ジョルジュの窓

乳がんのこと、食べること、生きること、死ぬこと、
大切なこと、くだらないこと、
いろんなことについて、考えたい。

米・中間選挙とマイケル

2006-11-08 | 考えたこと
知らなかったけど アメリカの中間選挙というのは
大統領の4年の任期の中間地点で行われる選挙、という意味らしい。

上下両院の議員とか 州知事・州議会議員とかが 選ばれるらしい。

きのうが投票日だったらしい。

結果はどうだったんだろうね。




こぼれ種シリーズ、黄菊。
ここ数年 菊は植えたこともないのに
今年はどこからか種が飛んできて? 
しかもこんなにきれいな花を咲かせるなんて!



ブッシュのイラク政策に対する審判が下るとか
野党の民主党が有利とか言われている今回の選挙運動に関して

『ラッキーマン』(2005年7月19日~24日の記事)の
マイケル・J・フォックスがからんだ新聞記事を
何度か見つけた。

積極的に頑張ってるんだなあ、と 頼もしく思った。



『ラッキーマン』を読んで私が驚いたことのひとつに、
彼が 自分の病気、パーキンソン病の研究費についての知識が
豊富だったことが挙げられる。

国立衛星研究所の患者ひとり当たりの研究費は
HIVエイズ  →2400ドル、
乳がん     →200ドル、
前立腺がん   →100ドル、
アルツハイマー病→78ドル、
パーキンソン病 →34ドル、
糖尿病     →20ドル
冠状動脈性心疾患→20ドル
                 (p433、1990年代半ばの見積り額)

こういうのを私たちが知らないのは、
私たちが怠惰なためだろうか?



マイケルは上院歳出小委員会の公聴会に
薬を飲まずに証人として出席し、
その姿を人々に印象づけた。

「パーキンソン病の研究に対する資金が充分に与えられないということは
 150万人の患者たちが 
 みすみす機会を奪われていることを意味する。」

マイケルに続いて 科学者たちは
今後10年以内に治癒の方法が確立されるだろう、
ただし 充分な財源があれば、と証言した。

これは1999年9月のことだった。



そのころ既に 
パーキンソン病の治療に
中絶または流産した胎児の脳からとった脳細胞が
使えるかどうか、という話題があったらしい。

科学者たちは 脳細胞移植の研究をしたがったが

中絶反対の活動をする人たちにとってはとんでもない話。



ところがその後
情勢が大きく変わる転換点を迎えた。

ES細胞(胚性肝細胞)というヤツだ。

なんだかこれは ウルトラ・スーパー・スペシャルな細胞で、
受精卵をこわして作るのだが
いろんな臓器や組織に成長するんだそうだ。

体外受精された受精卵の、
不妊クリニックで廃棄されるものから採取される。

冷凍保存ののち、毎年機械的に廃棄されるES細胞は
脳細胞にも 腎細胞にも 骨髄細胞にもなりうるようなのだ!!!



そして 中絶に反対する人々の中には
これら受精卵の細胞を研究・治療に使うことにも
反対する人たちがいる。

その中に 
ジョージ・ブッシュをはじめとする保守派議員がいる、
というわけで
マイケルは民主党候補の応援をして
CMに出演した。

マイケルの行動が 選挙の結果に与える影響は
少なくないと思われる。



宗教的なことは難しくて 考えても考えてもわからない。

カソリックの教義において どう考えるべきか、なんて わからない。

生命倫理にのっとって 正しいかどうか、なんて わからない。

マイケルの主張が正しいかどうかは 私にはわからないけれど

彼がとっている行動は おそらく正しい。

生命の倫理とは また別の話。

彼は今 パーキンソン病患者の代表であり
ES細胞によって未来を約束されるいくつもの病気の
患者たちの代表なのだから。



さて、選挙の結果は?



追記:ちょぴっと補足。

ES細胞(胚性幹細胞)は 様々な臓器になる可能性を持っている。

そこで!

ES細胞で肝細胞を作って、それで人工肝臓を作る。

それを肝不全のマウスに移植する。

すると!

肝不全の症状が回復したのだ!   →こちら



岡山大学の大学院で肝細胞を作るのに
7割という高確率で成功したとか。

7日の夕刊18面にあった。

これを京都大学の研究所と共同で
人工肝臓を作る。

今回はマウスの肝臓だったけれど
ヒトの腎臓で治療法として確立されれば

人工透析で 活動の幅を狭められている人たちに
腎臓を与えることができる。
 
骨髄を作ることもできる。

脳細胞も(脳でドーパミンを出す細胞も)作れる。

ES細胞は まさに夢の万能薬のように
さまざまな病気に苦しむ人を救うことができる。

らしい。

受精した卵に生命がないとは 言いたくないのだが。