本コラムは、「小論」を御覧いたたけば分かるように、公的年金の政策論を主軸にしている。このところ目立ったニュースもなく、少し寂しいものになっていたが、意外な記事に権丈善一慶大教授のお名前があった。これは見逃せない。
年金政策を語るには、権丈先生のホームページは必読である。年金制度の基礎となる考え方について、平易に、かつ、直截に書かれてある。特に、「政策は、所詮、力が作るのであって正しさが作るのではない」の名文句で知られるように、制度を政治的な所産として扱っているところが優れている。
権丈先生は、かつて、スウェーデン型のみなし掛け金立て年金を推していた。これを見たときは、「少子化の怖さを分かっていないのか」と残念に思ったものだが、先生の凄いところは、のちに、これに気づいて修正したことである。学者にとって、こういうことはなかなかできないものだ。数理的に無意味なことが既に証明された積立方式への転換論に、未だにしがみついている学者もいるだけに、そう思える。
日経の記事自体は大したことが書かれていないが、 先生がどういうことを説かれているかは、HPを読んでいれば想像はつく。重要なのは、与党となった民主党の実力者にきちんとした年金の制度論を持つ学者がついたということである。民主党の年金改革案は問題が多く、公約を楯に現実化されるようなことになれば、混乱は避けられないと危惧していただけに、先生の活躍を期待したい。
むろん、筆者と先生の制度論には違いもある。強引に簡単化すると、先生のものは現行の社会保険方式を改善していく現実路線であるが、筆者は、社会保険方式を基礎にすることは同じでも、少子化の悪影響を受けなくする制度設計を考案し、同時に少子化対策も組み込んでいる。実は、先生が諦めてしまったスウェーデン型を、断念せずに発展させたものなのである。
先生は、医療を含めた社会保障を維持していくためには、消費税増税は必要なものとしている。これには筆者も同感である。ただし、そのタイミングは、景気と社会保障基金の収支を見極めて行う必要がある。このあたりは、社会保障ではなく、経済政策を専門とする者の仕事ということになろうか。
(今日の日経)
国際航空券、共同仕入れ。米議会不満公然と・グアム移転の遅れ警戒。政と官の接触、予算と連動、例外は野党と陳情。社説・心配な中国の不動産バブル。板硝子・再び外国人社長。菅財務相・増税し財政出動・振り付け権丈善一慶大教授。加工用米1年で1割下落。経済教室・中銀の資産拡大に誤解・翁邦雄。自宅、心地よい狭さに。国会図書館ウェブ蔵書。
年金政策を語るには、権丈先生のホームページは必読である。年金制度の基礎となる考え方について、平易に、かつ、直截に書かれてある。特に、「政策は、所詮、力が作るのであって正しさが作るのではない」の名文句で知られるように、制度を政治的な所産として扱っているところが優れている。
権丈先生は、かつて、スウェーデン型のみなし掛け金立て年金を推していた。これを見たときは、「少子化の怖さを分かっていないのか」と残念に思ったものだが、先生の凄いところは、のちに、これに気づいて修正したことである。学者にとって、こういうことはなかなかできないものだ。数理的に無意味なことが既に証明された積立方式への転換論に、未だにしがみついている学者もいるだけに、そう思える。
日経の記事自体は大したことが書かれていないが、 先生がどういうことを説かれているかは、HPを読んでいれば想像はつく。重要なのは、与党となった民主党の実力者にきちんとした年金の制度論を持つ学者がついたということである。民主党の年金改革案は問題が多く、公約を楯に現実化されるようなことになれば、混乱は避けられないと危惧していただけに、先生の活躍を期待したい。
むろん、筆者と先生の制度論には違いもある。強引に簡単化すると、先生のものは現行の社会保険方式を改善していく現実路線であるが、筆者は、社会保険方式を基礎にすることは同じでも、少子化の悪影響を受けなくする制度設計を考案し、同時に少子化対策も組み込んでいる。実は、先生が諦めてしまったスウェーデン型を、断念せずに発展させたものなのである。
先生は、医療を含めた社会保障を維持していくためには、消費税増税は必要なものとしている。これには筆者も同感である。ただし、そのタイミングは、景気と社会保障基金の収支を見極めて行う必要がある。このあたりは、社会保障ではなく、経済政策を専門とする者の仕事ということになろうか。
(今日の日経)
国際航空券、共同仕入れ。米議会不満公然と・グアム移転の遅れ警戒。政と官の接触、予算と連動、例外は野党と陳情。社説・心配な中国の不動産バブル。板硝子・再び外国人社長。菅財務相・増税し財政出動・振り付け権丈善一慶大教授。加工用米1年で1割下落。経済教室・中銀の資産拡大に誤解・翁邦雄。自宅、心地よい狭さに。国会図書館ウェブ蔵書。