ジョルジュの窓

乳がんのこと、食べること、生きること、死ぬこと、
大切なこと、くだらないこと、
いろんなことについて、考えたい。

年寄りたちの畑

2005-04-22 | 明るい農村
息子に「クマ年生まれ」というネタがあるように、
娘には「パパとママが年を取った時の畑」というネタがある。



写真はいつも散歩する土手の下、河原の側の畑地。

黄色い帯は 多分 菜の花、
緑の部分では 多分 牧草を育てている。



一級河川の河川敷の管理は、国土交通省。

自治体が一括して借り上げて、希望した者に貸してくれる。

借りていた人が体が利かなくなると、「もう要りません」、と返す。

こうして 所々 虫食いのように
荒地に戻る畑が出てくるようになって 久しい。

以前なら たいてい 隣の土地の耕作者が引き継いでくれたものなのだが。

我が家のすぐそばの河川敷では 
もう耕作者がいなくなってしまった。



一度耕作をやめてしまった田んぼは、
元の収穫量に戻すまでには 何年もかかるという。

畑だって、こんな荒地になってしまったら、
きっとすぐには 元通りに野菜を収穫できないだろうと思う。

けれど 荒地は 最初は少しだったが、
だんだんに 増えてきている。

日本タンポポが 日本中のあちこちで
西洋タンポポに取って代わられて、
もう元には戻らないように、
これから 荒地が減る事はないのではないだろうか。

そんな気がしてならない。



娘の話というのは、彼女が小学生になった頃かと思う。

私は大きくなったら ‘オトナ’になる、
パパとママは もっと大きくなったら、
お爺ちゃんとお婆ちゃんになる、と
やっとと理解できた頃の話。

「パパとママが お爺ちゃんとお婆ちゃんになっても、
 ウチには畑がないよ。
 どうする?」
と、心配そうに聞いてきた娘。

不安のあまり、泣き出しそうだった。



何の事だろうかと、いろいろ聞いてみると、
知ってるお友達のお爺ちゃんやお婆ちゃんは
みんな畑で仕事をしている。

なのに、ウチには畑がない。

パパとママが年を取っても、
畑がないと パパとママが困るだろう。

そんな可愛い心配をしてくれていたのだ。

今でもからかうと、娘は
「私、あの時、ほんっきで心配してたんだから!」
と怒る。



大いに笑わせてもらったが、
確かに娘の言うとおり、
近所の 娘が知ってる子供たち
(年上、年下、すべての知ってる子供たち)には
お爺ちゃんか お婆ちゃんか または その両方がいて、
本当に全員 畑で仕事をしていた。

土地を(あまり)もってない人は、
河川敷の畑を借りたり、
よそのウチの畑を借りたり、
あるいは 集荷場で仕事をしたり、
とにかくお野菜にかかわった仕事をしていて、

ウチみたいな 純粋な消費者としてしか
野菜とかかわらない家は、ほとんどないのだ。



それが ここ10年ほどで、
畑で働く人口が ぐっと少なくなった。

ジャガイモを作ると美味しいという、
河川敷の畑が
荒地に戻ってきている。

年寄り達が みな もっと年を取って
鬼籍に入ったり、
施設に入ったり、
元気ではあっても 体が利かなくなってきたのだ。

広報誌に「耕作者募集」と載せても、
街中からは離れているせいか、
家庭菜園を作ってくれるという人は 
現れてはいないようだ。



こうして畑地が減って 荒地が増えれば、
少しずつだが 生産量は減っていく。

ぼんやりと暮らしている私も、
未来の農業を心配せずにはいられない。

農業のみならず、食料自給率が上がらない、日本の未来も。

5 コメント

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そう言えば (mino)
2005-04-22 23:43:20
昔農家の間では「さんちゃん農業」と言われて、「じいちゃん、ばあちゃん、かあちゃん」が働き手でした。

今は一定規模の農地が無いと米作りも出来ないので、今後離農する人が増えると思います。

ジョルジュさんの心配している食料不足、あながち取り越し苦労とは言えません。

異常気象が続いたら、日本だってやばいかも。

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日本らしい景色 (maria)
2005-04-23 03:13:47
こんにちは。

すっかりご無沙汰してしまって、失礼しました。

ジョルジュさんはかに座なんですね、だから太陽のようにあったかいんだー。私の母も姉もかに座、二人ともとっても優しい気持ちの持ち主です。かに座は母性愛に長けているんでしたよね?



畑の写真、日本らしい景色でうっとり見とれました。心が休まる・・・。

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Unknown (ジョルジュ)
2005-04-23 07:18:31
mino さん、

3ちゃん農業、しっかり見聞きして育ちました。

専業農家が少なかったので。

機械化の恩恵でもありますが、

借金は凄かったはずです。

インフレがどんどん進んでいった時代ですから、

平気だったのでしょうか。

機械化されると、ますます規模は大きい方が有利になりますね。



maria さん、

日本の景色、この季節はどこもかしこも‘春’で、きれいです。

農村に住んでいると、今、農家の庭先は花だらけ。

仏壇に供える花は 伝統的なガーデニングで育てて、庭先から採ってきます。 

確かにかに座は母性本能が強いと言われていますが、子供をスポイルしないように気をつけて、と書かれた血液型の本を読んで、肝に銘じています。

救急隊員なんかになってしまった娘や妹、

きっと心配し始めたらキリがないでしょうね。

The Way to EMT、いつも見てますよ。

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明るい農業 ()
2005-04-23 07:30:46
なるほどね。河川敷ってそうやって貸し農園にしているんですね。こちらはそんな制度になっていないような気がするけど。。。息子さんも、娘さんも可愛いですね。



国の政策では、作らないで輸入が、前提のようにも思えるのですが、人当て(よその国)で不安はないのでしょうかね。
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食料自給率が (ジョルジュ)
2005-04-23 19:34:29
あまりに低くて、不安になったところ、ですね。

何かの具合で 輸入がストップしたら、国民が餓死する・・・・・・。

冗談では済まなくなりました。

安くておいしくて安全な食料を 孫の代にも、

と思います。
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