マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

ウディ・アレンの 夢と犯罪

2010-04-09 11:43:31 | 映画ー劇場鑑賞
ーウディ・アレンの 夢と犯罪ーCASSANDRA'S DREAM
2007年 イギリス
ウディ・アレン監督・脚本 ユアン・マクレガー(イアン)コリン・ファレル(テリー)ヘイリー・アトウェル(アンジェラ)サリー・ホーキンス(ケイト)トム・ウィルキンソン(ハワード)フィル・デイヴィス(ナーティン・バーン)ジョン・ベンフィールド(イアンとテリーの父親)クレア・ヒギンズ(イアンとテリーの母親)

【解説】
名匠ウディ・アレンが『マッチポイント』『タロットカード殺人事件』に続き、ロンドンを舞台に撮り上げたロンドン3部作最終章。破滅への道を転がり落ちていく兄弟の切なさとこっけいさを、ウディ・アレンならではの語り口で描く。主人公の兄弟を演じるのは『天使と悪魔』のユアン・マクレガーと『マイアミ・バイス』のコリン・ファレル。人気スター二人の兄弟演技と、ギリシャ神話やロシア文学の影響が垣間見えるストーリーが見どころ。

【あらすじ】
ビジネスの世界での成功を夢見る兄イアン(ユアン・マクレガー)と、酒とギャンブルを愛し、恋人共々それなりに充足した日々を送っている弟テリー(コリン・ファレル)。ある日、イアンとテリーは破格で売られていたいわくつきの小型クルーザーを共同で購入し、カサンドラズ・ドリーム号と名づけるが……。(シネマトゥデイ)

【感想】
「マッチ・ポイント」に似た雰囲気でした。
解説にあるように、ロンドン3部作という感じはしません。
「タロットカード~」はコミカルですもの。
もっと、サスペンスタッチです。

去年公開された「それでも恋するバルセロナ」より先の作品です。
この映画、なぜ公開が遅れたのでしょう。
しかも、「それでも恋する~」よりずっと面白いです。

まず、邦題がいただけません。
これじゃあ、映画の中身がウディ流のシニカルなコメディかと勘違いしそうじゃないですか?
原題の「カサンドラズ・ドリーム」で十分じゃないのかなあ?
いたって、シリアスで悲劇的なストーリーです。
「太陽がいっぱい」みたいかなあ、とも思うけど、むしろギリシャ悲劇風です。

カサンドラはギリシャ神話に登場するトロイアの王女です。
兄に「トロイのヘレン」で活躍するヘクトールやパリスがいます。
パリスがヘレネーをさらって来た時も、トロイの木馬を市内に持ち込もうとした時も、カサンドラは予言し、反対しますが、みんなに信じてもらえません。
カサンドラにはアポロンの呪いがかかっていて、予言は信じられなかったのです。

トロイアが滅ぼされ、カサンドラはアテネの神殿で小アイアースに陵辱されます。その後、アガメムノンの戦利品としてミュケーナイに連れて行かれますが、アガメムノンの妃のクリュタイムネーストラーに殺されてしまいます。
イタリア語では「不吉、破局」という意味があるそう。(ウィキペディァより)
悲劇の王女ですね。

物語は、兄イアン(ユアン・マクレガー)と弟テリー(コリン・ファレル)が、中古の船を手に入れるところから始まります。
この船に付けた名前が「カサンドラズ・ドリーム」。
カサンドラなんて不吉な名前を船に付けるかなあ?と思いますが、これが二人の運命を暗示しています。

☆ネタバレ
細々とレストランを営む両親の元で、兄のイアンは働いていますが、いつかビジネスに投資して、実業家になることを夢見ています。


兄弟とその家族

弟のテリーは、車の修理工場で働いていて、酒とギャンブルの毎日です。
恋人のケイト(サリー・ホーキンス)と同棲中で、目先の楽しさで十分という人物です。
性格は全然違いますが、仲のいい兄弟でした。

イアンはアンジェラ(ヘイリー・アトウェル)という女優のタマゴと知り合い、恋に落ちます。
ビジネスチャンスが転がり込み、投資するお金も必要となりました。

テリーの方は、ケイトとの新居の資金にと、ギャンブルにのめり込み、大金を借金してしまいました。

そこへ、父の兄で美容整形で成功した富豪の伯父が訪ねて来ました。
兄弟揃って、お金の無心。
伯父は快く引き受けてくれましたが、代わりにやって欲しいことがあると言います。


おじさんが兄弟に持ち込んだ話、それはー

それは、なんと殺人依頼でしたー。

この後の展開は、映画を見てもらうとして、ユアン・マクレガーとコリン・ファレルの兄弟がはまっていました。
どちらも悪人じゃないし、善人というわけでもない。
普通の労働者階級の若者と言った感じ。
それが、殺人にはのめり込んでいく過程が、すごく面白かった。
「それしかない」と、追い込まれていく脚本は見事だと思いました。

そして、テリーが悩まされる悪夢。
イアンがもくろむ弟殺し。

薬を入れたら泡だらけになってしまったビール。
ほんと、どこか間抜けなんですよね。

悲劇の兄弟を尻目に、大悪は生き残る。
世の中ってそんなもん?
このへんが、ウディ・アレンの世界でしょうか?



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