ーインポッシブルーTHE IMPOSSIBLE/LO IMPOSIBLE
2012年 スペイン/アメリカ 114分
J・A・バヨナ監督 ユアン・マクレガー(ヘンリー)ナオミ・ワッツ(マリア)トム・ホランド[俳優](ルーカス)ジェラルディン・チャップリン(老婆)サミュエル・ジョスリン(トマス)オークリー・ペンダーガスト(サイモン)
【解説】
ナオミ・ワッツとユアン・マクレガーが主演を務め、スマトラ島沖地震後に発生した津波に遭遇した一家の実話を基に描く感動の人間ドラマ。突如襲った災害により一時は離散してしまうも、諦めることなく生き抜いた家族の絆を描き出す。監督を務めるのはデビュー作『永遠のこどもたち』も好評だったスペインの新鋭フアン・アントニオ・バヨナ。危機的状況の中、サバイバルする人々の姿をパワフルな映像と胸打つ物語でつづるバヨナ監督の手腕にうなる。
【あらすじ】
2004年末、マリア(ナオミ・ワッツ)とヘンリー(ユアン・マクレガー)は、3人の息子と共にタイにやって来る。トロピカルムードあふれる南国で休暇を過ごすはずだったが、クリスマスの次の日、彼らは未曾有の天災に巻き込まれる。一瞬にして津波にのみ込まれ、散り散りになった家族はそれぞれの無事を祈りつつ再会への第一歩を踏み出す。(シネマトゥデイ)
【感想】
この作品に描かれているスマトラ島の地震と津波は2004年の出来事です。
まだ記憶にも新しい。
しかし、日本は2011年に東北が地震と津波に襲われ、日本人の痛みとして経験してしまった今、この作品を見るのが辛い方もたくさんおられることでしょう。
でも、かなりの確率で起きるといわれている東南海地震。
その精神的な備えのためにも、この一家が遭遇した未曾有の大災害を見ておいてもいいと思いました。
インポッシブルー不可能としか言えないような、家族の命の物語です。
マリア(ナオミ・ワッツ)とヘンリー(ユアン・マクレガー)夫婦は、3人の男の子を連れてクリスマス休暇を過ごすため、スマトラ島にやって来た。
そしてクリスマスの明くる日、ホテルのプールで遊んでいたときに、未曾有の大災害に見舞われる。
マリアは津波に飲み込まれながらも、長男ルーカスを発見する。
二人は、再びやって来た津波に巻き込まれながらも、なんとか岸にたどり着いた。
マリアは足に大けがをしていて、血の後が続く。
誰もいない。
幼い子供の泣き声が聞こえ、二人はその子を助けて、次の津波に備えるため、高い木に避難した。
マリアの傷は深い。
長い時間が過ぎ、ようやく現地の人に発見され、村に運ばれ、そこからトラックで病院へ。
行く途中も、病院の中も外も、大けがの人で溢れていた。
恐怖しか感じていなかったルーカスは、その中でどんどん成長していき、人々の役に立とうと思うまでになる。
☆ネタバレ
実話なので、異論を挟む余地はありませんが、暑い場所だし、マリアの傷は深いし、助かったことが不思議な状態です。
ヘンリーとルーカスの弟たちも助かっているのですが、次の関心はこの一家が再会できるのかということに移っていきます。
家族を思う気持ちだけが、ヘンリーの心の支えのようです。
最終的には家族はめぐり逢い、マリアもシンガポールで手術を受けることになってスマトラを離れるのですが、家族の絆はより強く深くなっていました。
マリア役のナオミ・ワッツの体当たり演技がすごい。
また、ルーカス役の子供もすごかった。
DVDで見たので、メイキング映像もありましたが、すごい撮影現場でした。
とにかく、自然の猛威の恐ろしさ、そんなん十分わかっているはずなのに、こうやってフィクションとわかっている映像を見ても恐怖に囚われます。
実際、その現場にいたら、私はどうなってしまうのかー。
そんなパニックの中でも、人は人を思いやり、傷ついた人をかばったり、助けたりできるんですね。
人間ってすごい。
この作品は、東北の地震や津波の最中や後にもあったであろう、人と人とのつながりを想像することができました。
「目をつぶって楽しいことを考えなさい」
映画の中で何度となく同じセリフが繰り返されますが、本当に辛いときに、そんなことができるとは思えないけど、その言葉が支えになるときもあるのでしょうね。
いろいろ考えさせられる作品でした。
災害のときに備えて、日常的に家族で話し合うべきですね。
備えても備えても憂いはあるでしょうが、備えるに越したことはありません。