雪はほとんど消えた。
冷たい風が吹く日の散歩道は、
こんな感じ。
雪雲はちぎれて 飛んでゆく。
山の向こうは、雪がふっているのだろう。
『風と友達』の中の「お弓祭り」のところで、
裃(かみしも)が出てきて、思い出したこと。
私の祖母のお葬式で、当家の主だった男達は、
黒いスーツの上に、裃を着けていた!
私が(田んぼの続く道の向こうの)高校を卒業して
大学に入学するため、
もうあと 4、5日で 実家を出る、という日。
母方の従兄弟が美人の奥さんと
お座りができるようになった愛娘とを連れて
車で遊びに来た。
東北道はまだ完全には 繋がっていなかった。
結婚前は 度々遊びに来てくれていた従兄弟も
暫らく来ていなかったし、
なんといっても小さい子が珍しかった。
おまけにとっても愛嬌のある子で、
笑った、声を出した、くしゃみをした、
と、その度に笑い声が起こって、
楽しい時をすごしていた。
そこへ一本の電話。
母の母が亡くなったから、
すぐに帰ってくるようにと。
何がなんだかわからず、
母はパニック。
父はその時 出かけていて 連絡が取れない。
帰省していた大学生の姉も どうしていいいかわからず、
泣きそうになっている。
偉そうに、末っ子の私が
従兄弟と一緒に帰りなさい、と言って、
一緒の車に 載せてやった。
祖母は交通事故だった。
末の従兄弟が運転する軽トラックで。
交差点で。
軽トラックはメチャメチャ、
従兄弟は足を折り、
祖母はほぼ即死。
葬儀の前日、
私と姉と父も 母の実家に行った。
あまり色々な事は覚えていないが、
棺の前に置かれた湯のみの水を
たびたび取り替えた。
その湯のみの底には、
古銭が入っていた。
三途の川の 渡し賃だろうか。
そして葬儀当日。
当家の男は裃を着けるのだという。
母の兄弟は多いけれど 男兄弟は二人しかいない。
どこから持ってきたのか、
裃は 3着あった。
当然のように 長男である従兄弟に おじ・おばが
着るように言う。
従兄弟は「俺はいい」「俺は着ない」といっていたが、
いざ 式が始まる、という時には
きりりと裃を着けていた。
ただし、黒の礼服の上に。
うすっぺらで 向こうが透けて見えそうな生地。
色は薄いブルーグレー。
肩の所は 時代劇で見るように、
ぴいんと張っている。
鯨の骨でも入っているのか?
家紋もちゃあんと入っている。
葵のご紋の パクリのような紋。
おじ二人も同じ格好だ。
猫背の大柄な伯父が 背筋を伸ばして見える
小柄な叔父が 大きく立派に見える。
日本人には、まことに合った式服と言えそう。
ただ、それを聞いた私は
冗談かと思ったし、
見て びっくり、
へー と 感心。
会津のお味噌のコマーシャルに、
「会津の人は 頑固だからなッシ。」
というセリフがあったが、
なるほど、頑固に 古い風習を守ってるんだ、
とも感心していた。
祖母は そういう風習を守り、
嫁である伯母に伝え終ってからの
旅立ちだった。
ところで、この裃(かみしも)と言う字は、
峠(とうげ)と同じ、国字かしら、と思って
調べて見た。
アタリ。
手元にあった漢語林に、[国字]と付いている。
かみしも:昔の礼服。
肩衣(かたぎぬ)と袴(はかま)と
同じ色に染めた式服。
上下そろいの、スーツね。
冷たい風が吹く日の散歩道は、
こんな感じ。
雪雲はちぎれて 飛んでゆく。
山の向こうは、雪がふっているのだろう。
『風と友達』の中の「お弓祭り」のところで、
裃(かみしも)が出てきて、思い出したこと。
私の祖母のお葬式で、当家の主だった男達は、
黒いスーツの上に、裃を着けていた!
私が(田んぼの続く道の向こうの)高校を卒業して
大学に入学するため、
もうあと 4、5日で 実家を出る、という日。
母方の従兄弟が美人の奥さんと
お座りができるようになった愛娘とを連れて
車で遊びに来た。
東北道はまだ完全には 繋がっていなかった。
結婚前は 度々遊びに来てくれていた従兄弟も
暫らく来ていなかったし、
なんといっても小さい子が珍しかった。
おまけにとっても愛嬌のある子で、
笑った、声を出した、くしゃみをした、
と、その度に笑い声が起こって、
楽しい時をすごしていた。
そこへ一本の電話。
母の母が亡くなったから、
すぐに帰ってくるようにと。
何がなんだかわからず、
母はパニック。
父はその時 出かけていて 連絡が取れない。
帰省していた大学生の姉も どうしていいいかわからず、
泣きそうになっている。
偉そうに、末っ子の私が
従兄弟と一緒に帰りなさい、と言って、
一緒の車に 載せてやった。
祖母は交通事故だった。
末の従兄弟が運転する軽トラックで。
交差点で。
軽トラックはメチャメチャ、
従兄弟は足を折り、
祖母はほぼ即死。
葬儀の前日、
私と姉と父も 母の実家に行った。
あまり色々な事は覚えていないが、
棺の前に置かれた湯のみの水を
たびたび取り替えた。
その湯のみの底には、
古銭が入っていた。
三途の川の 渡し賃だろうか。
そして葬儀当日。
当家の男は裃を着けるのだという。
母の兄弟は多いけれど 男兄弟は二人しかいない。
どこから持ってきたのか、
裃は 3着あった。
当然のように 長男である従兄弟に おじ・おばが
着るように言う。
従兄弟は「俺はいい」「俺は着ない」といっていたが、
いざ 式が始まる、という時には
きりりと裃を着けていた。
ただし、黒の礼服の上に。
うすっぺらで 向こうが透けて見えそうな生地。
色は薄いブルーグレー。
肩の所は 時代劇で見るように、
ぴいんと張っている。
鯨の骨でも入っているのか?
家紋もちゃあんと入っている。
葵のご紋の パクリのような紋。
おじ二人も同じ格好だ。
猫背の大柄な伯父が 背筋を伸ばして見える
小柄な叔父が 大きく立派に見える。
日本人には、まことに合った式服と言えそう。
ただ、それを聞いた私は
冗談かと思ったし、
見て びっくり、
へー と 感心。
会津のお味噌のコマーシャルに、
「会津の人は 頑固だからなッシ。」
というセリフがあったが、
なるほど、頑固に 古い風習を守ってるんだ、
とも感心していた。
祖母は そういう風習を守り、
嫁である伯母に伝え終ってからの
旅立ちだった。
ところで、この裃(かみしも)と言う字は、
峠(とうげ)と同じ、国字かしら、と思って
調べて見た。
アタリ。
手元にあった漢語林に、[国字]と付いている。
かみしも:昔の礼服。
肩衣(かたぎぬ)と袴(はかま)と
同じ色に染めた式服。
上下そろいの、スーツね。