以前からこの界隈を散策する事は多かったが、一度も入った事のなかった「いせ源」(創業・天保元年・1830)。HPを見ても「2人前~」と書いてあったし、昼間に1人だと定食しかいただけないのかなと思っていた。でも食べたいのは定食ではなく、もちろん単品のあんこう鍋だし、一緒に行ける連れはこの店の夜の営業時間に待ち合わせるのは難しい。でも調べたら、1人で入って鍋でも全く問題なしと分かって念願の初訪問。店の入口の所にあるガラスケースの中には氷に埋められた本物の鮟鱇がでーんと構えている。口開けに暖簾をくぐると、下足番が居て、札を受け取る。昭和5年建造の趣ある建物の2階の入れ込みの広間に案内されて、「どこでもどうぞ」との事だったので、部屋も外も見渡す事が出来る窓際の端に腰をおろした。もちろん注文は「あんこう鍋」とお酒(菊正宗)。
腰をおろした席からは年季の入った広間と、窓の外に「竹むら」のこれも趣ある建物(こちらも昭和5年建造)。まるで平成の世であることを忘れさせてくれるような特別な一画。きっと昔の人達も同じ光景を見ながら酒を呑んだ事だろう。
お通しは柿を使った和え物。しばらくして鍋が運ばれ、仲居さんが火を点けてくれた。だんだん煮立ってくる鍋と後から入ってくる客を見ながらちびりちびりと酒をやる。女性の1人客も居るし、女子会のような人達や、サラリーマン達、と客層は様々。きっと夜の賑やかな雰囲気もいいんだろうなァ。自分は鍋には全く手を触れずにいて、仲居さんが時々加減を見に来てくれる。「そろそろ、どうぞ」と声をかけてくれてから箸をつけた。鍋の中には鮟鱇の身と皮、そして肝。他は三つ葉、椎茸、銀杏、さやえんどう。白い棒状の野菜はうどとのこと。つゆは少し甘味のあるものだがサラッとしていて濃い味付けではない。プリッとした鮟鱇の皮身は、独特の弾力と旨味がある。旨いなァ、鮟鱇。これにはやっぱりビールより日本酒が合う。それぞれの具材も煮詰まるにつれて味が変化していき、さらに旨味が強くなってくる。酒を追加して、ゆっくりとやっつけた。仲居さんに締めのおじやを勧められる。今回の東京行脚では摂取カロリーが半端無いので、締めのご飯は断るべきだが…無理だった(笑)。結局おじやまで全て綺麗にいただいた。満足。(勘定は¥5,000程)
↓ 隣の「ぼたん」(下左・創業明治30年頃)にもいつか…。その先を行くと戦前の建築「山本歯科医院」(下右・昭和3年・1928・建造)
東京都千代田区神田須田町1-11-1
( いせげん 鮟鱇鍋 あんこう鍋 あんこう 鮟鱇 )
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