ジョルジュの窓

乳がんのこと、食べること、生きること、死ぬこと、
大切なこと、くだらないこと、
いろんなことについて、考えたい。

こづゆ

2005-01-02 | なんとなく民俗学?
正月に 母が作ってくれた、こづゆ。
私も姉も 大好きだった。
棒タラで 出汁をとる。
この棒タラが、茨城には なかった。




会津へ向かう人がたまたまいたので、
「棒タラ」を買ってきてくれるよう 
頼んだら、 数本で 何万円もして、驚いたのが、
ウン十年前。
けれど、初めて食べた その出汁が とても気に入ったし、
他のものでは この味がでない。

東京時代に 冬のデパートで 探し回った事がある。
能登の物産展で
「ありゃあ、正月のもんだから、もう少ししねえと、
 出まわらねえよ。」
と言われて 納得したが、それきりに。

会津出身の課長に変わった年、
課長に聞いて、アメ横へ行った。
5本まとめて 吊るしてあって、5百円。
これまた 安さに ぶっとんだ。



大根、人参、里芋、牛蒡、木耳、白滝、麩。
これらを ちいさく刻んで、醤油で味付け。
へぎ柚子に 刻み三つ葉、姫なるとを添える。
これが、我が家流。
亭主も子供達も 気に入ってくれているし、
根菜や キノコや コンニャクが とれるので、
ヘルシーな気がする。

いつかテレビ番組で 言っていたのは、
こづゆは 正月や祝言など、おめでたい時に 食べる。
小さな塗りの椀で、何度も何度も お代わりをして 食べる。
そういえば 父母が こづゆ用の 小さな塗りの椀を 
買ってきたとき、
父母は 子どものように はしゃいでいたっけ。
「やっぱし、こづゆは、これで 食わねえと。」



母は こづゆのほかに 
小松菜などで 雑煮用の汁も作ってくれたが、
めんどくさがりの 私としては、
雑煮は 焼いた切り餅を こづゆに 入れる事になる。

こづゆに餅を入れるなんて、と
会津の人が 聞いたら、怒り出すかも知れない。
実家の母も 盆や正月に 会津の実家に帰ることなく
毎年過ごしているから、
私達姉妹も 本場の味も伝統も 知らない。



伝統は 創り出すもの、これでいい、
と 亭主は言う。
この亭主、異常なお餅好き。
お餅が食べられれば、なんでもいいらしい。

正月三が日は、三食お餅。
これは 亭主の実家の 伝統。
亭主の実家も 農村部では珍しい核家族で、
家族で伝統を 創ってきたのだろう。

三が日お餅、というのは、
昔は義母を カマドのそばから 開放する
重要な手段であったに違いない。
息子が餅好きで、いっそう固まった習慣に
なっていったのだろう。



三が日は 三食お餅、
雑煮は こづゆに焼き餅。
これが 我が家の 伝統。
振り返れば、それなりに 長く続いている。