ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

At San Quentin (Legacy Edition) / Johnny Cash

2015年11月27日 | カントリー

At San Quentin (Legacy Edition CD+DVD) / Johnny Cash (2006)

ジョニー・キャッシュ(Johnny Cash)の傑作、1969年発表の州立刑務所でのライヴ「At San Quentin」。自分がジョニー・キャッシュにハマるきっかけにもなったライヴ盤で、当時の世相、社会背景をも含め、時代を超えて聴き継がれていくだろう名作だ。アナログでは10曲入りだったが、2000年のCDリイシューでキャッシュの演奏が”コンプリート”とされ18曲入りとなった。この「レガシー・エディション」では、前座のカール・パーキンス(Carl Perkins)、妻ジューン・カーター(June Carter)を有するカーター・ファミリー(The Carter Family)などの演奏を含む公演の全貌が2枚のCDで明らかに。また、当時イギリスのグラナダTVで放映されたこの公演のドキュメンタリー番組をDVDで収録しているという充実した作品だ。

このサン・クエンティン刑務所はカリフォルニアで一番古い刑務所で、凶悪犯(死刑囚)を収容する刑務所として知られているらしい。当時の映像や写真を見ると、アメリカの刑務所特有の大らかさ(飲み物を片手に講堂に集まったりとか)はあるものの、警備する方もされる方もピリピリとした雰囲気が流れていて、会場入りするキャッシュも緊張していることが分かる。そんな中で人生の落伍者を歌ったり、人殺しの歌を歌ったりするんだから囚人達の胸にグッとこないはずはない。「この演奏は録音されてイギリスで放送されるんだ。奴らはあの曲を演れ、あの曲は演るな、あそこに立て、こうやって演じろ、なんて言ってくるけど、そんなの知ったこっちゃない。俺はお前らの好きな曲、それに俺の好きな曲を演るからな!」と啖呵を切るキャッシュは完全に反体制側だ。痺れるほどカッコイイ。極め付けはこの刑務所の名前を付けた曲「San Quentin」。もちろんここで初めて演奏され、完全に囚人側の視点に立ち、自分の運命とこの刑務所を呪う歌詞を知った時の囚人らの地鳴りするような驚きと歓声は、何度聴いても震えるほど凄い。

発表する音楽や発言、私生活、共にアウトローとして知られているキャッシュ。社会的弱者をかばうだけでなく、厳しい一撃をも加える彼の音楽はカントリーやゴスペルを基礎としているが、そんな音楽スタイルを超えてしまっている。

オークションにて購入(¥1,894)

  • CD (2006/11/16)
  • Disc : 3
  • Format: CD, Import
  • Label : Sony/Bmg

 

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