていると思いま
す。子供は普通に学校に通っており、商店などで毎日の買い物もするし、病気になれ
ば一般の人々同様に普通に病院にかかっていると思います。 家族で墓参りすること
もあるでしょうし、七五三などで神社にお参りすることもあると思います。 暴力団
員関係者(含む家族)というだけで、魔女狩り的に社会から排除することのないよう
に国民的な議論が求められます。
     
     


 【宗教界で加速する暴力団排除 暴排条例で機運高まる】

(産経新聞:2011.11.24)

『宗教界で、暴力団排除の動きが進んでいる。暴力団排除条例が10月に全都道府県で
出そろったことが機運を高める背景となった。反社会的勢力であるとはいえ、憲法の

「信教の自由」の存在もある。排除と信心の線引きをどうするか。宗教界は難しい対応
を迫られている。 最近、明らかになったのは、大津市の天台宗総本山・比叡山延暦寺

の対応だ。
「今後は組関係者の参拝を受けられない」。延暦寺は6月、指定暴力団山口組に通知し
ていた。 同寺には、山口組の初代から4代目の組長の位牌(いはい)がある。平成

18年には全国の直系組長ら幹部約90人が集まり、法要が営まれた。 18年当時の
延暦寺は「『慰霊したい』という宗教上の心情は拒否できない」という姿勢。一方、

警察当局は「香典名目で数千万円が上納され、組織の資金源になった」とみていた。 
社会の批判を浴びた延暦寺は、位牌を非公開の場所に安置し、親族以外の参拝を禁じる
措置を取った。

だが最近まで、組関係者とみられる人物らの年1回の参拝は続いていた。 今回ようやく、暴力団排除の機運の高まりを受け、親族を含む一切の関係者の参拝を認めないこと
を通知した。山口組からは7月上旬に「了解した」と文書で回答があったという。


国内の主要伝統仏教教団でつくる全日本仏教会(全仏)は、昭和51年に集団参拝など
の暴力団排除の決議を採択しているが、改めて12月1日、警察庁の担当者を呼んで

暴力団情勢や排除について説明を受けるなど暴排の姿勢を確認する。 全仏の事務局は「集団参拝禁止は暴力団の活動に対する措置であり、信教の自由を守ることとは一線を
画す」と話す。一方で、「個人のひそかな参拝は把握できず規制は難しい。檀家が組員
であった際の葬儀などは、死者への礼として行うべきだ」とも。


神社本庁は9日付で全国の神社庁に暴力団の集団参拝についての文書を送付した。文書
は「神社活動が、暴力団の活動を助長するかどうかを判断するのは容易ではない」と

前置きした上で、「特に慎重に取り扱うよう留意することが必要」と注意を促した。 
これを受け、山口組のおひざ元の兵庫県神社庁は17日の役員会で対応を検討。神社本

庁の文書では参拝拒否は明記されていなかったが、「暴力団の活動を助長する行為」と
判断。暴力団名での参拝申し入れを拒否する方針を確認した。 山口組幹部による初詣

が恒例行事となっていた神戸護国神社に対しても、参拝申し入れがあれば自粛を求める
ように指導する予定だったが、この矢先に山口組関係者から初詣の自粛が同神社に伝え
られたという。 

同神社の久保田梅継(うめつぐ)宮司(64)は「県神社庁の方針を受けて近く対応す
る予定だったが、先に自粛の申し出があった」と話している。ただ、個人的な参拝は拒
否しない方針だ。  何年も前から暴排に取り組んできた所もある。東京・浅草神社の

三社祭では、入れ墨姿の暴力団組員らが神輿(みこし)に乗るなどの示威行為が目に余
る状態となり、平成20年の本社神輿の宮出し、宮入りを中止にした例がある。


暴力団排除の先頭に立つ警察庁は、憲法で保障されている「信教の自由」を尊重する
観点から、「個人としての参拝」と「集団での参拝」とで対応を明確に区別している。 

警察庁は、個人としての参拝について、「信教の自由は憲法にのっとって保障されなけ
ればならない。家族が法要を営んだり、個人で参拝したりといった行為について警察が

問題視することはない」と強調する。 一方で、暴力団が勢力誇示や資金獲得活動のた
めに神社仏閣を利用する集団参拝については「問題あり」という考えだ。これまでも
全国の警察本部が神社仏閣に対し、集団参拝を拒否するよう要請してきている。 
実際、暴力団の中には本葬を身内で済ませた後に、神社仏閣を利用して大々的に葬儀を

執り行うケースもあり、警察当局では香典名目の資金獲得活動とみている。警察庁では「信教の自由にも配慮しながら、警戒などの必要な支援を行っていきたい」と宗教界の
動きを支えたい考えだ。 』



【暴力団排除条例>規制逃れに躍起 マニュアル作りも】(毎日新聞 12月2日)

『10月に東京都と沖縄県で暴力団排除条例が施行され、全国で暴排条例が出そろった
のを受け、主要な指定暴力団が規制逃れに躍起になっている。会議での弁当の出前を

中止したり、破門状を送る際に印刷や配達業者を使わずにファクスに切り替えた組があ
るほか、取り締まりを免れるためのマニュアルも作られているといい、警察当局が警戒
を強めている。

捜査関係者によると、破門状などの書類をファクスで送るように改めたのは、国内最大
の指定暴力団山口組(本部・神戸市)。依頼先の印刷業者などが暴力団に利益を供与す

る「密接交際者」と判断される可能性を考慮したとみられる。中元・歳暮を取りやめる
話しも出ているという。

住吉会(東京都港区)は、埼玉県内の組施設で定期的に開いている幹部の会合で、昼食
の注文を中止した。稲川会(同)は葬儀などの行事の場所を民間の会場ではなく、神奈

川県内の組施設に切り替えた。仕出しや宴会場の提供業者が密接交際者とされることを
避けようとしたとみられる。稲川会は印刷業者への組名入りの名刺の発注も取りやめる
という。

松葉会(東京都台東区)の定例会などでも、組員が自分たちで食事や酒を用意。飲食中
は若手組員の妻や交際相手、行きつけの店のホステスを動員して相手をさせているとい
う。

密接交際者は、暴力団の活動を助長したり暴力団の威力を利用する目的で組員らに利益
供与する事業者など。都条例などでは、そうした違法行為が発覚すれば公安委員会から

やめるよう勧告され、是正されなければ事業者名を公表される。利益供与を受けた暴力
団員側も、勧告や公表の対象となる。

一方、条例への対抗策を練る動きも。山口組は毎週、神戸市の総本部に「直参」と呼ば
れる2次団体の組長らが集まり、条例の解釈や警察の取り締まりの動きについて勉強会

を開催。住吉会も条例対策のマニュアルを作り、組員らに配っているという。
捜査関係者は「付き合いのある業者が条例に抵触しないように工夫するなど、暴力団側
の警戒感が表れている。今後も悪質な業者の指導や摘発を進め、暴力団の資金源を遮断
したい」と話している。』


(2011年12月20日  花熟里)

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