ジョルジュの窓

乳がんのこと、食べること、生きること、死ぬこと、
大切なこと、くだらないこと、
いろんなことについて、考えたい。

『墨攻』

2007-02-14 | マンガ
このマンガの最後の場面は、現代の東京、兵馬俑展。

武人の俑は この国を見て 何を思うのだろうか?



主人公の名は 革離。

墨家のひとり。

このマンガによると、稲作は 
革離らと共に 中国から日本に伝わったことになる。

それから、秦の始皇帝は
彼らが助けた そっくりの別人だった、ということになる。

ロマンだぁ~。





さて、墨家とは。

荒れ狂う戦国の世に生まれた、
反戦を是とする一派。

平等に人を愛する兼愛と
非戦論を説く 
墨子(墨翟 、B.C.480~390)の唱える反戦の志を継ぎ、

墨家たちは 
戦争は殺人行為であり、
人として最大の不義であると説く。

彼らの教団の活躍は
城や邑の防衛に限られていた。

戦術もすべて「守ること」のみであったという。

ほとんど無報酬で 他人に奉仕する集団だったと伝えられている。



というのは 嘘か本当か 
調べてないのでわからないが(スミマセン→参考までに
映画の原作となったのは 森秀樹氏のマンガ。

(全11巻、ビッグコミックス、小学館、1992.11.1~1996.11.1)
(今は文庫が出ているらしい。)



このマンガの原作者というのが、酒見(さけみ)賢一氏。

第1回日本ファンタジーノベル大賞を『後宮小説』で受賞した人(→酒見賢一)。

これは『雲のように風のように』と題したアニメになっているとか。



高橋源一郎氏が
あるファンタジー小説の新人賞の選考をしていたら、

幽霊も精霊も怪物も超自然現象も出てこない、
ただの歴史小説が混じっていた。

「いいじゃないか。」と思って 推したら
他の選考委員も 同じ作品を推した。

みんな同じ意見だった、と書いていた。

つまり、

「どのジャンルに属していようと、いいじゃないか。

 少なくとも、その作品が、<新しい>ものであり、

 また、小説であることは確かなのだから。」

(『青春と読書』2007年2月号、p24、集英社)

と みんなが思ったのだった。

それが、
後に『墨攻』や『陋巷に在り』を書く酒見賢一氏の
デビューなのだった。



また、4巻までは 
久保田千太郎氏が シナリオ協力として 名前を連ねている。

久保田万太郎のパクリのペンネーム?

実在の人物か?

といぶかしく思ったが
『鬼平犯科帳』のコミックスの脚色もやっている人のようだ。



これが映画になったようなので 
久々に引っ張り出して読んだ、というわけ。



韓・魏・趙・燕・齋・楚・秦、
昔 世界史の時間に習って覚えた(覚えさせられた)七国が争う時代、

趙軍が 燕の小さな梁城を落とすべく 進軍しているところから
マンガは始まる。

墨家の三代目・田襄氏(でんじょうし)から派遣された革離は
単身 梁城に乗り込み、全権を握って 梁城を支配し、
超軍から城を守る。



その時、
革離は 梁城内の人間は 老若・男女・貴賎を問わず、
病人と乳飲み子以外は 戦力として使う。

まず 男女別に
5人ずつの組を作る。

その組を伍と言い、その長を伍長という。

(あら、伍長? 聞いたことある。)

伍がふたつで什といい、什長が責任を持つ。

什が十組、百人集まって伯、伯長が統率。

これには 王族・側女も例外なく 入ること。

そうやって 一般市民をも巻き込んで
邑人全員で 城を守る。

墨家の革離の技と知略はずばぬけており、
奮迅の活躍で 敵をなぎ倒していく。



面白かったのは、
梁城との一戦の前に 
超軍の名将・巷淹中(こうえんちゅう)と革離が
戦闘を始める前に
城壁を前にしてふたりだけで
土の上に腰を下ろして 模擬戦争を闘う。

これは 模型の梁城に
兵士のかわりに白・黒の石を置いていき、
想像上の戦闘を繰り広げる。

「その手でこられたか・・・・・・。

 二十人は死にましたな!」

「なにをおっしゃる!

 こちらはすでに三十人死んでおります!」

戦火を潜り抜けてきた歴戦の士ならば、
目に見えるように石で戦えるのだろう?

かつては この模擬戦争に負けて 
城を攻めずに 無用の血を流すことなく帰還した軍もあったが
巷淹中と革離は 戦いを始める。。。



蔡丘とか 司路とか 薛併などの
聞いた事のある人物がでてくるけど、
別の人だよね?

それから 金魚のランチュウの名前は
6巻から登場する蘭鋳からとられたということにされいるけど、

ランチュウは ワキンから江戸時代に日本で作られた品種、
ということになっている。
けど、まあ、いいか(笑)。



革離の幼なじみの司路は、
戦争の原因の大半は 食糧問題が原因なのだと言う。

これは、真実だと思う。

でも 他にも理由やキッカケはあると思う。

平和とか 戦争とか 紛争とか
兼愛(博愛)とか 差別とか 集団心理とか

読んでて いろんなことを考えた。



ところで、映画版『墨攻』。

ケビン・コスナーより クリント・イーストウッドより 
ジュリアーノ・ジェンマ、という私にとっても

主演のアンディ・ラウは、カッコいい(→映画『墨攻』)。

マンガの革離とは 似ても似つかない!と、思うんだけど。

どうでしょう?





ちなみに、
革離は 『三つ目が通る』の写楽クンの先祖じゃなくて、
額の第三の目は 第2巻の34ページでの負傷によるもの。



こんな汚い?記事を
わざわざ バレンタイン・デーに
投稿する人もいないだろなあ。。(苦笑)。



お口直しに、花の画像を。



私の 今年のガーデニングの テーマ・カラーは白。

真っ白じゃないけど、昨秋 テーマに沿って選んだプリムラ。


7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
へぇ~ (虫主婦)
2007-02-14 21:53:11
>これは『雲のように風のように』と題したアニメになっているとか

ワタシ、このアニメ見ました。
なかなか面白く、今までにない内容でした。
なるほど、「墨攻」の原作の方なんですか。
知らなかった~
返信する
ご覧になったんですか~ (ジョルジュ)
2007-02-14 23:53:28
私は『墨攻』から知って、
見たいと思いました~。
アニメもいろいろありますよね。
中国史の勉強になるでしょうか?(笑)
やっぱり 完全なファンタジーではなかったのかしら?
返信する
アンディ・ラウ (arfa)
2007-02-15 00:34:07
・・いいよね。
最近では インファイナル・アフェアー三部作よかったよ。女優では「花様年華」をみてから マギーチャンのファンです。・・・香港映画はすごい。逆に 韓国の映画・ドラマは人気ありますが 私には首をかしげるものばかりで・・・(笑)もちろん いいものもありますけど。

「墨攻」観てみたいですね。辞書では 守り抜く攻めの意味があるんですってね。
それにしても 想像以上に漫画いっぱい読んでますね。(笑)
返信する
たしか (虫主婦)
2007-02-15 08:16:59
全く架空の中国のお話だったので、歴史の勉強にはなりません。
ファンタジーではないし、ラブストーリーもあるし。
返信する
とてつもなく寒い春の日になりました~ (ジョルジュ)
2007-02-15 19:51:24
arfaさん、
アンディ・ラウ、お好きですか?
男っぽい風貌がいいですねえ。
でも 他の作品はしりません。
香港映画も ほとんど見てないので あれは全部ジャッキー・チェンかと思ってますし(笑い)。
韓流を毛嫌いしていた人が チャングムは大好きだったりして、
まあ、人それぞれですね。
私はハリウッド映画に圧倒されたい人です(笑)。
マンガの記事、見てみたら まだ9つだけですね。
もっと書かねば?

虫主婦さん、
そうなんですか!ありがとうございます、
やっぱり、「新しいから、小説なんだから、いいじゃないか」な物語だったのですね。
読んでみようかな。アニメの方が 手っ取り早いか(笑)。
返信する
ハリウッドが・・・ (arfa)
2007-02-15 21:00:38
インファイナル・アフェアーを デカプリオ、マット・デイモン、ニコルソンでリメイクしてやりますよ。「ディパーテッド」・・意味分かりません(笑)きっとこのギャングの親分ニコルソンはすごいと思う。
返信する
ドキドキするほど (ジョルジュ)
2007-02-16 09:16:39
うまい役者って、いますよね。
ジャックもそのひとり。
ロビン・ウィリアムズが好きです。

BSでやってる 映画俳優のインタビュー番組見ると、
み~~んな大好きになってしまいます。
返信する

コメントを投稿