経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

デフレ圧力と金融政策

2010年04月15日 | 経済
 デフレもインフレも、需要の不均衡で起こる現象である。つまり、需要が少なく、供給が多いと物価は下がり、逆であれば、物価は上がる。こうした下降や上昇の継続的な動きを指すものである。

 今日の経済教室は、東大の伊藤隆敏先生で、中央銀行のインフレ目標の話である。望ましい物価上昇率は「2%」ということだが、これを日本に当てはめると、遥かに遠い目標に思えてしまう。

 歴史的に振りかえってみると、GDPデフレーターが2%を超えていたのは、20年前のバブルの頃まで遡らなければならない。1980年以降の成長率とデフレーターの関係を見ると、おそらく、5%程度の実質成長率がないと、そこまでインフレは加速しないということになる。デフレーター1%でも、実質成長率は3%は必要であろう。

 結局、現在の日本にとって、物価上昇率2%は当面の目標として高すぎるのであり、そこまで到達するのに、どのくらいの時間軸を置くのかを考えざるを得ない。それは2年から3年以上は必要ではないだろうか。

 むしろ、気になるには、金融政策より、財政政策である。少なくとも、日銀は金融緩和の姿勢を保っているが、財政は前年度予算より10兆円も少ない。いかに絶対的な赤字が大きくとも、前年より少なければ、デフレ圧力がかかってしまう。

 しかも、景気回復に伴って、企業収益は急回復しており、法人税などの税収が予想よりも膨らむことも考えられる。結構なことではあるが、これも財政が資金を吸い上げることなので、デフレ圧力になる。

 金融政策の「次の手」を考えるとは、日銀が金融緩和をさらに進め、こうした財政政策のデフレ圧力をも引き受けるということなのだろうか。金融政策と財政政策は、経済政策の両輪である。筆者には、懸念すべきところが間違っているように思える。

 他方、財政政策の現状維持を求めるなら、日銀は、国債の買入れなどの手段によって、長期金利の急上昇を招かない役割も果たさなければならない。金融政策の現実的な政策目標は、本当は、そこにあるのではないだろうか。

(今日の日経)
 小売り、収益下げ止まり感。新高齢者医療制度・公費対象、75歳以上軸に。電気自動車を仏で5万台受注。印、産業集積進むASEANへ依存。パソコン3Dに対応・アスース。経済教室・日銀、長期の物価予測を・伊藤隆敏。
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