ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

向龍館 (JR美濃太田駅) @岐阜県美濃加茂市 (※閉店)

2019年05月22日 | 岐阜県(中濃)

中部地方の駅で唯一、駅ホームでの立ち売りを続けていたJR美濃太田駅の「向龍館」が5月末を以って店を閉めるのだという。高山線のホーム上に小さな売店があり、電車が構内に入ってくると主人が肩から箱を下げて立ち売りをしている。先代が立ち売りを始めたのは昭和34年(1959)だという。以前にこの駅を経由して多治見方面に向かった時に、ここで釜飯を買おうかどうか迷ったけれど、行った先で食べる店が決まっていたので、持って歩くのも…と見送って後悔していた。たまたまこの近くを車で通ったある日の午前中にここの駅弁の事を思いだし、駅の北口に車を停めて入場券を買って構内に入る。売店には主人が1人。鉄道好きのカメラ少年が主人に話しかけている。窓に閉店の知らせが貼ってあった。売っている弁当は「松茸の釜飯」と「ちらし寿司」の2種類。釜飯の方はプラスチック容器だったので、ひとつだけ残っていた陶器製の「ちらし寿司・ておけ」を手に取ると、主人が「それ特注の器やけど、それが最後の1個。あとは予約の分で全部無くなったよ。」と仰るので、その最後の1個を購入してみた。なるほど残りの陶製容器の寿司には既に予約だろう名前が貼られている。閉店を知ってからの注文が沢山入っているようだ。ずしりと重い容器をビニール袋に入れてもらう。

 

家に持ち帰ってから包みを開けた。この容器は木桶か木樽か何かを模しているのかな。つるの持ち手が付いていて蓋も陶製。開けると色とりどりの具材が並んでいる。イカ、海老、鮭、穴子、椎茸、牛蒡、蓮根、梅の花の形をした蒲鉾、玉子焼、きゅうり、紅生姜。酢飯には刻んだ干瓢がちらしてあり、ピンク色のでんぶがのせてある。弁当だけあって酢飯のみならず、魚介の酢締め加減も強め。野菜の味付けもしっかりめ。付いてきた短い割箸(これが気分)で具材毎に口にいれていく。旨い。新緑の高山線の車窓を眺めながらこれをつまんで、酒でも呑んだらさぞかしいい気分だろうなァと妄想しつつ美味しくいただいた。かつては1日300個も400個も売れていたという釜飯も、最近では10個以下の売上になっていたのだとか。駅前の路地にはこちらの食堂があるようで、そちらの店舗は残るようなのでそちらにも寄ってみようかな。(勘定は¥1,000)

※駅ホームの売店は令和元年5月末を以って閉店されました

 

 

 

↑ バックに写る赤い電車(正確には「軽快気動車」というらしい)は同駅に乗り入れている長良川鉄道の車両。

 


 

↓ 美濃太田駅からひと駅の「JR坂祝(さかほぎ)駅」前の通りに建つ建物(建築詳細不明)。2階のおたふく窓や欄干を見ると妓楼のような感じだが、玄関口に受付のような小窓が見えるので医院か郵便局舎だろうか(でも〒マーク発見出来ず)。裏の大きな建物と繋がっているようで、そちらにも8角形の窓があるなど、傷みがあるが前身がちょっと気になる建物だ。裏手はまだ人が住んでいる。

 

 

 

 


 

向龍館 (JR美濃太田駅)

岐阜県美濃加茂市太田町2484 JR美濃太田駅構内

 

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コメント (2)
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