経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

あるはずの経済ニュース

2010年04月03日 | 経済
 何もしなければ、現状維持で物事は進んでいくというのが、一般の常識である。この常識を利用して、日本の財政当局は、何もしなければ、どんどん緊縮財政になるように仕掛けを作っておく。景気が底入れし、世間は春の陽気を楽しんでいるが、のん気に構えている場合なのだろうか。

 1年前のことは、世間では忘却のかなただろうが、春の今頃は、追加経済対策が策定されていた。連休前には14兆円を追加する第1次補正予算案が提出され、5月中に成立して、歳出は102兆円へと拡大された。一方、先月成立した22年度予算の歳出は92兆円だから、10兆円、GDPにして2%も緊縮することになる。むろん、今後、何もしなければだが。

 景気は回復したといっても水準は低い。実質GDPは、リーマンショック前ピーク時より36兆円も少ない。落ち込みの少ない消費でもマイナス4兆円だ。そして、2010年度の成長率は、ニッセイ基礎研の見通しでは1.9%に過ぎない。

 すなわち、民需が順調に伸びたとしても、何もしなければ、緊縮財政は、それを帳消しにするほどのインパクトがあるわけだ。ニッセイも先の見通しの中で「日本経済は、個人消費の低迷や公共事業の大幅減少などから2010年半ばにかけて減速することが見込まれる」と正しく指摘している。

 日本の経済政策の欠点は、財政が真っ先に逃げ出すことである。日銀が長めの資金供給を拡大し、金利を低下させ、円高を沈静化させているのに、財政は、現状のキープもしないというので良いのだろうか。むろん、歳出イコール需要でないことは分かっているし、歳出の比較だけでは大まか過ぎるだろう。しかし、財政の執行の見通しは、民間では、まったく把握できない。

 多少、救いなのは、公的年金の積立金の取り崩しが、09年度3.8兆円、10年度6.7兆円と拡大することである。これは、需要を拡大する方向に働く。本当は、財政と社会保障の動向を統合してマクロ経済を見通さなければならないのだが、これも、民間で把握するのは、とても難しい。

 春はまた巡ってきたが、「財政撤退病」もまた始まった。二の舞どころでない、何度目の舞なのか。民需が回復するまで財政を維持するという常識は、日本には存在しない。ニュースがなければ、国民は大事なことでも気づかぬままだ。ニュースがないのは、悪いニュースなのである。

(今日の日経)
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