
ーラブストーリーズ コナーの涙ーTHE DISAPPEARANCE OF ELEANOR RIGBY: HIM
2013年 アメリカ 95分
ネッド・ベンソン監督 ジェームズ・マカヴォイ (コナー・ラドロー)ジェシカ・チャステイン (エリナー・リグビー)キアラン・ハインズ (スペンサー・ラドロー)ビル・ヘイダー (スチュアート)
【解説】
『つぐない』などのジェームズ・マカヴォイと『ゼロ・ダーク・サーティ』などのジェシカ・チャステインが、W主演を果たした大人向けラブストーリー。愛し合いながらもすれ違うあるカップルの別れと再生への道のりを、男の視点と女の視点で描く2作品の男性版。主人公の父親を『マリア』などのキアラン・ハインズが演じ、親友を『宇宙人ポール』などのビル・ヘイダーが好演。愛する女性を必死で追い求めながらも空回りする男の姿が切ない。
【あらすじ】
ニューヨーク、熱愛中のエリナー(ジェシカ・チャステイン)とコナー(ジェームズ・マカヴォイ)は、レストランで無銭飲食をして店を飛び出し笑い転げる。数年後、こぢんまりとしたレストランを経営するコナーは、子供を失って以来ずっとふさぎ込んでいる。彼は休憩中にアパートに戻り、沈みがちな妻エリナーの様子を確認するのが日課になっていたが……。(シネマトゥデイ)
ーラブストーリーズ エリナーの愛情ーTHE DISAPPEARANCE OF ELEANOR RIGBY: HER
2013年 アメリカ 105分
ネッド・ベンソン監督 ジェシカ・チャステイン (エリナー・リグビー)ジェームズ・マカヴォイ (コナー・ラドロー)ヴィオラ・デイヴィス (フリードマン教授)イザベル・ユペール (メアリー・リグビー)
【解説】
ジェームズ・マカヴォイ、ジェシカ・チャステインら豪華俳優陣が共演を果たしたほろ苦いラブストーリー。お互い求め合いながらも不協和音が生じるカップルの別離と再スタートの過程を、女の視点と男の視点で映し出す2作品の女性版。ヒロインの両親をイザベル・ユペールとウィリアム・ハートという演技派俳優が好演。幼い子供を失い、深い悲しみの中から立ち上がる女性の困難な道のりに涙する。
【あらすじ】
ニューヨーク、マンハッタン橋から飛び降りたエリナー(ジェシカ・チャステイン)は、右腕の骨が折れてしまい入院する。彼女は病院に来てくれたシングルマザーの妹ケイティ(ジェス・ワイクスラー)の車で実家のあるウエストポートへ戻る。家では精神科医でもある教師の父(ウィリアム・ハート)と音楽家の母(イザベル・ユペール)、8歳のおいのフィリップがエリナーを待っていた。(シネマトゥデイ)
【感想】
この映画、赤ちゃんを亡くした若い夫婦の心の痛みを、夫側と妻側の視点、それぞれで描いた作品。
かなり実験的と言えるのではないでしょうか?
2本同時に見るのがオススメ。
私は夫側の作品「コナーの涙」から見ましたが、これが正解ではなかったかな?
原題が「THE DISAPPEARANCE OF ELEANOR RIGBY」(エリナー・リグビーの失踪)とあるように、エリナーの気持がテーマでしょう。
事実、夫のコナーには妻エリナーの失踪の理由がわかっていません。
だから、コナー篇だけでは、この夫婦に何があったのか観客には語られません。
面白いですよねー。
こんなに仲のいい恋人同士だったのに。
ニューヨークでレストランを経営するコナー(ジェームズ・マカヴォイ)は、最近最愛の我が子を亡くしたばかり。
それでも気丈に働いているが、妻のエリナー(ジェシカ・チャステイン)は落ち込んでベッドから起き上がれないほど。
コナーはエリナーのことが心配でならない。
それなのに、エリナーの気持は離れて行くばかりだった。
当然ながら、レストランの経営にも気持が入らず、うまくいかない。
あるとき、エリナーが事故で入院した知らせを聞き、病院に飛んで行く。
でも、エリナーは相変わらず沈んでいてつれないことばかりいう。
そして、病室のエリナーを訪ねると行き先も告げず退院していた。
エリナーの姿を大学付近で見たと聞き、ストーカーのように後を付けるコナーだが、事故に巻き込まれで怪我をしてしまう。
父はニューヨークのレストラン王といわれた人だが、コナーの実母とは離婚、後妻にも逃げられたばかりの初老の男。
コナーは父の家に戻った。
父は、自分のレストランを継ぐように勧め、コナーは迷う。
店の女の子と、同情から関係を持ち、ますます落ち込むコナー。
エリナーと話し合うことになり、いいムードになるのだが、浮気のことを告白して、エリナーに去られてしまう。
エリナーとコナーは話し合うが、もう心は通じない。
アパートに戻り、引っ越し準備を始めると、赤ちゃんの荷物がちくさん物置から出てきた。
そして、うたたねをして目覚めると、そこにエリナーがいた。
エリナーと抱き合うが、朝になるとエリナーはいなくなっていた。
時が経ち、心機一転して父のレストランをしっかり経営しているコナー。
ある夜、開店前に散歩するコナーの後を、ついてくる人がー。
これがコナー篇です。
では、エリナー篇。
エリナーが自殺を試みて、橋の鉄柵を乗り越えて川に身投げするところから始まります。
病院に運ばれ、コナーがあわてて飛んできますが、エリナーの心は晴れません。
妹に迎えにきてもらって、両親の家に。
ここには、妹も出戻りで小学生の甥も一緒に住んでいました。
距離を置く母と、優しい父。
大学教員の父の勧められて、大学に通うことに。
父の友達のフリードマン教授(ヴィオラ・デイヴィス)と友達になり、少しは苦しみから解放されたエリナー。
妹に、コナーとの不協和音をふともらしました。
子供の死をなかなか受け入れられないエリナーに対し、コナーは子供のものをすべて片付けてしまった。
そのことがエリナーは許せなかったのだ。
コナーのストーカーのような行為が許せないエリナー。
コナーのストーカーのような行動も理解できない。
それでいて、思い出すのはコナーと愛し合った日々のこと。
そのこともエリナーを苦しめていた。
二人で暮らしたアパートに行き、コナーと愛をかわして、エリナーはパリに留学することを決めた。
この作品は、同じ事実を描くにしても、セリフが微妙に変わっていたり、二人のいる位置が違っていたり、とても興味深いです。
人は、自分の印象で覚えていることが違うということでしょうね。
エリナーは、子供を亡くした悲しみをコナーがまるで理解していないようにふるまうことが、二人の関係は終わったと感じ、コナーは、エリナーは自分勝手な感情に閉じこもってわがままだをいっていると感じているようです。
この作品を見ると、女と男は永久に理解しあえないんじゃないかと思ってしまいます。
でも、私はこの作品を見て、理解しあえないから、男と女はミステリアスで引かれあい、愛し合えるんじゃないかなあと思いました。
最後、コナーの跡を付けているのはもちろんエリナーで、振り向いたコナーはエリナーを見て微笑んでいました。
エリナーもまた、微笑んでいたのでしょうね。
この作品、もう一度見直したいです。
きっと細かいところにいろんな発見があると思います。
それぞれに成長物語になっているところが秀逸。
二人を取り巻く家族や友達もとてもいいんです。
男性は家族や友達の前では強がって、一人で孤独や悲しみを乗り越えようとしますが、女性は人間関係を拒否しているみたいに見えても、周りの家族や友人と結びつきたいという気持が強いみたいに思えました。
結局は、自分で立ち直るしかないし!!
落ち込んでいる人、いつかその傷は癒されると信じて、エリナーやコナーのように前を向いて頑張りましょう。
オススメです。